「喫煙者は雇いません」 WHO、職員採用で新政策
【ジュネーブ1日共同】たばこを吸う人は雇いません-。世界保健機関(WHO)は1日、喫煙者を雇用しない政策を導入した。たばこが健康に有害であることを訴える国連専門機関として、政策の一貫性と「反たばこ」のイメージ強化を狙う。
WHO当局者によると、職員の新規採用で喫煙者を排除するのは国連諸機関でWHOが初めて。
WHOは、喫煙を原因とする疾患で毎年世界中で500万人近くが死亡していることを挙げ「たばこの害を減らす運動の先頭に立つ機関としての責任を雇用面でも果たさなければならない」としている。
参考『市職員の喫煙と喪失コスト』…某掲示板への書き込みの再録
[4153] 2005/11/07(Mon) 11:28
試しに計算してみましょう。
例えば、年収400万の職員が、年労働日数240日、一日実労働時間7時間とすると時給は2,381円…(A)
勤務時間内に5本喫煙して、ぞれぞれ5分かかるとすると、喫煙時間は25分/日=100時間/年…(B)
喪失コストは(A)×(B)で年間で一人あたり238,100円/年となります。
これに、職員数×喫煙率=喫煙職員数(C)を掛けると、その職場での総喪失コストが試算できます。(C)=300人とすると、
総喪失コスト=71,430,000円/年
(平均年収や職員数などの変数は各職場の数字を当てはめてみてください。八戸市のデータは私にはわかりませんので)
この試算方法は八戸市長(新旧)にも送ってあります。
(B)→1年のうち14日はタバコを吸うだけのために費やしている(!)。
市職員なら、一人14日分の喫煙のために市民の税金が使われていることになります。
[4158] 2005/11/08(Tue) 18:09
ここで議論するつもりはないので今回限りにしますが、事実を知って理解していただくことは大事です。
外で喫煙している職員はただサボっているわけではなく、ご指摘のように依存症でやめられない「病気」であり、そういう人たちが日本中に3000万人もいます。
問題は、喫煙者が悪なのではなく、タバコが悪だということで、そこで議論のすり替え(すれ違い)が起きています。
禁煙は家族、本人、周囲の人への愛です。
皆さんのお知り合いで、50代60代で亡くなった方はいらっしゃいませんか。その方は、タバコを吸ってませんでしたか。
社会的規制は、受動喫煙を防ぐのは当然のこととして、3000万人の依存症患者の命を救うために必要なことなのです。
中途半端な対策(建物内分煙など)は、喫煙者の命を救いません。「喫煙者に優しい対策」というのは、実は喫煙者を見殺しにすることです。
一見厳しいと思われる対策も、例えば千代田区の路上喫煙禁止条例は1年後に9割以上の人に支持されているという事実もあります。1割の人のために、9割が我慢し被害を受けていたということを、公的な立場にある人(市長や市職員を含む)は認識すべきでしょう。
ご紹介のようなタバコ税大幅増税が、実は最高の政策であり、日本のようにタバコが安い先進国はありません。喫煙者天国。
長野県では八戸市のような建物内禁煙はなく、県の施設は敷地内禁煙であり、職員の喫煙率も大幅に低下しています。社会的規制は「喫煙者を虐げるため」ではなく禁煙へと導くためであり、そのためには禁煙治療や知識の普及なども一緒に進めていくことが必要です。
[4159] 2005/11/08(Tue) 18:10
前記の試算は私が考えたわけではなく、諸外国でのデータでも大体喫煙者は1か月の給料分、非喫煙者よりも高くつくことがわかっています。
それだけでなく、ニコチン切れによる仕事の能率低下、喫煙室設置代、清掃代、高くつく医療保険費(これが大きい)、働き盛りの職員の病欠・早死による人的・業務損失などのコストなども加わることになり、最近では最初から喫煙者は採用しない企業や医療機関、喫煙者に奨励金を出して禁煙治療を受けさせる職場も増えています。
青森県でも、教職員の禁煙治療のために大幅な補助を出してます。一時的にお金をかけてでも、禁煙してもらうことが本人や家族のためでもあり、企業であれば株主の利益、自治体であれば納税者(職員の雇用主)である県民の利益になるわけです。
国内では、税収など2兆円に対して、社会的損失7兆円、差し引き5兆円もロスしていることになり、喫煙者の損失分を非喫煙者が払っている構造になっていることを「喫煙者に寛容な非喫煙者」にも知っておいてほしいと思います。
また、学校や職場や路上など公的なところで吸えないばかりか就職にも不利となれば、子どもたちもタバコを吸い始めないし、禁煙へのきっかけにもなります。
