リタイア暮らしは風の吹くまま

古希を迎えて働く奥さんからリタイア。人生の新ステージで
目指すは悠々自適で遊びたくさんの極楽とんぼ的シニア暮らし

☆「らしさ」の呪縛

2014年11月17日 | 日々の風の吹くまま
11月16日。ほんの短い間だったけど、日記ブログの方をちょっと留守がちにして、「気持の上での放浪の旅」をしてみた。この年になっても、知らずにストレスになっていたりすると些細なことで心が揺れることがある。半分引退したつもりでも半分はまだ現役なので、毎日英語、日本語の新聞を読んで回るんだけど、日本の大手新聞の記事に不気味なxenophobiaのトーンを感じるようになって、気が滅入って来ていた。前から「何にも伝えていないじゃないか」という感じはしていたけど、知的でやや左よりの教養人だと思っていた人までがねっとうよのようなことを口にするようになって、何となくぞっとするものを感じた。

日本で最初にエボラ熱騒動が起きたときの報道はかなりきな臭かった。最初は「40代の男性ジャーナリスト」だったのが、「カナダ国籍の日系人」、最後には「カナダ人男性」と変わって行った。ねっとうよが目の敵にするアメリカの有力新聞の記者だと言われているけど、それが正しければ日本生まれの日本人で、カナダ育ちのカナダ国籍。カナダのパスポートには「出生地」の記載があるから、ひと目で日本生まれだとわかる。それが、ノーベル賞受賞のように都合のいいときは外国籍でも「日本人、日本人」なのに、今回は「日本人ではない」と強調するように「日系人」、「カナダ人」で、エボラ熱報道のために行ったアフリカでは患者に触れなかったからそう申告したんだろうに、「(外国人が)嘘をついた」と言わんばかりの書き方だった。(陰性とわかった後は「未明」という変則的な時間にこっそり退院させて、幕引き。)

日本のメディアは読者にいったい何を知ってもらおうとしたのかな。有力な全国紙でさえこうなんだから、ネットのメディアのトーンは押して知るべしだけど、「不都合な真実」は知らせるべからずが日本のメディアの姿勢だとしたら、お隣の中国とどこが違うのかと思ってしまうし、(特に海外から)ちょっと批判的なことを言っただけで反日だ!と攻撃するねっとうよ族は、イスラム以外の存在は冒涜だ、殺せと喚く狂信者の蒙昧さとあまり変わらないように見える。だけど、日本人は新聞への信頼度が世界でも際立って高い国民なんだそうな。素直と言えば素直な国民なんだろうけど、裏を返せば世界でもきわめてマインドコントロールしやすい民族とも言えるかもしれない。まあ、(ブックマークを削除した)某新聞を毎日(信頼して)読んでいたら、知らないうちに排外的思考になっても不思議はないかな。

それにしても、日本はもうワタシが育った日本ではなくなってしまったのかと思うたびに、心の中でさざ波が立つのはどうしてだろう。日本へ行けば常にパスポートを所持していないと入管法違反で逮捕される「外国人」だけど、それを不満に思ったことはない。That’s thatなんだから。カナダでは地のままでいてもよそ者扱いも、差別も、排斥もされない。ここがワタシの国なんだから。でも、カナダ的にはごく普通のカナダ人のワタシも、日本的には自意識が強くて、空気を読めない自己中的な存在ということになるらしい。いや、日本にいた時からそうだったんだけど。でも、それが問題だったのなら、日本に籍さえない今はもう問題ではないはずなのに、何で・・・。

2人の1日が終わって、グラスを傾けながら話をしているうちに酔っ払って泣き上戸になってしまうワタシ(昔は楽しい酔っ払いだったのに)。どうして日本を離れて20年以上も経ってから、会ったこともない日本人に、日本人らしくない、日本人を捨てた外国かぶれ、日本人の恥だと糾弾されなければならなかったのか。その話になるとカレシもつらいのはわかっている。わかっていても、15年も答が見つからないから、蓋をしてある感情が溢れ出して来てしまう。いつも結局は答が見つからないままだったけど、それが「キミが日本人らしくないから恥ずかしいと言った連中の方がよっぽど日本人らしくなかった。やっとそれがわかった」と言うカレシのひと言で目からうろこが落ちたような気がした。

