踊る小児科医のblog

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2千人になったら?「通常インフル対応へ切り替え検討を」

2009年05月18日 | 新型インフルエンザ
「近々全数把握をやめて定点サーベイランスだけにする」という噂もあるようです。(真偽不明)

「国内感染がさらに拡大した場合は通常のインフルエンザの対応に切り替える」
一般の方は「感染拡大しているのに対策を下げるのか?」と疑問に思うかもしれませんが。

「修学旅行、駅で中止を知らされる」むごい話です。
もう少し「感染が拡大」して制限が緩和された時期だったら中止にならなくても済んだのに。
(そう言われて納得する中学生がいるだろうか)

こうなったら、早く2千人に達するのを待つしかないか。
(この2千人という数には特に根拠はないと思いますが、多分それ以上は「一杯でいちいち把握できない」という目分量でしょう)

「通常インフル対応へ切り替え検討を」与党、政府に要請(5月18日13時19分)
http://www.asahi.com/national/update/0518/TKY200905180148.html

>通常対応に切り替える目安として国内感染者が2千人に達した場合をあげる意見もあった。

新型インフル拡大「ドクターは戦場にいるような状態」(5月18日5時1分)
http://www.asahi.com/national/update/0518/OSK200905170118.html

>病院職員は「これ以上増えると救急医を発熱外来に回さなければならない。
>新型は季節性と症状も治療も変わらない。分けないで対応したいのだが」と話す。

修学旅行中止、駅で告げられた 大阪の中3「うそやー」(5月18日15時2分)
http://www.asahi.com/national/update/0518/OSK200905180093.html

>「絶対うそやー」「いややっ」。目を潤ませる生徒もいた。
>大阪市は高倉中のほか、24日までに出発予定だった小学校12、中学校40、
>特別支援学校1の計53校の修学旅行をすべて中止することを決めた。

すでに「蔓延期」/「感染拡大防止」の意味とは

2009年05月18日 | 新型インフルエンザ
兵庫県では既に「国内発生早期」ではなく「蔓延期」の対応へと切り替えを進めています。(そのような状況なのですから当然ですが)
これからは、一般の医療機関で新型インフルエンザも診療することになっていくはずです。(これまでの発見例が一般の医療機関を受診しているのですからこれも自然の成り行きで)
 注)5/18現在では従来どおり「疑われる方」は保健所の相談センターに電話する従来の体制のままです。

おそらく、一両日中に英国、スペインを抜いて4番目の「蔓延国」になると思います。
人口密度の高い大国ニッポンでの流行で、フェーズ6格上げは避けられない事態か。。
(できれば避けてほしかったのですが、、単に政治的な意味合いで)

◆「感染拡大防止」の意味とは

・流行開始までの時間を遅らせる(時間稼ぎ=水際作戦の意味)
・流行の山をなだらかにしてピークをずらす
・流行の山自体を小さくする
・それにより社会的混乱を少なくする

ことが目的であり、一例も侵入させないとか、(既に始まった)流行そのものを止めるということは最初から想定していません。
(ということを政府もマスコミも国民に説明しようとしない)

それに加えて、感染の際に重症化したり、一斉にかかると社会的機能が崩壊するおそれのある人たちに対して、

・ワクチン(今回の流行にはごく一部の人しか間に合わない)
・抗インフルエンザ薬の予防投与

によって感染しても発症を防いだり軽症で済ませるようにしたり、

・逆隔離

によって弱者の感染を防いぐための対策もとられる。

普通に感染した人には、一般的な治療(抗インフルエンザ薬)で対処。
もちろん重症化しそうな場合は、それぞれ入院など個別的に対応。

繰り返しますが、ワクチンと抗インフルエンザ薬の予防投与も「感染させない」のではなく、「感染してもごく軽く済ませて免疫を獲得させる」ことが目的となります。

「一斉休校は意味がない」と書きましたが、もちろん全く意味がないわけではなく、これから拡大する火を「一時的に」小さくしたり遅らせることはできるでしょう。
しかし、それだけ免疫のない集団が残されるわけですから、休校開けに再び感染が拡大する可能性は高い。

それがわかっているのなら良いのですが、1人も感染者を出さないことが目的と考えているのであれば、誰も感染者が確認されていない段階での一斉休校は意味がないと書いたのです。

