目覚めてベランダをみるコロンビアリゾートはたしかに特別な場所と感じさせてくれる。
***今日は西海岸のパフォスを目指す。
途中、巨大な石が目をひく「ペテロ・トゥ・ロミウ」に停車。
ややこしい名前だけれど、「ロミオの島」という意味。おととい見たペンダ・ダクティロの投げられた山のかけらがここにとんできたとの伝説。恋する男が投げた岩だ、というわけであります。⇒こちらの日記に書いております
アフロディーテの神域
キプロスは「アフロディーテの島」と言われている。伝説ではアフロディーテがながれついた海岸がこのあたりだという。ボッティチェリがえがいたところの絵を思い出すひとも多いだろう
古代のアフロディーテの神域を見学。現在は目に留まるような建物は何一つ残っていないが、古代には重要な神殿がたくさんあった。キリスト教時代に使用されなくなり、中世には砂糖工場に使われた建物もあり、変遷をたどる
復元された建物博物館にその「ご神体」が置かれている。この黒い石がそれ緑色の火成岩。古代ローマでも町の中心の神殿には「ピエトラ・ニグラ」と呼ばれた大事な黒い石が置かれていたそうだし、ここでもこの石が大事な役割をもたされていたと思われる。
こぶりな博物館 いちばんおもしろいのは2007年に発見されたばかりのこの石棺
このおもしろい絵はなんでしょ?ホメロスの「オデッセイウス」を知っていればぴんっとくるはず。
ギリシャ神話★トロイからの帰路、キュクロプスという一つ目巨人につかまってしまったオデッセイウス一行は、巨人を酒に酔わせて、その一つしかない目を潰す。そのうえで、見つからないように羊のお腹にしがみついて脱出した。
なるほど、一つ目巨人の目が赤く血に染まっております。
紀元前五世紀前半のものと思われる石棺に、今の我々が見てもすぐにそれと分かる同じ主題が描かれている。ホメロスってすごい物語作者だ。
もうひとつ、すぐ東に位置するパレパフォスの遺跡からみつかったというモザイクも有名。これはレプリカだがこの「見返りお尻」をみて、すぐに思い出したのは、シチリアのピアッツァアルメリーナにあるモザイク⇒ほぼ同時代の紀元後二世紀から三世紀。なんだか雰囲気が似てませんでしょうか?
***カシカス村のヴァジリコンワイナリー見学
パフォスからしばらく内陸に入り、標高650mと少し高くなったところにこのワイナリーはある。1993年からこの地でワイン造りをしている。近郊の農家からも買うがほとんどが自社の畑のブドウを使っているのだそうだ。年間40万ボトルを生産するというからそこそこ大きなワイナリーである。白はシニステリというキプロス固有品種を中心に、ロゼはシラーなど、赤はメルロー、カベルネ・ソーヴィニョンなど。
工場を見学させてもらう。上層階で絞った汁を下層階でステンレス製の発行缶に流し込む、その下の階でボトリングや樽詰めをするという、重力をうまく使った構造のたてものだ。
これはボトリングの機械⇒「絞り機はドイツ製、イタリアのボトリング機械、そしてフランスの樽を使うっているのよ」「これまでは出来るだけフレッシュなうちに飲んでもらうワインとすくっていたのだけれど、数年前からこの樽で熟成させてもっと年月に耐えられる赤ワインにも力を入れていると言っていたまだまだこれからのびていきそうなワイナリーであります。
*****パフォスの街へおりてゆく
***Thomb of Kings王家の墓***
事前に予習していた中で、いちばん見てみたいと思っていた遺跡。
プトレマイオス朝というから紀元前四世紀ごろからの墓だとされる、地面の岩を掘りぬいた墓がいくつもあつまっている場所である。
ドーリア式の柱がささえたこの四角い空間を見ると、時代はもっと古いがクレタ島のクノッソス宮殿遺跡をおもいだす。
