本日の日経新聞の一面に、バーゼル銀行監督委員会が、銀行の国債保有について新たな規制を導入する見通しであるとの記事が掲載されておりました。規制案には二つの選択肢があるそうなのですが、どちらを採りましても、国債暴落を加速させるリスクがあるのではないかと思うのです。
新規制の導入の趣旨は、国債の金利上昇リスクによる銀行経営の不健全化の防止にあります。つまり、銀行の国債保有そのものが、リスクと認識されているのです(住宅ローンや企業向け長期融資も同列に扱われるらしい…)。新たな方針の下で作成された2案とは、金利の上昇リスクが高まった場合、(1)銀行に対して、BISが新たに設定した基準に基づき、国債の一部を売却するか、資本を積み増ことを義務付ける、(2)金融当局の監督権限を強化し、金融当局が、個別の銀行に対して、国債の一部の売却、あるいは、資本増強の行政処分を行う、とするものです。第一案と第二案の違いは、ルールに従い義務的に銀行が自主的に実施するか、あるいは、金融当局が行政処分を以って実施させるかにあり、どちらであっても、対応策として国債の売却や資本増強が要求されることにおいては変わりがありません。資本増強が、”貸し渋り”や”貸しはがし”を招くことは、既に自己資本規制導入時に経験済みですが、国債売却の危険性は、資本増強を遥かに凌ぎます。当記事でも指摘されているように、この規制が実施されますと、国債リスク上昇局面で、銀行が、保有する国債を義務的に売却することになるからです。リスクが高く、国債価格が低下傾向にある国債が、債券市場で一度に大量に売却されれば、国債価格の暴落が引き起こされることは目に見えております(売り浴びせ状態…)。
高リスクの国債を手放せば、確かに銀行の健全性は保たれますが、そのリスクは消滅するのではなく、国債を発行している諸国に移転されます。ギリシャはひとたまりもないでしょうし、国債発行高が抜きん出ている日本国もまた、ソブリン危機に直面する可能性が高まります(日銀が買い支え?)。バーゼル銀行委員会が、何故、リスクがリスクを呼び、ソブリン危機を世界大に拡散する怖れのある規制を提案したのか、不思議でならないのです。
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新規制の導入の趣旨は、国債の金利上昇リスクによる銀行経営の不健全化の防止にあります。つまり、銀行の国債保有そのものが、リスクと認識されているのです(住宅ローンや企業向け長期融資も同列に扱われるらしい…)。新たな方針の下で作成された2案とは、金利の上昇リスクが高まった場合、(1)銀行に対して、BISが新たに設定した基準に基づき、国債の一部を売却するか、資本を積み増ことを義務付ける、(2)金融当局の監督権限を強化し、金融当局が、個別の銀行に対して、国債の一部の売却、あるいは、資本増強の行政処分を行う、とするものです。第一案と第二案の違いは、ルールに従い義務的に銀行が自主的に実施するか、あるいは、金融当局が行政処分を以って実施させるかにあり、どちらであっても、対応策として国債の売却や資本増強が要求されることにおいては変わりがありません。資本増強が、”貸し渋り”や”貸しはがし”を招くことは、既に自己資本規制導入時に経験済みですが、国債売却の危険性は、資本増強を遥かに凌ぎます。当記事でも指摘されているように、この規制が実施されますと、国債リスク上昇局面で、銀行が、保有する国債を義務的に売却することになるからです。リスクが高く、国債価格が低下傾向にある国債が、債券市場で一度に大量に売却されれば、国債価格の暴落が引き起こされることは目に見えております(売り浴びせ状態…)。
高リスクの国債を手放せば、確かに銀行の健全性は保たれますが、そのリスクは消滅するのではなく、国債を発行している諸国に移転されます。ギリシャはひとたまりもないでしょうし、国債発行高が抜きん出ている日本国もまた、ソブリン危機に直面する可能性が高まります(日銀が買い支え?)。バーゼル銀行委員会が、何故、リスクがリスクを呼び、ソブリン危機を世界大に拡散する怖れのある規制を提案したのか、不思議でならないのです。
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