踊る小児科医のblog

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マスクは感染予防のためではありません

2009年05月19日 | 新型インフルエンザ
感染者が外に咳やくしゃみなどでウイルスを飛散させることを防ぐためのものです。
それによって感染拡大を防ぎ、結果的に感染者を減らす(集団としての予防につながる)ことが期待されます。

一般の健康な方が道を歩くのにマスクをしてもインフルエンザは防げません。
(というか、すれ違う程度の接触では感染しないって。。満員電車の中で目の前でくしゃみされれば別ですが)

だからアメリカでは街で誰もマスクをしていないのに、日本人だけが集団でマスクをしていて奇異な目で見られる。。
(集団でマスクをしていれば感染者の集団だと思われますから)
それに、成田に着いたとたんマスクを着けて降りてくるという意味がわからない。

昔みたいなガーゼのマスクなら加湿効果はあるかもしれませんが、あれ自体すぐに不潔になるものだし。。

それならばなぜ「個人の予防のために」すべての人にマスクをすることが推奨されているのか?
(実際には厚労省もそうは言ってないようなのですが、テレビや広報を見ればそのように理解されるのが普通だと思う)

よくわかりませんが、
マスクをしない1人の感染者から拡大することを防ぐために、全員にマスクさせれば漏れは無くなるという発想かもしれません。

感染者と濃厚接触する医療従事者のための「N95マスク」というのは、苦しくて何分も続けてつけていられないものですが(私もしたことがないし持ってません)、大阪府の発熱外来ではまだ緩和令がでていないので、ガウン、ゴーグル、N95マスク、手袋をして検体採取にあたっているようです。悲惨です。

★マスク不足に(医療系MLで紹介されたもの) …医療機関でもマスクの供給が途絶えています

・ペーパータオルでマスク作り
 http://comet.endless.ne.jp/users/katacli/mask/papermask.html

★東京都の新たな検査方針

>新型インフルエンザの広がっている国への渡航歴がないケースでも、
>同一病院の患者や職員、あるいは学校内の同一学級やクラブ内で、
>38度以上の発熱などがありA型インフルエンザに3人以上感染したと
>確認された場合、遺伝子検査を実施して新型かどうかを判明させる。

A型が1人ずつ別々の医療機関に受診しても、3人いるかどうかが確認できなければ「新型」かどうかの検査は行われないことになります。

いま一番のターゲットは東京(首都圏)ですが、すでにある程度入り込んでいると想定した方が良いでしょう。

お勧めブログ2つ:新型インフルエンザ対策

2009年05月19日 | 新型インフルエンザ
政府やマスコミの伝えることだけを鵜呑みにしていては真相は見えてきません。最近毎日のようにチェックしているブログを2つ紹介します。

・感染症診療の原則(青木眞氏)
 http://blog.goo.ne.jp/idconsult

・新型インフルエンザ対策の達人(個人ブログ=保健所医師)
 http://newinfluenza.blog62.fc2.com/

青木先生のブログでは、今回の「全県一斉休校」についても触れられています。私はもちろん青木先生のような感染症診療の専門家ではありませんが、毎日こどもたちの感染症を見続けているので、「誰も感染していない学校まで一斉休校させるのは意味がない」とごく当たり前のことを書いたつもりです。しかし、この記事にある「専門的な助言をした厚生労働省の担当者」はそうではなかったということ。。

・過剰対応後のおとしどころ 2009-05-18(感染症診療の原則)
 http://blog.goo.ne.jp/idconsult/e/1bb19109c5cdbb142ff9f1cc43e95b1a

(以下引用です)
まずひとりも発症者がいないのに学校を閉鎖する根拠は何か?

※報道によると自治体は限定対応をしようとし、文科省は一律対応をしなくていいといっていたのに「厚生労働省の担当者が『県内全域に広げた方が効果的だ』という専門的な助言をした」から一斉休校になったそうです。どの国でもそんなことはいわれていないんですけどね。担当者って誰?(5月18日 読売)
http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20090518-OYO1T00677.htm?from=main1

インフルエンザの場合はまず症例が自宅隔離(安静)をし、接触機会をたちきります。しかし数が一定数増えてきたところで学校や教育委員会が閉鎖を検討しています。(毎年一人出た!といってクラスや学校を閉鎖したりはしていません)

そして問題はいつ再開するか?です。

今回は「終わりの見えない根拠もよくわからない、しかしあとで何かいわれるのはやだなモード」が働いて検査がじゃんじゃんされることになるでしょう。
誰か過労死をしたり、予算が底をつくまでやるのか知りませんが、この先ひたすら(調べれば調べるほど)数は増えていきます。

数が増えている中で学校を再開する根拠はなんだ?になります。

今後もこういった感染症の問題はおきますので、問題処理能力としてどんな理屈で展開するの注目しましょう。
ニューヨークも3つ新たに閉鎖しましたが、学内での複数症例が探知されたからであり、地域全体ではありません。
(引用終わり)