万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

日米韓首脳会談―結束を見せる相手は中国ではなく北朝鮮?

2014年03月21日 15時47分27秒 | アジア
日米韓首脳会談開催へ…朴大統領が受け入れ(読売新聞) - goo ニュース
 日米間の首脳会談の開催をめぐっては、安倍首相が国会で河野談話の継承を表明するなど、日韓間に駆け引きが見られました。ひと騒動の果てに首脳会談が実現する運びとなりましたが、この会談、アジアの安定に資するのでしょうか。

 日本国にとりましては、当面の脅威は中国の覇権主義であり、尖閣諸島には既に中国の魔の手が伸びつつあります。ところが、日米韓の結束を誇示する相手は北朝鮮のみであり、中国はその対象から外されているようなのです。本日も、ミッシェル・オバマ大統領夫人が、二人の娘さんを連れて中国に一週間も滞在するとも報じられており、むしろ、米中の親密ぶりがアピールされています。韓国の朴大統領が日米韓首脳会議に渋々ながら応じたのも、中国を刺激しないとする確約をアメリカから得たからかもしれません。かくして日米韓首脳会談の議題は、韓国の懸念材料である北朝の核鮮問題に絞られ、しかも、この会談で、北朝鮮に対する何らかの強硬策が決定される見通しもありませんので、三国の首脳の顔合わせだけで終わる可能性もあるのです。

 中国に対しての結束ではない以上、日本国には、北朝鮮有事にだけ韓国支援を強要される一方で、自国の尖閣有事に際しては、知らんぷりをされるリスクがあります。中国の軍事的拡張主義に対する対策が議題に上がらない日米韓首脳会談は、対中包囲網の強化には繋がりませんので、アジア全体を安定化させる効果を期待することは難しいと思うのです。

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コメント (2)
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