万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中国を触発するロシアの行動-世界が無法地帯となる

2014年03月05日 15時31分27秒 | 国際政治
ウクライナ情勢 緊迫の首都に志願兵続々、キエフ市民は徹底抗戦の構え(産経新聞) - goo ニュース
 ロシアのクリミア半島におけるロシア軍の行動は、全面的なウクライナ軍との戦闘状態には至っていないものの、”闘わずして勝つ”を目指しているように見えます。最後通牒としてウクライナ守備軍の4日以内の投降を求めたとする情報の真偽は別としても、クリミア半島をロシア軍で占領・包囲することで、ウクライナの屈服を要求してるのですから。

 ロシアのクリミア自治共和国への軍派遣の口実は、ロシア系住民の保護でした。しかしながら、人口の6割を占めるロシア系住民が、ウクライナ系やタタール系の住民、あるいは、自治政府からの弾圧や虐待を受けているとする報告はなく、住民保護は介入の口実に過ぎないようです。加えて、ロシア政府は、ロシアに亡命したヤヌコーヴィッチ氏こそ合法的な大統領と見なし、介入は、大統領の要請を受けてのものとも説明しています。仮に、このような手法が国際社会においてまかり通ることになれば、ロシアの行動を真似る国が出現してもおかしくはありません。特に中国は、かねてよりこの手法を模索してきたのですから、周辺諸国に対しても、ロシア流の軍事行動を起こす可能性が急上昇します。尖閣諸島の場合には、これまでの身勝手な主張を根拠に一方的な軍事占領を行うでしょうし、沖縄については、中国系住民の保護を理由として軍を派遣するかもしれません(久米村の中国系住民や近年の中国系移民…)。そして、日本国に親中政権が成立すれば、人民解放軍を呼び入れ、日本国そのものを乗っ取る可能性もあります。中国の軍事行動のリスクは、日本国に留まらず、国籍の有無に拘わらず、中国系住民が居住している全ての諸国が抱えることになるのです(ロシアもまた中国の脅威を受けることに…)。

 プーチン大統領は、ロシアの国益の堅持を以ってウクライナでの行動を正当化しようとしていますが、国際社会に与えるマイナス影響については全く考慮していないようです。全世界を暴力が支配する野蛮な無法地帯に逆戻りさせてしまうという…。国連安保理の常任理事国は、特権を認められている以上、全世界に対して責任を負うべきなのではないかと思うのです。

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コメント (2)
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