これから本格的にプラモデル作りを始めようと考えていらっしゃる方のためのお話の第4弾です。
私はカーモモデルやエアライン物などの「ピッカピカ系」は初心者ですし、AFVは全く未経験なので、これから先のお話はエアモデルと艦船を中心とたお話になります。
本格的にプラモデル作りを始めるにためには、どの程度の道具を用意する必要があるか?についてです。
必要な道具は、作る対象物(ジャンル)や作り方によって「人それぞれ」ということになってしまいますが、ここでは「素組みをするだけでも、最低限こういうものは必要」という意味で書いてみます。
※素組み=改造やアフターパーツの使用、ディテールアップなどを行わず、キットなりに組み立てて塗装して完成させること。
まず、組み立てるための道具です。
種類は多いですが、いずれも比較的安価なものばかりです。
・ニッパー
パーツをランナーから切り離す時の必需品です。
普通のハサミやカッターだけではなかなか上手くいきません。
プラモデル専用のものをお勧めします。1000円以下で買えると思います。
・カッターナイフ、デザインナイフ
写真のような4種類くらいあれば十分です。
パーツのバリやパーティングライン取り、マスキングなどに使います。
刃をケチらないことが重要なポイントです。
素組みでは使用頻度は少ないので、必需品ではありませんが「プラモデル用の彫刻刀」もあった方が良いです。
平の大小、角、丸の合計4本あれば十分です。 ホビー専門店で1本1000円前後で売っていると思います。
・ヤスリ
金属ヤスリと水ペーパーの2種類です。
金属ヤスリはパーツをランナーから切り離した跡のゲート部分の削り落としや、パーツの「合いの修正」などに使用します。
平、丸、三角又は四角の三種類の断面形のものがあれば、取りあえず大丈夫です。
目立てヤスリ(写真の一番下)があると、筋彫りの復活にも使えます。
水ペーパーは金属ヤスリで削った後の仕上げやパーツの磨きなどに使用します。
ホームセンターで売っているもので十分で、400、800、1200、1600、2000番くらいを準備すれば大丈夫です。
・コンパウンド
ヤスリや水ペーパーで磨いても細かいキズまでは消せませんので、最終的な仕上げはコンパウンドで磨くことになります。
特に銀塗装を行う場合や、カーモデル、エアライン物などをピッカピカに仕上げる場合には、コンパウンドでの磨きによる下地仕上げが大切です。
また、クリアパーツのキズやパーティングラインを取る際の仕上げにも必需品です。
荒目と仕上げ用の2種類あれば大丈夫ですが、クリアパーツなどはセラミックコンパウンドで仕上げると一層綺麗になります。
・パテ
ヤスリやカッターを駆使してパーツの調整を行ったり、プラ板を挟んでみたりしても、どうしても隙間や段差が残っててしまう場合があります。
このような場合には最終的には「パテ埋め」という方法しかありません。
色々な種類のパテが出回っていますが、素組みが前提なので、あくまでも「隙間」や「段差」の修正という用途に限るとラッカーパテが使いやすくて良いのではないかと思います。
チューブ入りの粘度の高いものとビン入りの「溶きパテ」と呼ばれるドロっとした液体状に薄められたものの2種類があれば十分と思います。
粘度が高い方は大きな隙間や段差の補修、ヒケの補修に使います。(ヘラで塗りつけます)
液状の「溶きパテ」は小さな隙間の補修や細かいところの補修に便利です。(筆でに塗りつけます)
下の写真は溶きパテで胴体とキャノピーの間の隙間を埋めている様子です。
いずれの場合もパテが余計なところに付かないようにすることが大切ですから、必要のないところはマスキングテープでマスクするなどの対策が必要です。
ラッカーパテの欠点は乾燥時の収縮が大きいため、大きな容積の補修には2~3度の重ね塗りが必要になる場合があることです。 この点、エポキシパテ(写真の手前に写っているもの)は収縮が殆ど無いので良いのですが、2つのパテをこね合わせて1回で使い切る必要があります。