日本人らしさ。女らしさ。○○らしさ。日本ではどこを向いても○○らしく、○○らしく。地の果てまで行っても異文化に染まらないことを誇りとする人たちは、ほんとに日本人らしい日本人ということなんだろうな。だから、世界のどこにいても精神空間では日本で暮らせて、どれだけ長く日本を離れていても、浦島さんにはならないし、どんなに日本が変わっても気持がざわつくことがないんだろうな。すごいことだよね。いくら絶対にDNAが日本人でも、子供のときから何かと世間一般の「枠」からはみ出していたワタシにはできそうにない。「らしさ」というのは他人について「持っているはず」と思い込んでいる性質(ステレオタイプ)のことのように思えるから、ワタシにとって「らしさ」を求められるのは自分とは別の人格であることを要求さるようなもので、本能的に抵抗してしまうだろうと思う。「自分らしさ」だって、「自分」を肯定できていないから、「かくありたい姿」として探し求めるんじゃないかと思う。「らしさ」は人を縛る黒魔術なんだ。

この夏、北海道から駆けつけてくれた幼なじみと東京で積もる思い出話をしていて、やぶから棒に「あんた、日本を出て正解だったね。日本にいたら潰されてたわ」と言ったのを思い出すな。潰されていたかどうかはわからないけど、幸せではなかったかもしれない。別の友だちには「何度突き放されても、それでも母親を追いかける子供みたい」と言われたこともあって、そのときも同じようにもやもやしていたような気がする。ワタシのさびた日本語ではよく言い表せないけど、まさに「らしさ」の呪縛にかかって、本来の「自分」を疎かにして、自分自身が知らない「自分らしさ」をありもしないところで探していたのかもしれない。気持が落ち着いてやっとベッドに入って、カレシが言ってくれた。「キミには日本人が要求するようなJapanesenessはないかもしれないけど、日本はもうキミの国じゃないんだし、カナダはキミはカナダ人なんだからそのままでいいよって言ってるんだし、オレとしても今のままのキミでいてくれるのが一番うれしい」。ありがとうね。やっと呪縛が解けたような気がする。Let it goだよね、Let it go。


晩秋の松茸三昧

2014年11月16日 | 日々の風の吹くまま
選挙から一夜明けて、市長選の結果は残念だったけど(あ~あ、four more yearsかぁ)、
市議会はまあまあで、2つの委員会は上々。追い上げられた月光市長はどたんばでほっこ
り作戦に出て、テレビで「やりすぎ」を謝罪したのが効いたらしい。「ゴメンナサイ」は選挙に
も使えるってことで、エライ人たちが雁首揃えてシャザ~イってのは日本が本家本元なんだ
し、日本でもこの手を使ってみたらどうかな。涙もほろりくらいならいいかも。

寒波が緩んで来たようなので、運動がてらダウンタウンのHマートへ。若い留学生カップル
らしいのが多いのは日曜日で学校が休みだからかな。つたない英語で会話しているのは、
アジア人同士でも国が違うカップルかな。でも、がたがたと円安になってしまって、ひと頃に
比べたら日本人はぐんと減った感じだし、語学学校は商売上がったりにならないんだろうか。
ラーメンスープにウズラの卵、ジャワカレー、じゃこ、たけのこ、しいたけの他に、ししとう、オ
クラ、ニラ。スペシャルの高麗人参は太めのが入ったパック。明日にでもセーフウェイに行っ
たらチキンを丸ごと買って来てサムゲタンを作ろうっと。松茸のパックは大きいのが5本。今
年最後だと思ってえいっと買ってしまった。今日は日本風の松茸ディナーと行こう。

     

サンヨーの電気釜(使用歴39年)で炊いた松茸ご飯、松茸のどびん蒸し風スープ、思いつ
きで作った松茸入り茶碗蒸し、これも思いつきで添えたキハダマグロの刺身。茶碗蒸しは卵
1個で湯のみ2個分を作る。この湯のみは両親が新婚だったとき(昭和17年)に買って使っ
ていた由緒?のあるもの。糸じりを見たら「則武」の文字。へえ、あのノリタケのかな。ワイン
はコンサル料代わりにもらったシャセラス。ごちそうを食べて、幸せな気分。残った2本の大
きな松茸はどうしようか。スライスしてお正月用に冷凍しておこうかな。そういえばクリスマス
まであと6週間を切ってしまった。これはもやもやなんかしていられなぁ~い!