面白いですね。実はこういう反応が返ってくるのは一部の大人だけで、小中学生にタバコの話をすると「それならどうして国がタバコの販売を許可しているのか、禁止しないのか」という至極真っ当な質問・疑問を返してくれます。
実は国がJTの5割以上の株を所有している実質国営企業なのですが、そんなこともほとんど知られていません。国が国民の命を奪う商品を売って、その一部を税収にしていることこそが、この問題の本質なんです。喫煙者は国の政策の被害者なのです。(更に長くなりそうなので以下省略しますが)
[4166] 2005/11/10(Thu) 01:08
こうやって読ませていただくと、いかにJTや喫煙擁護派がまき散らした「迷信・幻想・ウソ・詭弁」(=ほかの先進国でこんなこと主張したら笑われるか呆れられるだけ)が、この社会に根深くはびこっているかがわかりますね。いくつかの質問がありましたのでお答えしますが、長くなりますのでご容赦下さい。(今度こそ今回限りにします)
子どもたちにタバコ問題を教えるときのポイントは以下の3点です。
kappaさんのおっしゃるように「有害性」をいくら言っても、ほとんど効果がないという事実があります。それを教えるのは重要ですが、以下のポイントを付け加えないと効果がありません。
(1)「タバコはストレス解消になる」というのは全くの大ウソであること
麻薬中毒患者が麻薬を注射して気持ちよくなったからそれを「ストレス解消」と言いますか? タバコは麻薬そのものです(ニコチンは麻薬に分類されています)。多くの人がそうだと思いこんでいる「喫煙がストレス解消になる」というウソを、医療・教育関係者でも信じている場合があります(というよりも、そういう人の方が多いのも事実)。
喫煙者は恒常的にニコチン切れというストレスにさらされているのであり、タバコはストレス解消になるのではなくストレスを増加させているのです。そして、禁煙すればストレスの程度が低下するということもきちんと確かめられています(実際に、禁煙に成功した人はタバコから解放された喜びを伝えてくれます)。喫煙者には、うつ状態や自殺が多いのも明白な事実です。
ここが最大のポイントです。非喫煙者はタバコでストレスを解消しようなどと露ほどにも考えません。これはニコチン依存症という病気そのものの症状なのです。
(2)タバコがやめられないのは意志が弱いからではなく、ニコチン依存症という病気のためであり、その治療として医学的な治療法があるということ
多くの人は禁煙に失敗してタバコを吸い続けていますが、それは意志が弱いからではなく、前記のように病気の症状であり、やめられない人には「楽にやめられる」禁煙治療があります。
ちょうど、この治療が保険適応になるというニュースが報道されていました。私たちが長年主張してきたことが、また一つ認められたわけです。
禁煙治療に保険適用へ、医療費削減狙う 厚労省方針
http://www.asahi.com/life/update/1109/001.html
(3)タバコ会社のイメージ戦略にだまされないこと
タバコ会社(日本の場合は国も)は常に綺麗事を言ってタバコ規制が強まるのを妨げようとしていますが、その広告・販売戦略が長年「未成年・女性・途上国」そして、ここに書くと誤解されそうですが(私が言ったり考えた言葉ではありません)「貧乏人・低学歴の人」をターゲットにしてきたことは裁判における数々の証言でも明らかになっています。
先日ローソンに行ったら、レジのところにピンク色のパッケージで女性の好みそうな小物のオマケのついたタバコがこれみよがしに陳列されていましたが、あれに騙されて何人の女の子がタバコの道に引きずり込まれて命を落とすかを考えれば、コンビニ業界の社会的責任も問われるはずです。
『悪魔のマーケティング タバコ産業が語った真実』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822243427/qid=1131547210/sr=1-1/ref=sr_1_2_1/249-8475608-3386724
(聞こえのよい宣伝文句とは裏腹に、同産業は「未成年者にどうやってタバコを売り込んでいくか」に注力してきた実態があると糾弾。「タバコなんざ、ガキや貧乏人に黒人、あとはバカに吸わせておけ」など、耳を疑うような内部関係者の発言が次々に紹介されていく)
JTが規制に反論 生活習慣病の厚労省部会
http://www.toonippo.co.jp/news_kyo/news/20051108010009131.asp
