( ときわ万作・金縷梅・銀縷梅 )
万作やゆるびそめたる海の紺 行方克巳
金縷梅や帽を目深に中学生 川崎展宏
まんさくや竹曳く牛のあそびおる 関戸靖子
満作に夕べのいろや小海線 大嶽青児
余談
最近少し気になる事に季重なりの句があります。一年中目にする鳥も季語としてあり、例えば
炭焼き小屋も建物ですから一年中見かけます。春に冬の季語を詠み込むのには必然が
無いといけない。俳句は単一化つまり十七音の中に一つの景色(物語)を詠む事によって
もたらされる事が詩の深みを感じさせるものですし、詠み手に景色がはっきりと伝わる。
ですから二物衝突の句には使えないものとして考えるべきでしょう
二物衝突とは 春の季語(五音) + 冬の季語(を含む十二音)が同じ比率にある事です
違うと言っても二つの季語の物語が存在すればそれは二物になります
同季の季語の重なりの場合、その季語それぞれ大小の位置付けが必要ですが、大方
二つの季語をいれた句は失敗作となる場合が多いと思われます。
俳句の鑑賞や講評は厳しくあるべきで、場に任せた円満解決はけして向上になりません。
無季俳句や十七音に拘らない俳句を目指す以外では、定型、有季(単一)の形をもう一度
初心に帰って句作をすべきではないでしょうか。
乱暴な言い方ですが、そういう句を詠まないのも技巧です。