昨夜の就寝前、といっても日が変わり8月7日の午前1時40分頃、ベッド脇のカーテンの位置を直そうとしたときに月が煌々としているのが見えた。きれいだなと思い、カメラとスマホを取りに居間へ戻り写真を撮った。
妙な夢を見た。末期ガンの診断を受け急遽入院することになった。病室が何故かドミトリーでベッドが二段ベットだ。たまたまそうなのか、その部屋には私以外に入院患者はなく、大部屋なのにゆったりとしていて居心地がよかった。担当医は男性3人のチームでお笑い芸人のような風情の人たちだ。状況としては深刻なはずだが、そういう様子なので、不安ななかにもほっとしたような気分だった。
今日は9月に入社する先の入社前健康診断があり、予約しておいた健診センターに出かけた。この手の健診は最安コースで、身長体重測定、視力検査、聴力検査、心電図検査、検尿、胸部レントゲン撮影、血液検査、問診で終わりだ。このように書いてしまうとあっという間に終わりそうだが、受診者が多く、受付から終了まで1時間半を要した。この健診センターには人間ドックや通常の健康診断で10年以上出向いているが、これまでに特にこれといったことはなかった。内視鏡検査は検査医の腕の上手下手による違いが多少はあったかなという程度だ。それが、今日は血液採集のときにこれといったことがあった。
血液検査で名前を呼ばれ、検査テーブルの前に座って台の上に腕を出す。アルコールにかぶれたことがあるかとか、以前に血液検査で気分が悪くなったことがあるかとか通り一遍の問診の後、看護師が私が出した腕の肘の内側を指でなぞり、血液を採集する針を刺す場所を決める。そのとき彼女が小さな声で「よしっ」と言ったのを私は聞き逃さなかった。その声を聞いて私は落語「舟徳」の徳さんを思い出した。普通なら、針を刺すと針から伸びる半透明のチューブをつーっと血液が走っていくのだが、チューブは半透明のままだ。看護師は「ん?」と言いながら針先のあるあたりを指で探りつつ針の向きや深さをかえてみる。それが一度や二度ではないのである。針を刺すときに「親指を握ってください」と言われてグーを作っていたのだが、何度かの探針の後、「すいません、一旦手を開いていただけますか」と言われてそのようにした。そして針を動かしたとき何かを感じたらしく「もう一回親指を握ってください」と言う。チューブを血液が走る。「お、来たっ」と看護師がつぶやく。まるで徳さんだ。
夜、シャワーを浴びた後、血液検査の針の跡が熱を持ってズキズキと痛み出したが、しばらくすると落ち着いた。昨夜の夢はこういうことを暗示していたのだろうか。