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旅の空から~隠された財宝の謎

2021年10月28日 | 日々の風の吹くまま
10月26日(火曜日)。🌥🌤(カルカソンヌ)。今日のガイド兼運転手のエミールが「交通事故の渋滞で遅れてしまって」と言いながらやって来たのは午前9時半。いかにも地中海人と言う感じのおじさんで、こてこてのフランス語訛りの英語が愉快。車で1時間くらいのトゥールーズがベースで、夏の間はカナダのケベックから来る観光客のガイドで大忙しだとか。でも、「ケベックのフランス語はさっぱりわからないんで、英語交じりでやることが多いよ」だって。そうだろうね。ケベック人が固守する「フランス語」は400年くらいも昔の古いもので、現代フランス語とはかなり乖離してしまっているそうだから、ぶっちゃけ「ケベック語」と呼んだ方が良さそうな感じだもの。カナダでは英語とフランス語(ケベック州では一応フランス語のみ)が公用語になっているけど、学校で教えているのはフランスの現代フランス語。

山あり谷ありの南フランスの田園風景の中を走り抜けて、最初に訪れたのは多彩な謎や伝説があるレンヌ・ル・シャトー。マヤ歴が人類滅亡を示唆しているとされた2012年には世界中から大勢の人がこの小さな村に押しかけて来て、村人を驚かせたそうで、謎の財宝の話に交じってキリストの本当の墓所があるという伝説と関係があるのかもしれない。この村の今にも壊れそうな教会の司祭になった若いソニエールが短い間に教会を建て直し、豪勢な館を建てて、贅沢三昧の生活を送るようになったのは、隠されていた財宝を見つけたからだという話で、今でも秘宝の存在を信じて村のあちこちを掘りたがる人間が多いために、村の道路の一角には「発掘禁止」というお触書。ソニエールの死後に遺産を受け取った家政婦が住み続けていたけど、真相は一切語らないままで死んでしまったもので、謎は謎のまま。小説『ダヴィンチ・コード』に影響を与えたと言われるし、ギフトショップには謎解きを試みたノンフィクションの本がずらり。いろんな謎解きや新説を唱える本が書かれて、興味を持った人たちがたくさん訪れるようになったわけで、あんがい、「謎」そのものが隠された財宝だったりしてね。



ランチはミルポワという名の「バスティード」。バスティードと言うのは、13世紀から14世紀にかけて南フランスのあちこちに数百ヵ所も計画的に作られたコミュニティで、十字軍遠征から帰って来た兵士に定住場所を提供して行動を監視する目的もあったらしい。根本的には徴税しやすくする狙いもあったようで、住居の立て方や道路の幅にまで細かい規則があったと聞いて、何だか今どきのバンクーバーの建築条例や都市計画を思い浮かべてしまった。為政者のやることってそんな昔から同じで、究極的に支配と税金の取り立てってことか。町の中心に作られた広場は市が立っただけでなく、政治的、社会的な集合にも使われたそうで、ミルポワの広場は建設当時のままの建物が取り囲み、現在はそのほとんどがレストランやカフェになっていた。そのミルポワでエミールが奨めてくれたレストランで軽いランチ。ワクチン接種証明が必要なはずなんだけど、マスクをしていたからか、あるいは外国人だとわかったからか、提示は求められなかった。



ランチの後はシャトー・モンセギュール。ローマのカトリック教への改宗の圧力に最後まで抵抗したカタリ派が籠った、古城と言うよりは城塞の遺跡で、切り立った山の上にあって、けっこうな難所と聞いていたけど、行ってみたら、うはぁ~。ガイドのエミールが「45分から1時間くらいのハイキング」と言うので、じゃ、やぁ~めたっ。その代わり、城壁を見上げるモンセギュール村を散策。この辺りは起伏が激しくて、山の上に城塞、谷間に集落と言うパターンが多い。それにしても、よくあんなにも険しいところに堅固な石の城塞を作れたもんだなと感心する。そういう苦難や労力をいとわないほど、侵略や略奪の脅威が大きかったということか。「宝石や金の延べ棒のような財産を略奪されないように、わざと自分たちでさえ近づくのが難しいところを選んだのさ」。それでもねえ、城壁を組む大量の石、貯蔵する食糧、大事な宝物。いったいどうやって運び上げたのかなあ。