熊本熊的日常

日常生活についての雑記

福島の桃

2017年08月18日 | Weblog

桃が大好物だ。桃といえば桃太郎伝説、岡山の白桃と決まっている。決まっているがここ数年ご無沙汰だ。数年どころかこれまでの無闇に長い人生のなかで数えるほどしか縁がない。今の妻の実家のほうは桃の産地でもある。東京ではあまにお目にかからないが新潟の桃は大ぶりでみずみずしくて旨い。しかし、東京で出回る桃のなかでとりわけ旨いのは福島の桃だ。近頃はどういう仕掛けでそうなるのか知らないが、どこの産地の桃もそこそこに旨くなった。しかし、上っ面の香りや甘さではなく、芯からの旨さのようなものが福島の桃にはあるような気がする。その福島の桃はあの震災以降食べていなかった。桃に限らず明確に「福島産」のものには手を出さなかった。残り少ない人生だ。今更放射能をどうこう気にすることは無いのである。それでも手を出さなかった。素朴に気持ち悪いのである。

学生時代の友人が福島の原発で働いている。彼の誘いで昨年の6月にそっちのほうにでかけてきた。いわき駅前のホテルに泊まり、地元水産会社が経営しているという駅前の居酒屋で彼と呑んだ。翌日は朝食をそのホテルでいただき、昼は米国のケネディ大使も立ち寄ったという海に面した国道沿いの食堂で魚料理の定食をいただいた。原発周辺はようやく立ち入り禁止区域が原発周辺を残すまでに縮小し、復興へ向けてたいへんな勢いで様々な作業が進んでいることが雰囲気として伝わってきた。原発事故のことをとりあえず脇に退けて風景を眺めれば、何変わるところの無い海に近い地域の都市や集落の暮らしが広がっている。でも、いわきから帰った翌日の朝、なんの前触れもなく鼻血が出た。

昨日、妻が勤め帰りに駅前のスーパーで買い物をしてきた。今朝、そのときに2つだけ買ったという福島の桃を食べた。久しぶりにいただく福島の桃。やっぱり福島の桃は旨い。桃の様子をしたものに桃っぽい香りと甘さがついているだけというような安物のハリボテの桃とは違って、芯の芯からの正真正銘の桃なのである。桃が旨いのは一年を通して今時分だけだ。福島の桃、我が家でも解禁としようか。

ところで、今日も近所のコンビニにファックスを送りに出かけた以外は家のなかで過ごした。今日の写真は昨年6月26日に撮影したJR広野駅。