万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

習近平主席の軍掌握は動乱の前触れ?

2015年04月16日 15時19分49秒 | 国際政治
中国の元軍制服組トップ、郭伯雄氏が失脚 汚職疑いで取り調べ 習近平氏、軍部掌握へ大なたか(産経新聞) - goo ニュース
 中国全土で猛威を振るっている”汚職追放キャンペーン”は、遂に人民解放軍にも及び、元制服組のトップであった郭伯雄氏が汚職容疑で失脚したと報じられております。汚職追放が名目に過ぎず、その実態が権力闘争であることは周知のことですが、習主席による権力掌握への動きは、国際社会に暗い影を落としております。

 失脚が報じられている郭伯雄氏は江沢民元国家主席が率いてきた江派に属しており、汚職追放に名を借りた江派の一掃が狙いとされております。江派との激烈な闘争と追い落としに対しては、江派の反撃も予測されており、反乱の芽を摘むために、軍部からの江派の排除を徹底したかったのでしょう。カリスマ型の独裁者と見なされた毛沢東の死後、中国では、一党独裁ではあっても個人独裁は現れず、派閥の寄せ集めである集団指導体制を基調としてきました。ところが、習政権の誕生以来、”汚職摘発”による粛清によって急速に集権化が進行し、今や人民解放軍を完全掌握しつつあります。このことは、周辺諸国にとりましては、深刻な安全保障上の脅威です。何故ならば、軍事行動を起こすに際して、習政権は、もはや地方軍管区の離反を警戒しなくても済むからです。中国の歴史を振り返りますと、周辺諸国への遠征軍の派遣が内乱を招いた事例が見られます。そして、独裁体制は得てして軍事国家化に向うことは、過去の歴史が示しております。

 昨今、中国への関心はAIIBに集中しておりますが、水面下では中国の体制に変化が起きていることも見逃してはならないと思うのです。それは、全世界を巻き込む動乱の前兆かも知れないのですから。

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コメント (2)
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