風の遊子(ゆうし)の楽がきノート

旅人を意味する遊子(ゆうし)のように、気ままに歩き、自己満足の域を出ない水彩画を描いたり、ちょっといい話を綴れたら・・・

楽書き雑記「生命力の美しさに共感=古希の女性の日本画個展を拝見」

2015-08-05 19:48:56 | アート・文化

      
          
     
 
   
 

「古希を迎え念願の個展を決意しました。私が美しいと感じた思いを共感して戴けたら・・・」。こんな案内はがきを手に、名古屋市東区東桜にある東桜会館1階のギャラリーへ出向いてきました。
日本画を描く後藤決美(きわみ)さん=名古屋市名東区在住。これまで後藤さんとは面識がなく、お名前も知りませんでしたが、作品からあふれる生命力の美しさに僕も共感しました。個展は9日(日)まで。

「私がお絵かきを好きになったきっかけは、小学校で初めて描いた絵でした」「すべり台から滑ろうしている子の足を描いた絵が、先生から『すごいね』とほめられたのです」と後藤さん。
なるほど、僕もすごいモチーフと構図だと思います。それにしても、先生のひとことって大切ですね。

高校時代を美術部で過ごし、家庭を持ってからも水彩画を趣味に。子育てがひと段落し、ご主人からゴルフ仲間の日本画家を紹介されて日本画の道へ入りました。ご主人は決美さんの日本画作品を見ないまま亡くなられましたが、高齢者施設でヘルパーなどをして絵の創作を続け、施設へ贈るなどしてきたそうです。
(余談ですが、ここまで後藤さんを取材した段階で、冒頭の案内はがきが高齢の絵仲間から[なぜ届いたのか」の謎が解けました。絵仲間は現在、この施設で現在リハビリ中なのです)

後藤さんは数年前、濱田樹里画家と出会ったことで、自分なりに大胆な表現で描けるようになり、描くことがより楽しくなったそうです。

濱田画家は豊かな色彩感覚と生命力に富んだ大作で知られ、第5回東山魁夷記念日経日本画大賞展で大賞を得るなどし、名古屋造形大や愛知県立芸大で教壇に立っています。


後藤さんが個展に出している作品は「森羅万象」と題する7枚のF50号シリーズなど約30点。ここに掲載した写真でもお分かりの通り、大胆で迫力のある絵が目立ちます。
「楽しさは増したのですが、70歳になって体力的にも大きな作品を続けられるかどうか少し不安に。だから、個展をひと区切りの場にと思って。でも描くことはやめませんよ」と後藤さん。
そりゃあ、そうですよ。作品の持つ力強さとみずみずしさは、とても枯れそうにはありませんから。