いずれにしましても「パテは最後の手段」ですから、極力パテを使わなくても済むように、仮組み、パーツの調整や正確に接着することを心掛けましょう。
・筋彫り道具
「素組み」が前提なのでパーツの合いの調整や段差の修正などで消えてしまった筋彫りの復活に使用する程度です。
写真のような道具があれば十分です。
1枚目の写真は筋彫りを「彫る」道具です。
カルコと呼ばれる千枚通しの小型のようなものと、スクレイパーなどと呼ばれるもの、エッチングソーの3種類です。
いずれもホビー専門店へ行けば売っています。
2枚目の写真は筋彫りを彫る時の「ガイド」として使うものです。
銀色に見えるのはエッチングの定規で、直線は勿論、色々な形のガイドになっています。色々なアールの曲線もあります。 これを手で当てたり、テープで張り付けたりして使います。
テープのように見えるのはホビーショップ「ガネット」で取り扱っている専用テープです。
セロテープを思いっきり分厚くしたような感じですが、何度か貼ったり剥がしたりできます。
透明なことと、適度な堅さがポイントです。
今のところ、他のお店では扱っていないようなので、通販で入手するしかありませんが、もの凄く重宝します。
ダイモテープを使われている方も多いようです。
・接着剤
通常のプラ用としてはサラサラの流し込みタイプと、粘度の高いものの2種類が必要です。
粘度の高い接着剤は、接着面が広くてガッチリ接着したい場合に使用します。(飛行機で言えば主翼や尾翼の付け根など)
サラサラタイプは毛管現象を利用して狭い隙間に流し込むように使用します。(飛行機で言えば胴体左右の貼り合わせや、小物パーツの取り付けなど)
できればクリアパーツ専用の接着剤(写真の下)があると良いです。
素組みが前提なので、使用頻度は少ないですが瞬間接着剤も必要です。(素組みでも必ず必要になるのはアンテナ線や張り線の接着です)
これもサラサラタイプと粘度の高いタイプの2種類を用意しておくと便利です。
写真にあるように瞬間接着剤を付けるための道具も必要です。
・洗濯バサミ、クランプなど
接着剤が乾燥するまでの間のパーツの固定に使います。 必要な「強さ」や使用するパーツの大きさ、形に合わせて写真のような種類を用意しておくと良いです。
いずれもホームセンターや100円ショップで手に入るものばかりです。
・ピンバイス
パーツに穴を開ける時に使用する手動ドリルです。 用途は様々です。
今回ご紹介する道具の中では高価な部類です。
ビットの直径は0.2mm~3mmくらいまで揃えておけば十分です。(1mm以下のビットは簡単に折れますから消耗品と考えて下さい)
ピンバイスの方は1種類でもOKですが、大小2種類あると使い勝手が良いです。(1mm以下のビットを使う時には軽くて小さいバイスの方が使いやすいため)
・ピンセット
細かいパーツを扱う時の必需品です。
パーツを傷つけないようにするためのプラスチック製(デカール貼りにも使えます)と、しっかり持つための金属製の2種類あると良いです。
特に金属製の方は、ケチって安物を買うと後悔しますから、最初からある程度良いものを買うことをお勧めします。(安物はしっかりと保持できません)
・茶こし
パーツの洗浄に使います。
プラモデルのパーツの表面には、製造時に金型から外しやすくするための「離型剤」がかなり残っています。 この離型剤は油性のものなので、そのままにしておくと塗料が弾かれて、上手く塗装できない場合があります。 海外メーカーは特に要注意です。
中性洗剤などでパーツを洗浄することで離型剤を洗い流す必要がある訳ですが、大型のパーツなどは洗面器でジャブジャブやればいいのですが、細かいパーツは紛失の危険があるので、この茶コシに入れて蓋をしてからジャブジャブ洗えば紛失の心配はありません。 従って、あまり目の粗い茶コシでは駄目です。
スーパーの雑貨売り場や100円ショップで売っています。
長くなりましたが、以上で「素組みで組み立てる」ための道具としては一応十分だと思います。