Remains of The Accidents

アクシデンツなページ

夏の匂い

2017年07月30日 | 単身赴任

 

老齢の母が入院している
できる限り病院に顔を出そうとしているがなかなか
頻繁には寄れない

 

今週末は大阪に留まる予定となり、ようやく病院に来ている
病院は、子供のころによくあそんだ城跡の大きな公園の側にある
最寄り駅からは公園の中、野球場の側を通り抜けていく
野球場では、つい一昨日まで夏の県大会が行なわれていたのだが
今はもう人影はまばら、セミの声が城跡の石垣に響くばかりだ

 

セミの声に負けず、公園は子供の頃に嗅いだ懐かしい夏の匂いで
いっぱいだ

これは一体何の匂いなのだろう

何の匂いかわからないのだが、記憶の底にある夏の匂いだ


何年か前、母がまだもう少し元気だったころ
息子を連れて実家に帰ってきたことがあった
当時の母は、さすがに一緒に出かけるほどの元気はなかったが
焼きそばを焼いて王子をもてなしてくれた

その日、王子を連れてこの公園に出かけた
百均の店で手に入れた虫捕り網と虫かごを持ってセミとりをした

その後、剛ノ池という大きな池で息子と一緒にボートに乗った
そんな風に息子を連れて、この公園に遊びにくることなど
全く想像もしていなかった

その日は、幸せな一日を過ごせたことに感謝した

いま、この公園を通って母のいる病院に通う

相変わらずセミ時雨が降りつづく、セミたちは一生のほとんどを土の中で
暮らし、ただ子孫を残すためにだけ姿を変え、空を飛び、一心不乱に
泣き続け、短い夏が終わると消えていく

死に向かって鳴くセミたちの鳴き声は、言葉を失い、立ち上がることも
できなくなった母にも
聴こえているのだろうか

 

 

 

 

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神戸、ああ神戸

2017年06月30日 | 単身赴任



神戸は父の青春の街だ

高校、大学、社会人になった当初
10代の多感なころから、20代半ばまで
様々な仲間たちとうろうろしていた街だ

好きな女の子もいたし、楽しい仲間たちもいた
1980年代、インターネット前夜、自動車の免許は
男の子の必須アイテム

ポーアイにあったアイランドカフェ
垂水のウェザーリポート
薬師丸ひろ子と松田優作の映画「探偵物語」を見て
キャンパスから女の子を乗せて須磨の海岸まで
バイクで走った

別の女の子に「送ってあげる」といいながら掬星台の夜景をみようと
遠回りしてかえった道、六甲から鈴蘭台を抜けて暗闇を走った

毎日、毎日、走りつづけけた日々
海に輝く夜景の街、西宮の埋め立て地

神戸がすべてで神戸しかなかったのだが
彼女にいい恰好をしようと、地元企業の内定を蹴って大企業へ
仕事、仕事の毎日にだんだんエゴが出てくる

彼女をかまうことのできない自分
「仕方ないだろ」の声は自分勝手な言い分

離れていく彼女の後姿


ここのところ、神戸の街に行く機会が多くて
なぜかしら思い出の道ばかり目に映る
帰ることのできない時間が過ぎたのに、少しだけ
帰りたがっている自分かいる

今さら、彼女に逢っても気が付かないほどに変わって
しまっているはずなにの神戸の海、須磨の海、舞子の海
明石の海が袖をひく


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春なのに春なのに

2017年04月07日 | 単身赴任

春なのに、なぜか心は躍らない
昨年はこのころに単身生活をはじめ
家族と離れて憂鬱な日々を過ごしてきた

父はそろそろ歳なので、実際にはラインからはずれて
あまりウロウロしなくなるはずだったのだが
何の因果か思い荷物は背負ったままで出張くらしをしている
同年代でも客先を周っている人間はほとんどおらず
皆、内勤で負担の少ない生活をしている
一方で、姫さまと王子がいるのでまだまだ一線の所得が必要
身を粉にするというが、なんとか心をすり減らしながら頑張
っているのが実情だ

この春から奥さんも勤めに出ている
なにかしようとずっと考えていたらしいのだが、なかなか遅咲き
のDebeauなので大変そうだ

王子は昨年可愛がってもらった教諭とはなれ、少しへこんでいるらしい
姫さまは受験に向かって走り出した

さてさて、春なのに家族それぞれ色んなストレスを溜めてるみたい

もうすぐ連休、今年は一日くらい家族でゆっくり過ごしたい

 

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完全休暇

2017年03月18日 | 単身赴任




今月も鹿児島、長崎、福岡と九州をぐるっと回っていた
桜島も久しぶりだ

そして昨夜遅くに川崎に帰ってきた


今日は王子の練習試合もあったのだが、久しぶりに休養させてもらった
動き回るうちにどこかに疲れが溜まっていたのだろう
昼寝から目覚めたら、もう17時になっていた
王子を送ったのが12:50だったからそこそこ眠っていたようだ


久々の昼寝は気持ちよくリフレッシュさせてくれた
さてさて明日は王子の二回戦、姫様は駅伝大会に出場する
二人とも大きくなった

そろそろ父も子供たちロスの準備をしようかと思う
子供たちが中学・高校とすすむ中で父はいったい何をして
休日を過ごそうか

単車と農業とつりと音楽、なにが父のやり残しなのだろう
自分の父親が死んだ歳まで、あと6年
せっかくもらった人生であれば、父親の分まで楽しんで
終わりたい
そして、あの世で、いつものように父親に叱られたい
 

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布引の滝、再度山

2017年03月05日 | 単身赴任


小学生のころ、休日に家でだらだらしていると
父親がちょっと行こうかと云って連れ出してくれることがあった

たいていの場合は山登り
父親は通勤に使うビジネスシューズ
父親は、この靴かゲタしか持ってなかった

日曜日の午前中、三ノ宮駅まで電車ででかけてそごうの地下で
オニギリを二つ三つ買い入れると「布引の滝」にでかける
と云っても滝にはほとんど寄らずにいっきに市ヶ原まで歩く
市ヶ原で少し休憩するとすぐに腰を上げて修法ヶ原に向かう



途中、堰堤の下でオニギリを広げて昼食をとる

確か帰りは市バスに乗って諏訪山公園の下まで降りていた
ような気がするが記憶はない

その後、高校に進んだあと

父は生物部という部活を選んで、蝶の標本を作製したり
野鳥の写真を撮ったりしていた

その生物部で合宿を計画、当時再度山の奥にあった教育植物園
に泊まったことがある(稀有な体験だ)

その帰り、みんなで遊んだのが修法ヶ原だった
本当は好きな女の子といっしょにボートに乗りたかったのだが
ライバルに阻止され、なぜかしらその男とボートに乗ることと
なったのを覚えている

今回はそんな思い出も楽しく、春先の陽光の下、てくてくと
歩いてみた

とにかくどこに行っても思い出深い街である

https://www.mapion.co.jp/m/route/34.64390503801718_135.01012594572444_10/aid=e0d1ac/

 

 

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