万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

北方領土占領は正義に適わない―悪役と正義の味方を同時に演じたソ連

2010年07月28日 15時35分32秒 | 国際政治
領土問題巡り対日強硬論…ロシア戦勝記念日制定(読売新聞) - goo ニュース
 ロシアでは、日本国政府が第二次世界大戦の降伏文書に調印した日を、”歴史的な正義が取り戻された日”として戦勝記念日に制定するそうです。このロシアの正義の感覚、どこか、狂っていると思うのです。

 この法案の制定を推進した議員は、”南サハリンと千島列島を解放して、戦争終結を早めた”と発言したそうですが、そもそも、南サハリンも千島列島も、国際法で認められた日本国の領土でした。ですから、”解放”という表現は当たりません。むしろ、何らの法的な根拠もなく、中立条約を一方的に破棄してこれらの地に武力進攻したのは、ソ連邦のほうです。この行為は、”違法”であり、しかも、軍事占領のみならず、自国の領土として”併合”してしまったのですから、”侵略”に他ならないのです。また、第二次世界大戦を引き起こした責任はは、ナチス・ドイツと組んでポーランドに侵攻したソ連邦にもあることも、忘れているようです。ロシアは、自らを正義の側におきたいようですが、現実の歴史では、悪役をも演じていたのです。

 第一次世界大戦に際して、レーニンは、無併合主義を唱えたことはよく知られています(連合国でも無併合主義は確認されていた・・・)。当のソ連邦建国の立役者が、戦争による領土併合が正義に反すると主張していたのですから、ロシアもまた、北方領土支配が、法にも、正義にも反することを認識すべきなのではないかと思うのです。

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コメント (4)
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