(ここまでお読みいただいた方には、このJTやPMの主張が何を意味するかおわかりいただけると思います)
そのほかにも、
(4)世の中にはタバコに関する多くの「詭弁」がありますが、一つ残らず論破されていること
大麻については(1)にもとりあげましたが、2つの点でタバコの方が悪質と言えるでしょう(だから大麻は良いということではありません、念のため)。一つは、タバコの方が依存性が高いこと。特に、未成年が吸うと簡単に依存症に陥ること。2つ目は、大麻は非合法でタバコは合法的であるということです。2つめについては説明不要かと思いますが考えてみてください。タバコは精神症状を来さすことが少ない(目立たない)という点がもう一つのポイントで、これも「だから良い」のではなく「だからかえって問題だ」と考えるのが普通だと思います。
性の問題と絡めるのは問題提起としてはいい考えで、私も未成年の性とタバコについて一緒に話すようにしています。ただし、大きな違いは、性は人にとってなくてはならない大きなテーマであり、その意味と弊害をよく知って判断していく必要があること。そして、タバコは人には不要だということです(=必要悪ではなく、必要ない)。
タバコは人類の歴史の中でたかだか400年前から知られるようになった“疫病”(麻薬)であり、現在のように大衆化したのは日本では戦後になってからです。元来タバコというものが存在しなければ(あるいはタバコ会社がその国に販売を拡大しなければ)、人は自然にタバコを吸い始めるとはありません。ニコチンが入っていなければ、わざわざ煙を好きこのんで吸う動物はいません。
それが、前述の小中学生の至極真っ当な疑問・質問に対する答えです。
(5)タバコ問題の本質は、喫煙者が長年(国やJTに)だまされ続けていたことに気づいてもらうこと(=意識改革)
例えば、1日1箱吸っている人なら、一生で500万円、2箱なら1000万円をドブに捨てて(タバコ会社と国に貢いで)、その結果として10年寿命を縮めて家族の健康も損なうだけだということ。それだけのことを最初から覚悟して吸い始めた人なんて、この世の中に一人もいないはずです。自分だけは大丈夫だと思っていた。でもやめられなくなった。
ここで、喫煙者に働くのは「正当化」という心理です。でもストレス解消になるから、でも国が認めているから、タバコは文化だから、大人の嗜好品だから、ただの習慣に過ぎない、好きで吸っているんだしいつでもやめられる、禁煙活動はファッショだ、他にも交通事故もアルコールも害があるじゃないか、タバコを禁止したら禁酒法時代に舞い戻って犯罪が増えるじゃないか、などなど涙ぐましい限りですが、その裏でどれほどタバコ会社の幹部が喜んでいるか、少しだけでも想像力を働かせてみてください。
今の日本で本当に構造改革が必要な分野は、タバコ問題です。これは比喩的表現ではなく、人の命がウソとお金で取り引きされているのが現実なのですが、コイズミ首相は決してこのことを取り上げようとはしません。どうしてかわかりますね?
ここで元の市職員の喫煙の問題に戻って考えてみてください。管理者である市長と、その市長を選んだ主権者であり納税者である市民が考えるべきこと、なすべきことは、市職員だけでなく市民の喫煙をいかに減らすか、子どもたちが一人も吸い始めないために必要な対策は何か、そういう考え方になるはずです。
今回書いたようなことについては、あらためてまとめたり、県内でもシンポジウムのテーマに取り上げるなどして、タバコに関するウソや欺瞞から皆さんの思考を解き放ちたいと考えています。その時にはまた案内したいと思います。
長くなってしまい失礼しました。
[4169] 2005/11/10(Thu) 13:52
κ氏へ。当然、タバコ農家の問題は最優先課題であり、私たちもその対策を提言してきましたが、対策はただ一つ。タバコ税(大幅増税)を財源とした転作補助政策を早急に進めることです。この地域のタバコ農家がJTというタイタニック号と一緒に沈んでしまってはいけませんから、政治や行政の責任は重大です。その意味で、八戸市長選や衆院選の候補者アンケートの項目にも入れ、三村知事とのわいわいミーティングでも提言するなどしてきましたが、知事も個人的には賛成してくれたものの、国や県・市の反応は鈍いのが実情です。禁煙活動はタバコ農家を敵にすることではなく、タバコ農家のことを真剣に考えて取り組んでいるのです。タバコ農家に“配慮”して禁煙政策を進めないのと、私たちの提言と、どちらが本当にタバコ農家のためなのか皆さんもよく考えてみて下さい。
