僕の前世はたぶんオランダ人。

おもしろきこともなき世をおもしろく

終末のフール(伊坂幸太郎)

2021年12月18日 | よむ

ヘビーなオカルト小説に8ヶ月もかけてしまい
リハビリテーションをかねて
かるーいお菓子小説へ。
伊坂幸太郎お得意の連作短編小説。
短編でも楽しめるが
最終話でオールスター出演となり
ちゃんちゃんで終わるいつものスタイル。
ここ数年仙台に縁があり
仙台を題材にした伊坂氏の作品は
多少縁を感じながら楽しむことができる。
『8年後に小惑星が地球にぶつかる』
をベースに生きる人々の日常を描く。
8年後小惑星は地球にぶつかり
本当に世界は終わったのだろうか。
その時ローグワンのラストシーンのような光景が世界を覆い
マンションの屋上から終末は見えたのだろうか。
冒頭に
『今日という日は残された日々の最初の1日』
というチャールズディードリッヒの引用があるが
本作舞台の伊達仙台藩の始祖、
伊達政宗の遺訓を引用して感想としたいと思う。
『この世に客に来たと思えば何の苦もなし。
朝夕の食事はうまからずとも誉めて食うべし。
元来、客の身なれば好き嫌いは申されまい。
今日の行くを送り
子孫兄弟によく挨拶し
娑婆の御暇申するがよし』
音楽的要素が少なかったのは残念。