前回投稿で書いた、いにしえのヴィンテージ・ケーブルと言うのは「Western Cable」です。まあ、在り来たりですが。
この線材を使用し始めてから100時間程度が経過しましたのでレビューします。
結論から言うと、このケーブルは本当に素晴らしいです。流石、世界で初めて海底ケーブルを渡した頭脳集団Western Electric(ベル研究所)だけありますね。
音がライブ感たっぷりで瑞々しいです。しかも潤いがあります。オイルを塗った肌の様です。ボディビルダーの肌と言ったら良いのでしょうか、力強さが有り輝いています。
Western Electricのブラックエナメル被覆ケーブルは、今までも使った事が有りますが、WAX含浸タイプは初めてです。
今まで使ってきたWEケーブルの印象はドライで中域を強調した少々刺々しい音でしたが、今回のものは少し違います。ウェットで潤いが有って刺々しさを抑えた感じです。かと言ってWEの持ち味はしっかりと味わえます。出るべき所は出ていて音楽の表現力があります。言葉で表すのは難しいですが、脂の乗りきった魚の様?はたまた水面に波紋が拡がる様?。或いは、朝露の付いた瑞々しい野菜の様な鮮度の高い音です。うっとりします。
今回使ったケーブルがこちら。
1930年代のWestern Cableです。
Western Electricのケーブルは1920~40年代のものが良いと言われています。約100年前!
芯線はブラックエナメルで覆われた0.5mm位の銅単線です。エナメルを剥がすと綺麗な銅が出てきます。半田付けする時は必ずこのエナメルを綺麗に剥がしてから行います。
被覆は絹の二重巻きです。外側の色付けされた絹にWAXロウが含浸してあります。
ロウは思ったほどベタツキませんでした。
このケーブルをRCA245シングルアンプの要所に使ってみました。
①出力管245のカソード~カソード抵抗&パスコン接続部分と、そのグランド側。
②ドライブ段~出力管245グリッドのカップリングコンデンサへの接続部分。
写真では分かりにくいです。(写真は前記事と同じもの)
以下、私のウンチク。
ケーブルは太い方が情報量が多いと言う方もおられますが、線径と電流許容量は決まっているので、無駄に太くすると、音像、音の定位が定まらなくスピード感も無いと言う感覚です。例えるなら、水道管の太さと水圧の関係?水圧が低いのに管を太くしても勢い良く水は出てきません。違うかな? そして線材は銅がもっとも素直な音がします。銀は高音を強調した音となり、あたかも情報量が増えた様に感じますが耳障りです。そして電流は芯線の表面を流れるためメッキされているとその音が乗ります。
しかし、このケーブルは流石に90年前の物と言うだけあって、鳴らし込んで行くと音がコロコロと変わって行きます。最初は低音があまり出なくて隙間の有る纏まりの無い様な音。それから少しして(30時間位経過後)少し詰まり気味な音。その後50時間経過後、低音も良く出る様になり音も纏まってきました。いつになったら落ち着くのだろうと思いながら引き続き鳴らし込みました。約100時間経過後、落ち着いた様に思います。低域から高域まで綺麗に出ています。音楽に実在感が有ります。
電線内部で何かが起きているのでしょう。分子構造が整う?不思議です。オカルト?
物理特性の変化?私は物性屋で無いので分かりませんが、聴感上の音は確実に変化しています。
一時期ブームだったクライオ処理と言うのが有りますが、これもひとつの方法と思われます。
配線材も拘ったお蔭で、いつまでも音楽の傍から離れたくない音です。
RCA245の球が1930年製、ケーブルが1930年製で年代が揃いました。少しでも当時の音に近づいた様な気になります。
ただ、アンプ内が温まってくると、蝋の溶けた様な臭いがしますが、嫌な臭いではありません。アロマ風の「いい香り~!」です。(笑)
しかし、ホント、RCAの245(ナス管)って魅力的な良い音がしますね。
RCAの45(ST管)も持っていますので、この状態で音比べをしてみたいと思います。
以前の印象だと、45は綺麗な音だけで、低音や力強さが無く、コクとか潤いも無かった様な感じでしたが、どうでしょうかね。
今日は、JAZZ VOCALの「Halie Loren(ヘイリー・ロレン)」を紹介します。
10年位前に流行ったのですが、とあるサイトで紹介されていたので、思い出して久々にCDを聴いてみました。
Amazonのレビューにも有りますが、ロック、ポップスからジャズのスタンダードナンバーまで幅広くカバーしていて、歌も上手く、アレンジもGoodです。
特に私のお勧めが「青い影(A Winter Shade of Pale)」「Autumn Leaves」です。
録音も秀逸ですので、オーディオ・ファイルとして使えます。
チェックの所は、ピアノ、ベース、ドラム等の楽器の音とボーカルの再現性と定位ですね。
曲によってはピアノがちょっと前に出過ぎている感じも否めませんが、録音、ミックスのエンジニアがピアノの人だから仕方ないかな。音質はちょっと固めかも?
この人のもう一枚、こちらも良いです。
音質は先ほどよりは柔らかめで、より色っぽいです。1曲目で悩殺されます。
ジャケットも色っぽいですね。こちらも録音状態は優秀です。