【ジュネーブ1日共同】たばこを吸う人は雇いません-。世界保健機関(WHO)は1日、喫煙者を雇用しない政策を導入した。たばこが健康に有害であることを訴える国連専門機関として、政策の一貫性と「反たばこ」のイメージ強化を狙う。
WHO当局者によると、職員の新規採用で喫煙者を排除するのは国連諸機関でWHOが初めて。
WHOは、喫煙を原因とする疾患で毎年世界中で500万人近くが死亡していることを挙げ「たばこの害を減らす運動の先頭に立つ機関としての責任を雇用面でも果たさなければならない」としている。
参考『市職員の喫煙と喪失コスト』…某掲示板への書き込みの再録
[4153] 2005/11/07(Mon) 11:28
試しに計算してみましょう。
例えば、年収400万の職員が、年労働日数240日、一日実労働時間7時間とすると時給は2,381円…(A)
勤務時間内に5本喫煙して、ぞれぞれ5分かかるとすると、喫煙時間は25分/日=100時間/年…(B)
喪失コストは(A)×(B)で年間で一人あたり238,100円/年となります。
これに、職員数×喫煙率=喫煙職員数(C)を掛けると、その職場での総喪失コストが試算できます。(C)=300人とすると、
総喪失コスト=71,430,000円/年
(平均年収や職員数などの変数は各職場の数字を当てはめてみてください。八戸市のデータは私にはわかりませんので)
この試算方法は八戸市長(新旧)にも送ってあります。
(B)→1年のうち14日はタバコを吸うだけのために費やしている(!)。
市職員なら、一人14日分の喫煙のために市民の税金が使われていることになります。
[4158] 2005/11/08(Tue) 18:09
ここで議論するつもりはないので今回限りにしますが、事実を知って理解していただくことは大事です。
外で喫煙している職員はただサボっているわけではなく、ご指摘のように依存症でやめられない「病気」であり、そういう人たちが日本中に3000万人もいます。
問題は、喫煙者が悪なのではなく、タバコが悪だということで、そこで議論のすり替え(すれ違い)が起きています。
禁煙は家族、本人、周囲の人への愛です。
皆さんのお知り合いで、50代60代で亡くなった方はいらっしゃいませんか。その方は、タバコを吸ってませんでしたか。
社会的規制は、受動喫煙を防ぐのは当然のこととして、3000万人の依存症患者の命を救うために必要なことなのです。
中途半端な対策(建物内分煙など)は、喫煙者の命を救いません。「喫煙者に優しい対策」というのは、実は喫煙者を見殺しにすることです。
一見厳しいと思われる対策も、例えば千代田区の路上喫煙禁止条例は1年後に9割以上の人に支持されているという事実もあります。1割の人のために、9割が我慢し被害を受けていたということを、公的な立場にある人(市長や市職員を含む)は認識すべきでしょう。
ご紹介のようなタバコ税大幅増税が、実は最高の政策であり、日本のようにタバコが安い先進国はありません。喫煙者天国。
長野県では八戸市のような建物内禁煙はなく、県の施設は敷地内禁煙であり、職員の喫煙率も大幅に低下しています。社会的規制は「喫煙者を虐げるため」ではなく禁煙へと導くためであり、そのためには禁煙治療や知識の普及なども一緒に進めていくことが必要です。
[4159] 2005/11/08(Tue) 18:10
前記の試算は私が考えたわけではなく、諸外国でのデータでも大体喫煙者は1か月の給料分、非喫煙者よりも高くつくことがわかっています。
それだけでなく、ニコチン切れによる仕事の能率低下、喫煙室設置代、清掃代、高くつく医療保険費(これが大きい)、働き盛りの職員の病欠・早死による人的・業務損失などのコストなども加わることになり、最近では最初から喫煙者は採用しない企業や医療機関、喫煙者に奨励金を出して禁煙治療を受けさせる職場も増えています。
青森県でも、教職員の禁煙治療のために大幅な補助を出してます。一時的にお金をかけてでも、禁煙してもらうことが本人や家族のためでもあり、企業であれば株主の利益、自治体であれば納税者(職員の雇用主)である県民の利益になるわけです。
国内では、税収など2兆円に対して、社会的損失7兆円、差し引き5兆円もロスしていることになり、喫煙者の損失分を非喫煙者が払っている構造になっていることを「喫煙者に寛容な非喫煙者」にも知っておいてほしいと思います。
また、学校や職場や路上など公的なところで吸えないばかりか就職にも不利となれば、子どもたちもタバコを吸い始めないし、禁煙へのきっかけにもなります。
