10月31日。今日は感謝祭。Thanksgiving Dayというのは文字通り神に感謝の祈りを捧げる日のことで、アメリカは11月の第4木曜日だけど、カナダは10月第2月曜日。収穫の時期に合わせたのかもしれない。カナダの感謝祭の起源についてはいろいろ説があって、実際のところは起源不詳。アメリカの感謝祭はメイフラワー号で新大陸に渡った清教徒がイギリスから持って来た教会行事にルーツがあって、日本の神道の行事「新嘗祭」と似ているかな。プリマスに入植したピルグリムたちが収穫を感謝し、1年を無事に過ごせたことを感謝して、何かと助けてくれた先住民も招いて晩餐会を開いたのが始まりと言われる。
現代の感謝祭は家族が集まってご馳走を食べる日で、アメリカでは帰省する人たちで空も陸も大混雑になるけど、カナダではそういうことはない。でも、定番は七面鳥の丸焼きとパンプキンパイ。10月に入るとスーパーのフリーザーに大きな七面鳥がごろごろ。小さいものでも4キロぐらい、大きいものはゆうに10キロを超えるけど、一番ジューシーでおいしいのは5、6キロあたり。(私達は鶏や鴨の方が断然おいしいと思っているけど、伝統料理なので・・・。)小さいもので夫婦2人には大き過ぎるので、3、4日は毎日七面鳥の残り物料理。いい加減にうんざりした頃に、まだ残っている肉があれば冷凍し、骨や皮の残骸でスープのだしを作っておしまい。ちなみにワタシが焼いた最大の七面鳥は7キロもあって、焼き上げるのに5時間近くかかったけど、あれはさすがに持て余したな。
我が家で最後に七面鳥を焼いたのはもう数年前のこと。その後しばらくは鴨一羽を解体してコース料理を作ったりしていたけど、今年はがらりと趣向を変えて、秋の味覚「松茸」。最上級品は日本へ空輸されてしまうので、地元に出回るのはわりと下のグレード。それでも松茸は松茸。パックには大小5本入っていたので、そのうち3本を使って松茸づくしの4コース。ググッて調べた日本のレシピは定番料理ばかりだったので、ここは極楽とんぼ亭のシェフの「思いつき力」の見せどころ。どのコースもトースターオーブンでできる量なので、出来上がりのタイミングを算段して調理開始・・・。
本日のメニュー: アミューズブーシュ(ポテト、にんじんのミルポワと松茸のホイル焼き)
松茸スープenココット
七面鳥、松茸、ほうれん草のギリシャ風フィロ包み焼き、蒸し野菜添え
松茸詰めうずらのロースト、松茸ソース、松茸入りサフランリゾット、枝豆
(黒オリーブ、プチトマト、レタスのサラダ)
デザート(抹茶のパンナコッタ)
[写真] みじん切りのジャガイモとにんじんとスライスした松茸をレイヤーにして、バターを載せて、ホイルに包んでオーブン焼き。もう少し量が多ければガレット型に詰めて焼いて、ケーキのようにきれいに切り分けられると思う。
[写真] ココットに松茸のスライス、鶏もも肉を少々、えび1本、ほうれん草の若葉を入れて、チキンストックと白ワイン少々であっさりとオーブン焼き。薄めのストックにしたので松茸の香りがけっこう生きていた。
[写真] フィロを3枚重ねて広げ、端の方から塩ヨーグルトでマリネートして薄くスライスした七面鳥の胸肉を並べて折り返し、その上にスライスした松茸を並べてまた折り返し、その上ほうれん草の若葉を並べてフェタチーズを散らしてさらに折り返して、段々になるように巻いて、こんがりオーブン焼き。何ちゃらギリシャ風だけど、松茸の香りはぴったり。蒸したカリフラワーとブロッコリーニを添えて。
[写真] うずらは骨抜きをして、刻んだ松茸とパン粉だけで作ったスタフィングを入れて、丸焼きのように形を整え、さっとオリーブ油を塗ってロースト。(ドールハウスの「七面鳥の丸焼き」にぴったりのサイズになるのがおもしろい。)リゾットはイタリアのカルナロリ米を使って、途中で刻んだ松茸とサフランを入れ、仕上がり近くに、薄く、薄くスライスした松茸を載せておいてちょっと加熱。ソースは細かく切った松茸をうずらの焼き汁で煮て、アエロラッテでとろみが出るまで撹拌。リゾットは型をつけて気取って、松茸を飾ってみた。
[写真] 今日は何を思ったかデザートまで作ってしまった。抹茶のパンナコッタ。パンナコッタは大好きだけど、作るのは初めて。レシピの分量を半分にしたので、ゼラチンの分量を計算するのに苦労したけど、クリーム、牛乳、砂糖、抹茶を温めて、ゼラチンを加えて、指先でサラダ油を薄く塗ったプリン型に流し込んで、冷蔵庫で2時間ほど。ゼラチンの量が合っていたようで、ちょうどいい固さに出来上がった。けっこう簡単。型から外して、軽くトーストした黒ごま(ちょっと多かったかな)を散らして、大人の味・・・。
健康でいて、おいしいものをおいしく、楽しく食べられることほど幸せなことはないかもしれない。神様、私達にこんなすばらしい幸せを授けてくださったことに感謝します。アーメン。