万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

AIIBの参加国数は最後まで分からない

2015年04月04日 15時41分39秒 | 国際政治
アジア投資銀参加見送り「マイナスない」 麻生財務相(朝日新聞) - goo ニュース
 AIIBの参加申請の期日が過ぎ、51カ国が中国主導の新たなインフラ融資機関に加わることを表明しました。しかしながら、この数、最後まで分からないのではないかと思うのです。

 国際機関が正式に発足し、申請国の加盟が決まるまでの間には、幾つもの手続きを経るものです。現在、中国が示したAIIBの設立に関する覚書に加盟を希望する諸国の代表が署名した段階にあります。つまり、今後、AIIBの創設メンバーが決まり、設立が実現するまでの間、協定の作成と署名に加えて、国内の批准手続きという難関が待っているのです。台湾では、馬総統のAIIBへの参加表明が、対中経済協定を中止に追い込んだ”ひまわり運動”を再燃させ、参加反対の市民団体が抗議活動を行っているそうです。親中派である馬総統への風当たりも強く、議会において加盟が承認されない可能性も否定はできません。そして、AIIBの”安全性”については、他の参加予定諸国においても議会を舞台に議論されることでしょう。特に、作成されたAIIB設立協定の内容が、中国に支配権とでも言うべき”主導的役割”を与え、従来の国際社会のルールに反した公平性や透明性に欠けるものであれば、反対論もまた強くなります。

 果たして、AIIBの参加国は、最終的には何カ国となるのでしょうか。中国が宣伝するように、AIIB設立が国際秩序を戦後の転換させるほどの重大な意味を持つならば、参加予定諸国における議論もまた激しくなるのではないかと思うのです。

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コメント (4)
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