女性の敵はやっぱり女性にならないように

2014年11月15日 | 日々の風の吹くまま
けさもマイナス。でも、この寒波もあと2日くらいで、雪が降り出す前に平年並みの気温に戻
るという話。今日は市政選挙の投票日。有権者カードを見たら、「どこでも投票できます。お
宅の近くの投票所は次の3ヵ所です」だって。まあ、大きな投票用紙を自動読取り機に入れ
て得票を即座に数えちゃうから、好きなところで投票してくれってことかな。

今、世界を騒がせている「ナンパ師」がいる。「デートコーチ」と称して実はモテない男たちに
女性への性暴力やDVを奨励するセミナーをやっているとして、オーストラリア政府はビザ
を取り消して追い出し、カナダもイギリスも入国拒否を考えているし、アメリカのホテルやチ
ケット業者も「セミナーはお断り」。日本でも英語メディアに始まって、入国拒否の嘆願に5万
人の署名が集まったそうだけど、外国メディアが取り上げている(カナダではTVニュースに
も出た)のに、日本の有力新聞は知らんぷりなのがおもしろい。

きっかけはYouTubeの動画。セミナーの一場面らしいけど、得意顔で「東京では白人だっ
たら何でもやり放題」と言って、コンビニの店員に無理やりキスしたり、引っかかった女性た
ちの頭を掴んで顔を自分の股間に押し付けたりと、まさにやり放題。日本語の字幕がつい
ていたけど、ビデオを見てツィッターで行動を起こしたのは日本人じゃなかったところもおも
しろい。あのね、世界各地の政府やメディアが問題視しているのは、この男が肉体的、精神
的な暴力で女性を操作するのがナンパのテクニックだと教えているのをレイプやDVを推
奨するものだと見ているからなの。カナダの移民大臣も「夫として、2人の娘の父親として、
看過できるものではない」と言ったんだから。

でも、日本語の主流メディアは知らんぷり。にちゃんとかテレビの低俗番組なんかでは、尻
軽とか白人好きとか日本女子をディするものが多いらしい。つまり、ぜ~んぜんわかってな
いってこと。まあ、コンビニで抵抗する店員を押さえてキスを強要する場面でも、後ろの方に
笑って傍観している若い女性客たちが映っていたのは、日本では女性ですらこのナンパ師
の行動を問題だと思っていないってことかな。欧米の女性だったらバシッと平手打ちをかま
すけど、淑やかな日本女子は気の強い白人女のまねはしないんだよね。だからモテるんだ
と思ってるらしいけど、バカにされているのに気づかないなら、何を言ってもムダ。ま、自己
責任でお好きなように。

ちょこっと年金が増えた

2014年11月14日 | 日々の風の吹くまま
今日もまぶしいっ!明け方の最低気温はマイナス5度だったとか。カレシは大事な鉢ものを
温室に避難させて、ヒーターを入れて、無線の温度計をチェックするのに大忙し。電気料金、
ずいぶん高くなったよ。でもまあ、曲がりなりにも真冬にちょこちょこと新鮮な摘み菜を食べ
られるし、冬の間だけだし、月に2万円やそこらの電気代、ワタシがちょこっとひと仕事すれ
ば稼げるんだし、ま、いいっか。温室菜園はカレシの趣味。何であれ、趣味ってお金のかか
るものが多いしね。ワタシの劇団支援なんかもっと、もっとかかってるし・・・。

けさは年金や給付の一括窓口みたいなService Canadaから薄茶色の封筒。ヨーロッパに
住む友達も言っていたけど、お役所から来る郵便は茶色の封筒に入っていて、良い知らせ
じゃないことが多い。でも、今日のはCPP(国民年金)の給付額が増えるというお知らせ。
今まで年金受給申請があった時点での記録から計算した金額を支給していたけど、65歳
になった年(つまり去年)の納税申告を加味して計算し直したら、月400円ほど増えること
になったんだって。へえ。で、11月分からその金額を払って、ついでに去年の支給開始月
まで遡って差額(7千円ほど)も払ってくれるとか。へえ。まあ、考えたらワタシが長年働いて
せっせと払い込んだお金から出るんだから、あったりまえだけど。

