熊本熊的日常

日常生活についての雑記

民営化の帰結

2017年08月14日 | Weblog

帰省最終日。寝泊りしていた部屋を片付け、掃除機をかける。昨年だったか、一昨年だったか掃除機がダイソンに替わった。ダイソンはロンドンで暮らしていた頃に使っていたが、当時のモデルに比べると小型軽量化されていて取り回し易くなった。現在自宅で使っている国内メーカーのものと比べると仕事のパワーに顕著な差は感じないが、ダイソンのほうが手入れが楽だ。ただ、パワーヘッドはもうひと工夫欲しいと思う。

みんなで昼の食卓を囲んだ後、義弟の運転する車で私たち夫婦と義母とで長岡にある県立歴史博物館へ行く。義父は盆の僧侶が家に来るかもしれないということで留守番。長岡周辺は縄文土器が数多く発掘されている土地でもあり、歴史博物館は縄文文化についての展示に力点が置かれ、その後の時代についてはざっくりとしたものとなっている。企画展は「むかしのくらし」と題して主に昭和に使われていた生活道具類を集めた展示だ。似たような展示を以前に仙台のどこかのギャラリーで見た記憶があるが、仙台のほうは目白の坂田さんがプロデュースしたもので今回の展示とは違った視点によるものだった。それでもどちらも道具類のデザインに惹かれた。家電製品であれ、農家の道具類であれ、むかしのもののほうが素材の質感が強く感じられるような気がする。

博物館から長岡駅まで車で送ってもらい、そこから新幹線で帰ってきた。東京と柏崎を年に最低2回往復するようになって今年で4年になる。昨年と今年とでは鉄道ダイヤに差はないが、最初の年と比較すると新幹線と在来線の乗り継ぎは不便になっている。また、在来線の優等列車の本数が顕著に減少している。昨年との比較にしても、ダイヤは同じでも使用されている車両は昨年が115系の3両編成だったのに対し今年は一昨日のこのブログの写真にあるE129系2両編成だ。115系がボックスシートでE129系がベンチシートなので定員はそれほど変わらないかもしれないが、容量は間違いなく削減されている。

今年4月4日付のJR東日本のプレスリリースによれば、上越新幹線で使用されているE4は2020年度末(2021年3月31日)までにE7に置き換えられるそうだ。プレスリリースにはE4をE7に置き換えることによって「車内サービスの向上を図ります」と記載している。確かにE7のほうがシートピッチは大きくバリアフリーも充実する。「車内サービス」は向上するのだろう。しかし、車内でないサービスはどうだろう。E4は基本8両編成だが、16両で運行される場合は定員1,634名だ。E7は基本12両で924名。24両での運用はないだろうから、おそらく実質的には座席供給の削減ということになるだろう。要するに、需要との均衡を図りコストを削減するということなのだと思う。

卵が先か鶏が先かということかもしれないが、地方経済の梃入れを図らないといけないということはよく耳にするが、現実は逆の流れになっている。生物の身体で使われていない部位が退化するように、国土の荒廃も少しずつ進行している印象を受ける。しかし、考えようによっては少し不自由のあるくらいの土地で身の丈に合った生活のほうが快適ではないかとも思う。全く自分に縁のない土地に移って生活を立ち上げるのは現実的ではないだろうが、多少なりとも手がかりとなるような縁のある場所で残りの人生を過ごすのは自分にとって選択肢のひとつではある。