面白いですね。実はこういう反応が返ってくるのは一部の大人だけで、小中学生にタバコの話をすると「それならどうして国がタバコの販売を許可しているのか、禁止しないのか」という至極真っ当な質問・疑問を返してくれます。
実は国がJTの5割以上の株を所有している実質国営企業なのですが、そんなこともほとんど知られていません。国が国民の命を奪う商品を売って、その一部を税収にしていることこそが、この問題の本質なんです。喫煙者は国の政策の被害者なのです。(更に長くなりそうなので以下省略しますが)
[4166] 2005/11/10(Thu) 01:08
こうやって読ませていただくと、いかにJTや喫煙擁護派がまき散らした「迷信・幻想・ウソ・詭弁」(=ほかの先進国でこんなこと主張したら笑われるか呆れられるだけ)が、この社会に根深くはびこっているかがわかりますね。いくつかの質問がありましたのでお答えしますが、長くなりますのでご容赦下さい。(今度こそ今回限りにします)
子どもたちにタバコ問題を教えるときのポイントは以下の3点です。
kappaさんのおっしゃるように「有害性」をいくら言っても、ほとんど効果がないという事実があります。それを教えるのは重要ですが、以下のポイントを付け加えないと効果がありません。
(1)「タバコはストレス解消になる」というのは全くの大ウソであること
麻薬中毒患者が麻薬を注射して気持ちよくなったからそれを「ストレス解消」と言いますか? タバコは麻薬そのものです(ニコチンは麻薬に分類されています)。多くの人がそうだと思いこんでいる「喫煙がストレス解消になる」というウソを、医療・教育関係者でも信じている場合があります(というよりも、そういう人の方が多いのも事実)。
喫煙者は恒常的にニコチン切れというストレスにさらされているのであり、タバコはストレス解消になるのではなくストレスを増加させているのです。そして、禁煙すればストレスの程度が低下するということもきちんと確かめられています(実際に、禁煙に成功した人はタバコから解放された喜びを伝えてくれます)。喫煙者には、うつ状態や自殺が多いのも明白な事実です。
ここが最大のポイントです。非喫煙者はタバコでストレスを解消しようなどと露ほどにも考えません。これはニコチン依存症という病気そのものの症状なのです。
(2)タバコがやめられないのは意志が弱いからではなく、ニコチン依存症という病気のためであり、その治療として医学的な治療法があるということ
多くの人は禁煙に失敗してタバコを吸い続けていますが、それは意志が弱いからではなく、前記のように病気の症状であり、やめられない人には「楽にやめられる」禁煙治療があります。
ちょうど、この治療が保険適応になるというニュースが報道されていました。私たちが長年主張してきたことが、また一つ認められたわけです。
禁煙治療に保険適用へ、医療費削減狙う 厚労省方針
http://www.asahi.com/life/update/1109/001.html
(3)タバコ会社のイメージ戦略にだまされないこと
タバコ会社(日本の場合は国も)は常に綺麗事を言ってタバコ規制が強まるのを妨げようとしていますが、その広告・販売戦略が長年「未成年・女性・途上国」そして、ここに書くと誤解されそうですが(私が言ったり考えた言葉ではありません)「貧乏人・低学歴の人」をターゲットにしてきたことは裁判における数々の証言でも明らかになっています。
先日ローソンに行ったら、レジのところにピンク色のパッケージで女性の好みそうな小物のオマケのついたタバコがこれみよがしに陳列されていましたが、あれに騙されて何人の女の子がタバコの道に引きずり込まれて命を落とすかを考えれば、コンビニ業界の社会的責任も問われるはずです。
『悪魔のマーケティング タバコ産業が語った真実』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822243427/qid=1131547210/sr=1-1/ref=sr_1_2_1/249-8475608-3386724
(聞こえのよい宣伝文句とは裏腹に、同産業は「未成年者にどうやってタバコを売り込んでいくか」に注力してきた実態があると糾弾。「タバコなんざ、ガキや貧乏人に黒人、あとはバカに吸わせておけ」など、耳を疑うような内部関係者の発言が次々に紹介されていく)
JTが規制に反論 生活習慣病の厚労省部会
http://www.toonippo.co.jp/news_kyo/news/20051108010009131.asp
