( 目刺 )
5,6匹の鰯に,藁や竹串を通して干した干物。現在は真鰯、うるめ鰯、せぐろ鰯
などがほとんどです。江戸時代に小串に白魚を並べほした「白魚の目刺」が好まれ
たために,白魚の旬の春の季語になりました。 鰯は秋の季語です。
殺生の目刺の藁をぬきにけり 川端茅舎
目刺の口一列に軍隊の右むけ右 宮坂静生
文庫本伏せては目刺返すなり 岡田貞峰
ぼろぼろの一書を愛し目刺焼く 岩西多加志
☆ 余談 ☆
書架には句集や俳句関連の本が多めに並んでいます。兄の蔵書まで受け継いでいるので。
欲しくて集めはしたものの現代俳句大系、鑑賞現代俳句全集を全巻読むのは至難のこと、
仕事をリタイヤしてもっと時間が出来てからと決めている、それでも好きな俳人の項は通読して
います。
一番の愛読書は神田の古書店で空積みしてあった、角川新書、秋元不死男の「俳句入門」
最初から裏表紙が無くて¥50.-その上赤鉛筆,カラーマーカー、ペンと書き込んでいるから
何だか、落書き帖のようになっています。 まさに今日の一句ぼろぼろの一書を愛し目刺焼く
です。現在使っていませんが当時の季寄せも各季ごとの文庫本サイズ、これも古本で一冊
¥50-~¥100.- 余りにも字が小さくて疲れた私の目には無理となりました。
毎年の事、いい加減捨てなくてはと思っても,捨てられない物に俳句の本があります。
きっとどなたも同じようでしょう。
昨年,一つ思い立って始めた事があります。大好きな俳人「細見綾子」だけの、自分だけの
歳時記を作ろうと毎日少しずつ作業をしています。今のところ立風書房刊、「細見綾子全句集」
をスキャナーで取り込んでいますが、「桃は八重」「冬薔薇」「雉子」和語」「技芸天」「曼荼羅」
の六句集,曼荼羅以後の句、補遺として句集に載らなかった句を入れると3500~4000句
になるのでは無いでしょうか?どれだけ掛かるか分かりませんが、作句活動だけでなく、そんな
作業をしようと思い立ったのも、俳句人として、ほんの少し成長したのでしょうか?