風の遊子(ゆうし)の楽がきノート

旅人を意味する遊子(ゆうし)のように、気ままに歩き、自己満足の域を出ない水彩画を描いたり、ちょっといい話を綴れたら・・・

楽書き雑記「被爆70年広島・長崎原爆絵画展と21世紀の主役達展」

2015-08-11 16:09:20 | 日記・エッセイ・コラム


名古屋・栄の市民ギャラリーで開催中の2つの展覧会を見てきました。
「被爆70周年 広島・長崎原爆絵画展」と「21世紀の主役達」と題する子供たちの絵画や造形の作品展。戦争のおろかさを改めて考え、平和の素晴らしさを思うひと時でした。いずれも16日(日)まで。

≪被爆70周年 広島・長崎原爆絵画展≫
名古屋市原爆被爆者の会(被名協)が毎年開いている催し。同会によると現在、全国の被爆者数は18万3519人、愛知県内では2207人、名古屋市内では888人。全国では年間約1万人ずつ減っており、平均年齢は80歳だそうです。

展覧会場には、広島・長崎の被爆体験者が描いた体験絵画がびっしり。
原爆投下直後の街を逃げ惑う人々、子供をかばうほぼ全裸の母親、病院前にできたたくさんの列、強烈な閃光と熱風・・・。
10日夜、NHKテレビで被爆3日後の広島で路面電車を走らせたドラマが放送されましたが、展示された絵にも広島と長崎の市電が描かれています。


岡山放送局から広島へ救援に駆けつけた故牧野俊介さんが描き、名古屋市に寄贈されたという体験絵画20枚も、目をくぎ付けにします。
広島駅前で焼けたトタン板に並べられた爆死体、黒焦げの遺体が並ぶ陸軍病院内、川に浮かんだ遺体の引き上げ作業、積み上げた遺体に油をかけての焼却作業等々。

1952年8月6日発行の「アサヒグラフ」も。ここには特別増刷「原爆被害の初公開」と銘打って悲惨な写真と記事が特集されており、「伏せられていたやっと被害が明らかになった貴重な記録」としてコピーを展示しています。

名古屋市原爆被爆者の会の会長で、名古屋から広島の工場に転勤して働いていて被爆した堀三郎さんは「核の悲劇を絶対に繰り返さないために、原爆を風化させ、埋もれさせてはならない。こうした催しを通して、ひとりでも多くの人たちに事実を語り継ぐことが私たち被爆者の使命です」と話しました。

   
  
  

                   

        

                                


≪21世紀の主役達展
名古屋近郊の愛知県長久手市で加藤裕美さんが、3歳から小学6年生までの子供たちを対象に開いている美術・造形教室の17回目の作品展。
油絵、水彩画、切り絵、版画など、好き好きの絵具で仕上げた絵画。竹や割り箸、アイスクリームのスティックなどを使って思い思いに造った「ワールド」、粘土などで造った動物や可愛い妖怪たち、自分だけでなく友だちにもあげたいカラフルな帽子やリボンが並んでいます。

夢や目標も。「テレビに出てかつやくする」「ピアニストになれますように」「折り紙でギネスに」「がかになりたい」
手作り絵本も並んでいます。新幹線、家族旅行、友だちなどのタイトルで、ページをめくるたびに楽しさが伝わってきます。

裕美さんの夫で、会場で子どもたちと当番をしていた養護学校教師の浩二さんは言いました。
「作品には名前だけで、年齢や学年などは入れてありません。だって、みんなアーティストですから」
「原爆など悲惨な70年前があって、今の子供たちの世界がある。繋がっているのですね。子供たちには、造形などを通して豊かな感受性を養うことで、物事をきちんととらえ、考えることができ、行動ができる21世紀の主役になって欲しいですね」