踊る小児科医のblog

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「小児科の病院ピーク時から22%減」とのニュースに思うこと

2005年12月22日 | こども・小児科
小児科のある病院、ピーク時の1990年から22%減との報道。
青森県内のことを考えてみれば2割減は何も驚くほどのことでもないのですが、例えば群馬県太田市の中核的病院でも小児救急がなくなる!(太田市長とれたて日記 2005年12月13日)といった危機的な状況が清水市長自らの声で届けられています。そこにも書かれている通り、小児科がなくなれば産科ももたないし、産科がなくて小児科だけでも駄目。解決策と言ってもすぐに効く妙薬があるわけではなく、根本的な解決策は長い目で見て小児科・産科医を優遇し育成するしかない。当面必要な、自治体病院の再編成も全然進んでいない。

私たちが小児科を選んだ頃でも、小児科医は勉強好きだったり子ども好きだったり、ちょっと浮世離れした損得勘定の下手な人がなるもんだと思われていた。(確かにそうかもしれない)
しかし、小児科医にも家族はいるし人並みの生活はしたいし、そうでなければ悪循環で更に厳しい環境となり、なり手は減っていく。

政府は医療費削減で大喜びのようですが、小児科・産科・救急は優遇するとは言っても、医療費とは医療に必要なマンパワーの確保に絶対に必要なものであり、減らして医者の儲けが減って庶民は喜ぶという馬鹿げた(誤った)単純図式をマスコミを利用して喧伝して、だれが幸せになるというのだろうか。

今の医師の多くは、自分の子どもを医者にしたいとは思っていないのではないか。あるいは、子どもたちも親をみて医者になりたいとは思わないのではないか。かつてのような世襲制が必ずしもいいことだとは思わないが(私は医療とは縁のないサラリーマンの息子で、医学部は半分近くが医者の子で“気持ち悪い世界”と思ったものでした)、この国の医療はこういう環境のなかで量だけでなく質も低下していく道を辿るのではないか。懸念されます。