万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

クリミア問題-エネルギー価格上昇のリスク

2014年03月31日 15時42分48秒 | 国際政治
電気・ガス料金、最高に=5月、消費増税分を転嫁(時事通信) - goo ニュース
 日本国の貿易赤字は一向に改善の兆しが見えず、原発再稼働の遅れによる火力発電用の燃料費の輸入が赤字要因として指摘されています。経産省のエネルギー基本計画の策定にあっても、原子力発電に対して負の圧力がかかる一方で、再生エネの普及率の数値目標化なども検討されているそうです。

 しかしながら、エネルギー政策とは、国際情勢や外部環境の変化から直接的な影響を受けるものです。言い換えますと、長期的、かつ、厳密な計画を立てることは極めて難しい分野でもあり、硬直的な計画の実施は、経済にとって命取りにならないとも限りません。新技術の確立、エネルギー資源の枯渇と発見、並びに、資源国の政策などによって、エネルギー事情は一変するのです。ウクライナでの政変に端を発したクリミア問題も例外ではありません。ロシアは、世界有数の天然ガスの輸出国であり、パイプラインの敷設によってウクライナのみならず、ドイツといったヨーロッパ諸国にも天然ガスを供給してきました。ところが、現在、ロシアのクリミア併合に対する経済制裁として、ロシアからの天然ガスの輸入を制限する方向に向かっています。代替エネルギーとして、アメリカやブラジルなどのシェールガスが有望視されていますが、このことは、国際経済における全般的なエネルギー価格の上昇を示唆しています。需要と供給のバランスからしますと、供給が減少すれば、当然に価格は上昇するからです。

 日本国政府は、原発の稼働停止状態が長引いても、アメリカからの安価なシェールガスの輸入に望みを繋いでいたのでしょうが、この予定も狂う可能性があります。クリミア問題は、政治のみならず、日本国の経済にも難題をもたらすと思うのです。

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コメント (2)
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