このアンプの改造も、いよいよ最終段階。
WEの知られざる銘球!!! Western Electric製「421A」の登場です。
今まで色々と改造や調整してきたのも、この出力管を使うためです。
当初のRCA 6AS7G パラ・プッシュプル→Tung Sol 5998 プッシュプルと変更して来ましたが、最終はこのヴィンテージ球の採用です。先日紹介した浅野勇氏著「魅惑の真空管アンプ」にも製作例が掲載されており、音質もWEの音として高く評価されています。
この球自体は昨年に入手していたのですが、貴重な球を壊してしまうリスクを恐れ、逸る気持ちを抑えて回路の調整をしていました。
以前の苦い思いを繰り返さない様、今回は、動作確認、特性測定品の球を購入しました。高かったぁ~。
このWE 421Aのお姿です。
印字されている製造ロットNo.からすると、1963年と1961年製造?と思われます。
少し説明すると、ウェスタン製の特徴は、
・頭頂部のマイカ板はおにぎり型
・ステムの台座はフラット
・内部配線の形状、太さが独特
・ゲッター・リングは四角型と丸型があるらしいが四角が古い
らしいです。
私が手にしたものは、たぶん本物のWestern Electric製でしょう。
Tung sol 5998と並べてみました。
ゲッターは、Tung solは上、WEは下ですね。
プレートは、5998は少し艶があります。WEはグレーのマット。
ガラスは、5998のほうが透明度が高い様に思います。
では、いよいよ。恐るおそる電源ON! カソード電流を調整後、出てきた音は・・・・・・・。
これは絶品!究極です。秘めたる銘球です。ここで書くと、また価格が高騰するのが怖いです。
この球は余りにも次元が違いすぎます。やっぱりWEの球は素晴らしい!
恐らく使われている材料や構造が他のメーカーのものと違うのでしょう。
本物のWE 300Bは聴いたことがありませんが、おそらくこの球と同じ傾向でしょう。
各楽器の音の輪郭がハッキリして、それぞれ主張し合って、音楽を表現しています。
良く言えば、分解能が良い。悪く言えば、それぞれの音がバラバラに分解されている。
5998は音が塊りになってる。良く言えば、纏まりがある。
WEサウンドは、色々なところで書かれている様に独特の世界です。唯一無二!。
この立体感、音に包み込まれて、いやぁ~気持ちが良いです。これこそ、私が求めていた音かも知れません。
同じ曲を聴いても、何だか別の楽曲に聴こえるから不思議です。
この音を聴いてしまうと、もう元に戻れません。いやぁ~、マイッタ!!! 虜になります。
空気感、臨場感がとんでもない。 音の世界に引き込まれます。
欧州管の GEC KT88のしっとりした音とは違い、乾いた音がします。JBLスピーカーには良く合います。
この音は好みが分かれれるところですが、私はこの音が好きです。
アコースティック・ギターやピアノ、ボーカル、それぞれが実に生なましい。
パーカッションの細かい音や微妙はシンバル・ワークも再現します。
初段管を虎の子のムラードのCV4003(ECC82) BOX Plateに変えてみましたが、音色にあまり変化は無い様に感じます。
このWE 421Aが支配的で他の色々な部品(抵抗、コンデンサ、配線材など)の違いを吞み込んでしまいます。
WE421Aは決してきめ細かな繊細な音では有りません。言うならば、踊る、弾む、攻撃的な音です。
他社の球には無い独特の音質的な性格があると言えます。
ライブ録音盤などを聴くと、あたかも客席に居るようです。
スタジオ録音でも、スタジオの響きなども再現します。リアルな音の表現力が素晴らしい!
さらに、この421Aと言う球は、今まで使ってきた6AS7G、5998と同様に本来はレギュレータ管ですが、そのプレート抵抗の低さから、低音の量感は300Bよりも上と思う。低音の押し出し具合や切れも良いです。
ただ、ソースの録音状態の良し悪しはハッキリと出てきます。
このアンプの本格的な改造を始めてから約1年、今迄に手掛けたアンプのなかでは最高の1台に仕上がりました。
この音を聴いてしまうと、他のアンプの音は、どこか電気的に作られた様な(まぁ、そうですが)無機質な音に聴こえてしまうから不思議です。まさに独特な音世界です!!!
今のシャーシの中は、実験的に、抵抗をパラにしたりして設定値を作った状態ですので、正規の抵抗を手配して、内部を綺麗にしたいものです。
真空管アンプはこの10年でかれこれ10台以上作りましたが、真空管自身の制約とメーカーにより大きく出て来る音が異なりますね。勿論回路にもよりますし、当方通常は半導体製の大出力アンプで音楽を楽しんでおります。たまたまそのアンプが不調で代替のアンプに切り替えクラシックを楽しみますが、どうしても高音域に不満が残ります。そこでWE421PPに切り替えたところ本当に半導体アンプとそん色ない音が出ます。まさに目からうろこです。
この設計は確か征矢先生の作で、視聴時に”これでクラシックが聴ける”と言っていたのを思い出しました。通常は不得意なはずのシンフォニーが問題なく聴けます。300Bは柔らかい音ですが、音色にくせがあり過ぎますね。苦労して米国から購入した
かいがありました。
コメント有難うございます。
WE421Aの入手おめでとうございます。日本でも出物が無くなりましたね。
私はppアンプではGECのKT88も持っていますが、それよりも良い音の様に思います。(個人の好みの違いが有りますが)
因みに、私の回路は浅野氏の掛かれた「魅惑の真空管」”WEの知られざる銘球421A単球"の回路がベースになっています。
苦労して作った甲斐が有りました。低rpなので大型SPでも悠々とドライブします。