「本の雑誌社」だったり、挿絵が「さわのひとし」だったりしたで
椎名誠が関西弁で書いているのかと思った
椎名誠の青春けんか小説がなんとなく大人になって終わっていくのに
比べて、さすがに泉州だけあって、仲間はきちんとその道にはまり
首から手首、足首までカラーリングしてしまう
関西はヤの道が存外身近だ
うちの学校にも元気のいい奴がいて、いろいろと学校生活を楽しませてくれた
ある日、昼休みにベランダで何気なく中庭をみたら、そいつと目が合った
幼馴染なので特に危険なことはない
そいつが大声で「こないだ借りた金返したっけ」と訊く
やんちゃなわりには律儀な男だ
「いや、まだや」「はよ返せよっ」と応えていると
そいつは、トボトボと歩いてきた1年生を呼び寄せ、肩を組んでなにやら話しだした
2分後、彼は半泣きで財布からお金を出して奴に渡している
振り返ったそいつは「おーっ金できたどぉ、とりにこいや」という
誰が見てもたった今「カツアゲ」した金だが、背に腹は変えられない
「つりはいらんぞ」といいながら差し出された金銭をポケットに入れながら
「すまんの」と云って去っていった
確信犯なのであんまり文句は言えないが、アホコワの3年生がブラブラしているところに
まるでライオンの群れの前で遊んでいるシマウマみたいに、フラフラ歩いてくる1年生も社会を知らなすぎだ
こんなこともあった
大学も出て就職したてのころ、仕事帰りに借りていたHビデオを返却しようと地元系
のレンタルビデオ店に立ち寄ったところねシャッターが半分閉まっている
おかしい、12時までやっているはずだ
少しシャッターを叩いて下から覗くと、中から見るからに「ヤ」とわかる格好をした
のが「なんやっ、いま取り込み中じゃ」と云う
うへっ、えらいところに来てしもたと思ったが今夜返さなければ延滞になってしまう
「ごめん、ビデオだけ返さしてぇや」といいつつまた中を見た
よく見ると従業員を立たせてヒビらせていたのはなんと中学校の同級生だった
中からも「なんやお前か」と云うので「おう」と云いながらちょっとシャッターをくぐり
ビデオの入った袋を店員に渡した
店員はビビリながらも無事受け取ってくれた
それ以外になんの用事もないので元同級生のチンピラに「ほなな」と云って外へ出ようとした時、店員がすがるような目で見ていたのが印象的だった
そこで解決してやれればカッコイイのだが、あんまりややこしいことに拘わってはいけないのでそのまま帰った
別にそれだけの話だが、軽快な小説に関西弁も懐かしく昔話を思い出してしまった
この程度の話はいくらでもころがっているのが、関西の強みだろう