時間かかったー!
司馬の中編としては
最も時間を要したかもしれない。
知る限り日本が舞台の司馬作品では
最古となろう
奈良時代が歴史舞台となる。
主役が躍動的に動き回るでなし
主題の通り
空海の周りの風景を描く事で
ぼんやりと見えていた空海が
徐々に肉付けされてゆく手法。
それでいて尚且つ手の届かない距離に空海はあるのだが。
しかしまぁ時間がかかった理由として
超絶読めない感じだらけ!
衒う、阿諛する、柳絮、凋む、瑕瑾、倦む、街衢、念誦、為遂げる、徹宵、...。
1ページあたり3回ほど辞書を引く機会があったといっても過言ではない。
1975年初版発行とあるが
このころの司馬遼太郎は難しい文字ブームだったのだろうか。
「薪尽き、火滅す」
われわれ人間は薪として存在している。
燃えている状態が生命であり
火滅すれば灰にすぎない。
か。
末文としてこれ以上のものはないな。
教科書で「空海」としか知らなかったが
高野山を訪ねて、本を読んだことで
幾分親しみがわいた。