万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

マニフェスト不記載の大問題

2010年07月11日 16時18分02秒 | 日本政治
かすむマニフェスト 何を頼りに投票すればいいの?(産経新聞) - goo ニュース
 民主党は、国民に不人気でありながら、早期の成立をはかりたい三法案―外国人地方参政権法案、夫婦別姓法案、人権救済機関設置法案―については、参議院選挙でのマニフェスト記載を見送りました。マニフェスト不記載には、正反対の二つの解釈が成り立つものの、民主主義の原則に照らせば、これらの法案の成立は難しいのではないかと思うのです。

(1)不記載だから成立できない
 第一の解釈は、政党は、国民との約束として、自らが実現を目指す政策をマニフェストに書かなければならず、不記載ということは、すなわち、法案を提出することができないことを意味する、というものです。契約に譬えてみますと、契約内容に書かれていないことを実施することできない、ということになります。

(2)不記載は白紙委任である
 もう一つの解釈は、マニフェストに書かれていないことについては、国民が、政党に白紙委任したに等しい、というものです。この考えは、法の解釈論でいうならば、規定されている事項から規定されていない事項を肯定する反対解釈に近いものですが、これでは、無制限に白紙委任の範囲が拡大してしまいます。

 こうした問題の発生は、そもそも、マニフェストに記載すべき事項とは何か、ということを議論せずして、見切り発車してしまったことにも原因があるのですが、少なくとも、民主主義を尊重するならば、白紙委任の容認は、大問題なのではないかと思うのです。

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