風の遊子(ゆうし)の楽がきノート

旅人を意味する遊子(ゆうし)のように、気ままに歩き、自己満足の域を出ない水彩画を描いたり、ちょっといい話を綴れたら・・・

楽書き雑記「酔芙蓉=名古屋・鶴舞公園のスイフヨウ園でも開花が始まる」

2015-09-01 06:13:45 | 日記・エッセイ・コラム

 

         

      
    写真は正午ごろ。ちょっぴりピンクに染まり始めたところです

朝早く咲いた直径12センチほどの白い花が、次第にピンクに染まり、赤みを増して、夕方にはしぼんでしまう1日花・スイフヨウ。
柔らかく薄い花弁としとやかな姿は、お酒をちょっと飲んで頬を染めた女性みたい。漢字で「酔芙蓉」と書くのはぴったりですね。

ちなみに花言葉を見ると、「繊細な美」「しとやかな恋人」とありました。なるほど。

名古屋・鶴舞公園にある「スイフヨウ園」を訪ねました。
ここには背丈が80センチぐらいの若木から3メール近い成木まで、60株ほどの酔芙蓉を10月上旬まで鑑賞できます。

予期した通り少し時期が早く、写真のように数輪が咲いた株もありましたが、多くは1、2輪か蕾だけ。でも、この花の場合は花数が少ない方が気品や風情を感じる、と僕は思いました。

酔芙蓉と聞いて、ことし6月に亡くなった直木賞作家・高橋治が1985年に発表、テレビドラマ化もされた小説「風の盆恋歌」を思い浮かべる方が少なくないでしょう。

富山県南部の八尾町。この山間の町を舞台に、運命的な出会いをした男女が毎年3日間(9月1~3日)の祭り「おわら風の盆」に逢瀬を重ねる忍び合う恋。
幻想的な踊り、哀調を帯びた胡弓の音色と旋律。そして控えめに花開き、やがて妖艶にも思える酔芙蓉が、狂おしい愛の物語に引き込んでくれます。

僕も仕事で八尾町をこの時期に訪ねたことがあります。
民家の軒下や小さな庭で咲く酔芙蓉に出会い、なぜか胸が騒いだものです。