キリスト教時代になって礼拝堂に使われていたらしく、柱に「キリスト」というイニシャルが刻まれている柱がある
こういった墓がいくつもならんでいる、結構広い遺跡群 ううん、も少し時間がほしいところ。
****パフォス城がある港****
いかにも中世の城。現在見えるものは港を守る砦としてヴェネチアが建設したもの。大砲が動けるようなスペースが確保されている
この砦は、パフォスの港を挟む突堤の端に建設され、港の入口をふさぐ鎖の一方のとりつけ建物だった。
こちらが当時のパフォスの旧市街⇒現在の「考古学公園」はほとんど旧市街の全域を覆っているのわかる。贅沢な発掘待ちの場所。まだまだいろんなものが埋まっているのだろう。
昼食は港に面したおーぷんエアのレストランで、お魚いただきます
★さて、「考古学公園」遺跡に入場すると、思っていた以上に見どころが分散しているのが分かった。
見どころである床モザイクは、それぞれが当時のいくつもの邸宅だった場所。いちばん有名な「ディオニシオスの家」だけ訪れる。この写真で左端に写っている建物それ⇒内部はこんな風に実際の発掘床そのままの場所で見ることが出来る 博物館で見せられるよりも、もともとあったこの場所で見ることで、よりその状況が理解できる。
モザイクは秀逸!そして、ストーリーが分かるとなお面白い。幸い登場人物の名前が画かれているので分かりやすい。
●ピラモスとシスベ~「ロミオとジュリエット」のもとになったギリシャ神話。
ギリシャ神話★二人は壁を隔てた隣どうしに住んでいたが、両家はとても仲が悪く愛し合う二人がみとめられるチャンスはなかった。
思い余って駆け落ちし、泉のそばで出会う合うことになったが、シスベがその場所へやってくると、獲物を食べ終わったばかりで口から血を流したライオンが水を飲みにやってきた。 あわてて逃げたシスベが落としていったケープをライオンは血の付いた歯でちょっと噛んで置いて去っていった。 遅れてやってきたピラモスは、血のついたケーブを見つけ、シスベがライオンに食べられてしまったものと思い、自殺。 あとから戻ってきてピラモスの死を知ったシスベも後追い自殺する、というお話。
シェークスピアはこの話を直接ではなく、パリでこの話をもとに書かれた別のストーリーを参考にしたといわれている。いずれにしても、大元はこのギリシャ神話だったのであります。
●ディオニソスとイカリオス↓
酒の神ディオニソスを厚くもてなした牛飼いイカリオスは、お礼に葡萄酒の作り方を伝授される。 イカリオスは牧童たちに人類初めてのワインを飲ませたのだが、「酔っ払う」という経験のなかった牧童たちはイカリオスに毒をのまされたと思ってイカリオスを殺してしまう。ディオニソスのとなりで酔っ払っている女性はイカリオスの娘かしらん?※後のストーリーで登場するのですが省略
★キプロス固有の角のある羊、ムフロンが描かれてる。いきいきと。
★ニコシアの考古学博物館には、このモザイクの床下から見つかった銀貨2428枚のうち一部が展示してあったっけ⇒こちらに書きました。
少し離れた所に、キリスト教徒が必ず訪れる遺跡・教会がある****
聖パオロが鞭打たれた教会↴
廃墟になっててしまったのは、8世紀になってやってきたイスラム教のウマイヤ朝が破壊したから。現在ある教会はその跡に建設されたもの。上の写真左手前に写っている写真にはアラビア語が刻まれているのだそうだが、見つけられなかった。
←この何の変哲もない手前左に見える柱が、パオロがつながれて鞭打たれた柱とされている。この時ペテロを鞭打ったセルギウス・パウルスリストは、後にキリスト教に改宗したので、パフォスは歴史上はじめてキリスト教徒の支配者をもつ町になったとされているのである。
・・・本日は、宿泊しているコロンビア・ビーチリゾートでの食事、楽しみです(^.^)