約10年越しでDAC IC TDA1541AのDEMリクロック化する事が出来ました。
当時、挑戦しようとして部品を集めた記憶があります。やろうと思って出来ずにいました。
その頃は別基板上に組んでリード線で飛ばしてDEMクロックに入れるやり方で面倒でしたが、最近になってDAC ICに履かせる下駄基板なる物を見つけました。
こんな便利な物が2022年に発売されていたのですね。知りませんでした。
すぐに基板と実装部品を千石電商と秋月電子から調達。
このDEMリクロックの技術は、今から15年前(2009年頃)に話題になりました。
ポイントは以下。
通常44.1kHzサンプリングのCDの再生では、ステレオの片方チャンネルに付き1秒間に44,100回のDA変換を行いますが、TDA1541Aが採用するDEM(Dynamic Element Matching)方式というのは、1回のDA変換につき複数の変換素子を何度も切り替えて、変換誤差を抑える技術らしい。通常8倍の352.8kHzで切り替え。
この切り替えをBCKに正確に同期させ上位ビットの変換精度の向上と、352.8kHzよりも更に高速で切換えて平滑化をはかる事がDEMリクロックの目的。
もしDEMリクロックを使用しなかったら、TDA1541Aが持つ能力の60%しか発揮出来ていないとも言われています。
部品を基板に半田付して完成。赤いジャンパーピンは分周の設定用。
それにしてもTC7WH74FUは小さかった(中央8ピンのIC2個)。老眼の私には辛い作業でした。
半田付後、ルーペで何度もショートや浮きが無いか確認。
回路をある程度理解していたのが救いでした。
7WH74FUはD型フリップフロップで、これを分周回路と使っている様ですので、pin2-3はショート、pin6-7-8もショートですね。
因みに74HCT86(XOR)の出力は-15Vから抵抗を介してTDA1541Aのpin16,17に入力。マイナスに引っ張っているのは内部発振器を停止させるため。
この下駄基板を元の位置に乗せようとして問題が発生!。
足が短くて、元のソケットに刺さりません。
ソケットを取り外して、直接メイン基板に半田付しても良いのですが、簡単にオリジナルに戻せる様にソケットは必要。
そこで、下駄基板にさらにソケットを足しました。そのままでは少し緩くて接続に不安があるので下駄基板の足に半田メッキを施しました。
ようやく装着完了!3階建てになりました。
私の使ってるTDA1541Aは「S1」「シングルクラウン」品です。中古市場でも2万円オーバー?のICチップ。
動作確認のために波形を確認しました。
(変更前) pin16 or 17の波形(DEM用クロック)
(変更後) 上:pin16 or 17の波形 下:BCK波形
BCKは5.6MHzで動いている様です。DEMクロックには4分周して使用。
DEMを高速で動かす事よりもBCKに確実に同期させる事が重要と考え、切り替え周波数は1.4112MHzに。これでもオリジナルの4倍。
BCKとDEMクロックが同期しています。 DEMクロックの振幅も取れている様子。
波形確認が終わりましたので、次は実際に音出しして音質の確認です。
これについては次回報告します。
とにかく素晴らしい効果です。