万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

AIIBは中国の一党独裁体制の延命装置か?

2015年04月13日 15時17分16秒 | 国際経済
ドル覇権揺さぶるAIIB 米国で参加促す意見台頭…「中国の夢」は抑制可能か(フジサンケイビジネスアイ) - goo ニュース
 中国経済の減速が報じられる中、AIIBについては、様々な憶測が飛び交っております。不透明感が増す一方ですが、最近の中国国内の経済事情からしますと、AIIBには、共産主義体制の延命装置としての一面があるのではないかと思うのです。

 改革開放路線を選択したとはいえ、中国には、政府系、否、共産党系の企業が隠然たる地位を保持しています。特に、インフラや重工業部門は、党の利権でもあるため、民間企業は育ちにくいようです。このことは、中国では、共産主義体制の特色でもある統制経済が生き残っていることを意味しており、採算性を無視した過剰投資や過剰生産によって、在庫の山を造ることも珍しくありません。加えて、金融部門でも、不動産投資等で不良債権を抱え込んだ政府系金融機関が民間金融機関にこれらの不良債権を押し付けるという事態も発生しております。外資の逃避に加えて、自慢の外貨準備も減少傾向にあり、資本の流出を補うために、中国は、借り入れを増やしているとも報じられています。この流れからAIIBを観察しますと、中国が設立を急ぐ理由は、新たなインフラ投資で建設需要を創出し、経営難にある政府系企業を救済すると共に(共産党の利権維持…)、その資金を海外から調達することにありそうです。中国の金融バブルの崩壊は時間の問題とされておりますが、多量の不良債権を抱えた民間金融機関が破綻し、かつ、その融資先である民間企業が潰れても、政府系の企業が生き残れれば、それで良しとしたいのでしょう。しかも、AIIBの運営が不透明であれば、共産党の新たな利権ともなります。

 上記の見解は私見に過ぎないのですが、仮に、中国の思惑がこの憶測通りとしますと、内需拡大は望むべくもなく、中国経済の行く先は然程に明るくはなさそうです。また、AIIBへの参加を表明した諸国は、中国の現体制の延命のために貢献するに過ぎなくなります。AIIBとは、中国が大国として国際社会に君臨するための機関なのでしょうか、それとも、無理が祟って危機に瀕している中国を救済うためのための機関なのでしょうか。そして、後者であるならば、延命させる価値があるのか、と言う疑問も湧いてくるのです。

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コメント (2)
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