(ここまでお読みいただいた方には、このJTやPMの主張が何を意味するかおわかりいただけると思います)
そのほかにも、
(4)世の中にはタバコに関する多くの「詭弁」がありますが、一つ残らず論破されていること
大麻については(1)にもとりあげましたが、2つの点でタバコの方が悪質と言えるでしょう(だから大麻は良いということではありません、念のため)。一つは、タバコの方が依存性が高いこと。特に、未成年が吸うと簡単に依存症に陥ること。2つ目は、大麻は非合法でタバコは合法的であるということです。2つめについては説明不要かと思いますが考えてみてください。タバコは精神症状を来さすことが少ない(目立たない)という点がもう一つのポイントで、これも「だから良い」のではなく「だからかえって問題だ」と考えるのが普通だと思います。
性の問題と絡めるのは問題提起としてはいい考えで、私も未成年の性とタバコについて一緒に話すようにしています。ただし、大きな違いは、性は人にとってなくてはならない大きなテーマであり、その意味と弊害をよく知って判断していく必要があること。そして、タバコは人には不要だということです(=必要悪ではなく、必要ない)。
タバコは人類の歴史の中でたかだか400年前から知られるようになった“疫病”(麻薬)であり、現在のように大衆化したのは日本では戦後になってからです。元来タバコというものが存在しなければ(あるいはタバコ会社がその国に販売を拡大しなければ)、人は自然にタバコを吸い始めるとはありません。ニコチンが入っていなければ、わざわざ煙を好きこのんで吸う動物はいません。
それが、前述の小中学生の至極真っ当な疑問・質問に対する答えです。
(5)タバコ問題の本質は、喫煙者が長年(国やJTに)だまされ続けていたことに気づいてもらうこと(=意識改革)
例えば、1日1箱吸っている人なら、一生で500万円、2箱なら1000万円をドブに捨てて(タバコ会社と国に貢いで)、その結果として10年寿命を縮めて家族の健康も損なうだけだということ。それだけのことを最初から覚悟して吸い始めた人なんて、この世の中に一人もいないはずです。自分だけは大丈夫だと思っていた。でもやめられなくなった。
ここで、喫煙者に働くのは「正当化」という心理です。でもストレス解消になるから、でも国が認めているから、タバコは文化だから、大人の嗜好品だから、ただの習慣に過ぎない、好きで吸っているんだしいつでもやめられる、禁煙活動はファッショだ、他にも交通事故もアルコールも害があるじゃないか、タバコを禁止したら禁酒法時代に舞い戻って犯罪が増えるじゃないか、などなど涙ぐましい限りですが、その裏でどれほどタバコ会社の幹部が喜んでいるか、少しだけでも想像力を働かせてみてください。
今の日本で本当に構造改革が必要な分野は、タバコ問題です。これは比喩的表現ではなく、人の命がウソとお金で取り引きされているのが現実なのですが、コイズミ首相は決してこのことを取り上げようとはしません。どうしてかわかりますね?
ここで元の市職員の喫煙の問題に戻って考えてみてください。管理者である市長と、その市長を選んだ主権者であり納税者である市民が考えるべきこと、なすべきことは、市職員だけでなく市民の喫煙をいかに減らすか、子どもたちが一人も吸い始めないために必要な対策は何か、そういう考え方になるはずです。
今回書いたようなことについては、あらためてまとめたり、県内でもシンポジウムのテーマに取り上げるなどして、タバコに関するウソや欺瞞から皆さんの思考を解き放ちたいと考えています。その時にはまた案内したいと思います。
長くなってしまい失礼しました。
[4169] 2005/11/10(Thu) 13:52
κ氏へ。当然、タバコ農家の問題は最優先課題であり、私たちもその対策を提言してきましたが、対策はただ一つ。タバコ税(大幅増税)を財源とした転作補助政策を早急に進めることです。この地域のタバコ農家がJTというタイタニック号と一緒に沈んでしまってはいけませんから、政治や行政の責任は重大です。その意味で、八戸市長選や衆院選の候補者アンケートの項目にも入れ、三村知事とのわいわいミーティングでも提言するなどしてきましたが、知事も個人的には賛成してくれたものの、国や県・市の反応は鈍いのが実情です。禁煙活動はタバコ農家を敵にすることではなく、タバコ農家のことを真剣に考えて取り組んでいるのです。タバコ農家に“配慮”して禁煙政策を進めないのと、私たちの提言と、どちらが本当にタバコ農家のためなのか皆さんもよく考えてみて下さい。