このまま感染が拡大していけば、対応は一気に「季節性」並みに落としていかざるを得なくなり、今のアメリカのように誰もが普通に生活している状況に近づいていくはずです。。

いや、、そうなると良いのですが。。(まだまだ時間がかるか?)
橋下知事もそのように要請したようですね。舛添<ハシャギ過ぎ>厚労相に。。

流行は8週間かそれ以上続く可能性が高いので、その間、スポーツ大会もイベントも全部中止して、保育園も感染者が1人出るたびに休園にし続けることができないことには、すぐに気が付くでしょう。。
(当初の対策で全県2か月休校を想定していた県もあったようですが)

強毒性トリ「新型」の場合は、パンデミックのピークでは電車も止まったり社会機能が何割も低下して最低限の生活しかできないような状況が想定されていたわけで、それがどんな悲惨で大変な状況かがやっと理解できてきたことと思います。(私自身も頭ではわかっていたつもりでしたが…)

◆以下は、岡部先生が今回の流行が判明する前に述べた記事などの抜粋です。

◎新型インフル拡大で一般医療機関の直接診察も-感染研・岡部センター長(5月13日)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090513-00000003-cbn-soci

>今後、感染が拡大して診察や投薬へのニーズが高まり、またウイルスの病原性が強く
>ないと判断されれば、一般の医療機関で直接診察する形になることも考えられるとした。

>医療機関側の対応については、病原性の強い鳥インフルエンザ(H5N1)で想定した
>ような厳重な装備で診察するなどの対応は「必要ないのではないか」とし、
>必要以上に厳重な対策を取ることに慎重な姿勢を示した。

◎検疫体制の維持に限界、国内の感染拡大防止「考えるべき」(5月11日)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090511-00000002-cbn-soci

>検疫による水際対策の強化から、国内での感染拡大防止に向けた医療体制の整備
>など、「次の方策に切り替える、そういうことを十分に検討して、
>切り替える時期に来ている」と指摘。対策のシフトの「スイッチを押す」
>時期については議論中で、「遠からず」転換していくとの見方を示した。

>また、「ウイルスが国内に入り込み、検疫の強化にあまり意味がなくなった時」
>「国内体制が整ってきた時」が、対策のシフトの時期の目安になると指摘した。

◎抗インフル薬の適正使用など重要―感染研・岡部センター長(5月16日)
http://www.excite.co.jp/News/society/20090517/Cabrain_22041.html

>感染が広がった場合、すべての感染者を入院させるのではなく、
>重症患者を優先して入院させるなどの対応が必要になるとした。

>タミフルなど抗インフルエンザウイルス薬の備蓄量には限りがあり、患者数が
>さらに拡大して重症患者が発生した時に使えなくなる事態は避けるべきだと強調。

>国内でヒトからヒトへの感染が起こっている可能性が高いため、検疫など従来の
>水際対策から、国内での感染防止対策の強化へ「スイッチを切り替えるべきだろう」
>と述べた。

>対策の切り替えは、入院患者が病院に溢れてからでは遅いとし、
>「徐々に切り替えることが必要」とした。

>■感染拡大防止が最大の目標に

>軽症・重症を問わず、感染が強く疑われた全ケースで検査を実施し、
>感染が強く疑われればすべて措置入院にする。

>多くの軽症例が発生する第三段階以降(まん延期)には、病院による治療は
>重症者に集中させるほか、指定医療機関だけでなくすべての医療機関で治療に
>対応する形に切り替える。

>抗インフルエンザウイルス薬は治療への使用に集中し、予防投与は基本的に行わない。

◎新型インフル、「国内発生早期」に引き上げ-感染防止策を強化(5月16日)
http://news.cabrain.net/article/newsId/22040.html

>集会やイベントについては、「一律の自粛要請」は行わず、感染の広がりを
>考慮して開催の必要性を再検討するよう、主催者に求める。

>児童や生徒以外の患者が発生した場合にも、感染が拡大する恐れがあれば臨時休校・
>休業を求める。「確認事項」によると、休校や休業は、基本的に発生段階が回復期に
>なるまで継続するが、都道府県が疫学的情報を踏まえて1週間ごとに検討する。