万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

低所得世帯全額還付案は制度設計が難しい

2010年07月01日 17時10分02秒 | 日本政治
消費税、年収300万円以下は全額還付も検討 菅首相(朝日新聞) - goo ニュース
 管首相は、消費税10%案に関連して、年収300万円以下の家庭には消費税を全額還付する制度を提案したようです。しかしながら、この還付制度、制度設計が相当に難しいのではないかと思うのです。

 何故ならば、還付額を正確に把握するためには、年収300万円以下の家庭の全ての消費を申告してもらわなければならないからです。つまり、300万以下の世帯とされる家族全員が、スーパーや商店などでの日常の食品や生活用品の購入に際して、レシートや領収書を保存し、これを還付申告書類に添付する必要性が生じるのです。しかも、普通のレシートでは、購入者は特定できませんので、本人証明ができるレシートか、領収書を特別に発行してもらわなければなりません。これでは、お店の事務負担が増えますし、還付作業を行う税務署の仕事も飛躍的に増加します。また、還付を受ける人々も、買い物の都度、還付用のレシートか領収書の発行を求めなければならず、税免除という引け目と心理的な負担を感じるかもしれません。

 この案、提案することは易しいのですが、いざ、制度を具体化する段になって、躓くのではないかと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。


にほんブログ村 政治ブログへにほんブログ村
コメント (11)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする