踊る小児科医のblog

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感染研感染症情報センターによるアセスメント

2009年05月01日 | 新型インフルエンザ
国立感染症研究所感染症情報センターよる新型インフルエンザに関するアセスメント(現時点での暫定的なまとめ)が発表になっています。ぜひご一読下さい。
インフルエンザA(H1N1)による流行状況-更新1 2009年5月1日
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009who/09who10.html

詳しくは全文をご覧いただきたいと思いますが、主なポイントとしては、
1)現在、渡航歴のない人への感染が認められているのは、米国〔カリフォルニア州、テキサス州、ニューヨーク州〕とメキシコの2ヶ国で、カナダ〔ブリティッシュコロンビア州〕では学校から地域への伝播が報告されているが、詳細は不明。
2)症状は季節性のインフルエンザに類似しており、米国例では比較的消化器症状(下痢・嘔吐)を伴っていることが多い(20~25%)。
3)重症例のなかに基礎疾患のある症例が存在することが報告されているが、重症化率、致死率については現在のところ検討できる情報がない。
4)無症候性感染や軽症例には、診断に至るのは非常に難しく、今後感染が広がることも否めない。
5)医療従事者への感染は、標準予防策が徹底されたあとは、みられていないようだ。

数日前に岡部先生(同センター長)もおっしゃっていたように、軽症例からむしろ感染が拡大する可能性が高く、そういうケースの国内侵入を水際で防いだり、早期に診断して封じ込めすることは難しいと思われます。

いつまでこの「国内1例目シロかクロか」で大騒ぎしていられるものか。。

正当にこわがることはむつかしい。

2009年05月01日 | 新型インフルエンザ
ものをこわがらな過ぎたり、こわがり過ぎたりするのはやさしいが、正当にこわがることはなかなかむつかしい。
- 寺田 寅彦 (1935年)

#今回の新型インフルエンザだけでなく、食の安全とか予防接種、タバコの問題などでも同じことが言えますが、この寺田寅彦の格言はそれをよく表現してくれています。下記の安藤先生のまとめサイトに掲載されていて初めて知ったのですが、増田氏のサイトで言及されているように放射線科学者が原発推進擁護のために用いているのはちょっと違うかもしれません(どのような使われ方をしているかは原文では確認していませんが)。寺田寅彦の引用元の文章「小爆発二件」も青空文庫に掲載されていましたので、後で目を通してみたいと思います。

新型インフルエンザ・メモ(安藤@荒川医院)
http://www.cminc.ne.jp/pub/pandemic08.htm

正当にこわがる (4月30日 下野新聞)
http://www.shimotsuke.co.jp/special/raimei/20090430/141826

正当にこわがることはむつかしい。(増田耕一:SFC研究所)
http://web.sfc.keio.ac.jp/~masudako/sayings/fear_ja.html

小爆発二件(寺田寅彦)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000042/files/2507_13840.html