毎月末近くに振り込まれる年金を見るたびに、30数年ひたすら働いて来て良かったなあと
思う。CPPは18歳以降の所得に応じた掛け金で計算される。今は所得が少ない順に8年
まで除外されるけど、30代、40代で移民して来て働き始めた人にはちょっときつい。(対象
所得の上限を超えるといくら高所得でも年金は増えない。)ワタシのCPPが平均より30%
以上多いのは、フリーになってから所得がカナダの有職女性の上位1%に入っていた時期
もあって、限度いっぱいの掛け金を払えて来たから。ひとりで太平洋を渡って来て、まず実
感したのがサバイバルは経済的な自立にかかっているということ。何しろ「結婚して専業主
婦になる」という思考すらないところで、周りはみんな普通に仕事をしていた。(だから仕事
していないと昼間はひとりぼっち・・・。)

勤め人時代にアシスタント役のワーホリ嬢が「だんなさん、稼ぎがないんですか?」と聞い
て来たことがあった。当時の日本はバブルの絶頂。バブル女子の観念では「共働き=貧乏
=外れくじ」だったらしい。あれにはびっくりした。仕事が全然できなかったので早々にお引
き取り願ったけど、あのコも今では50代。どこの誰と結婚したか知らないけど、当たりくじを
引けたのかな。でもまあ、男女に関わらず、独身、既婚に関わらず、相手の稼ぎの多寡に
関わらず、自分の経済基盤があるのは何よりも心強いと思うけどな。小町横町のオクサマ
連中だって常々仰ってるでしょ、愛だけで結婚しても幸せにはなれないのよって。力を合わ
せて豊かになろうという気概がなきゃだめよってことだと思うけどな。

極楽とんぼ大学はつまみ食い教育

2014年11月13日 | 日々の風の吹くまま
今日もまぶしい。朝方の最低気温はマイナスだったろうな。本格的にヒーターが稼動するか
ら家中が乾燥して、いつも体が慣れるまでは唇が荒れて困る。まあ、赤いところが広がって、
割とふっくらして見えないこともないけど。

今日が納期の仕事を突貫工事でやっつけて納品。カレシが英語教室から帰って来るのを
待って、また空港近くのFedExのオフィスまでひとっ走り。冷えているので、トラックをぶっ
飛ばしてバッテリを充電しておかないとね。ピックアップは小さい箱が2つ。注文をひとつ出
した後で、何を思ったか追加の注文を出したんだけど、20分ほどの差だったから一緒に届
いた。でも、ひとつにまとめての注文だったら送料が安かったのに。FedExは安くないもん。
箱の中身を全部出したらこんな感じ↓

     

アメリカにあるThe Great Courses(www.TheGreatCourses.com)というユニークな通販
会社のもので、大学レベルの科学系、文系の科目や、ビジネス、ライフスタイルまでいろい
ろな分野の科目が500以上。今注目されているMOOCSと違って単位にはならないから
試験もなくて、もっぱら自習。講義を担当するのはアメリカ各地の大学の有名無名の先生た
ちで、1コマ30分の授業が12コマ刻みで、短いものでは12コマから、長いものは60コマ。
『Joy of Science』のように60コマのものもあるし、「Introduction to Astronomy(天文学入
門)」にいたっては96コマ(合計48時間)もある。

せっせと買い込んだ科目の数、いったいいくつあるんだろうな。30科目を超えたかもしれな
い。はて、一度棚卸ししなきゃ。本棚にずらりと並んだDVDのケースとガイドブックを見て、
カレシ曰く、「大学を作れるかも」。あはは、つまみ食い教育専門の極楽とんぼ大学ってのも
悪くないねえ。門前学部小僧科雑学専攻・・・なんてのはどう?

夢の中で出会った自分

2014年11月12日 | 日々の風の吹くまま
まぶしいね。でも、これらからの季節は太陽がまぶしいほど冷え込む。夕焼けは、今夜は冷
え込むなあと思わせるような寒色のピンク。でも、家の中の温度は変わらないもので、極楽
とんぼは相も変わらずミニスカに半袖のTシャツに裸足。そろそろ七分袖に衣替えの時期か
なあ。これが我が家なんだなあ。何となく勝手知った心地のいい我が家の玄関を開けて、た
だいまぁという気分。フランダースの野で摘んだケシの花を手に、死なないで帰って来たよ、
という気分。たぶん、ワタシだけが理解できるワタシの心・・・。

たかだか2週間の「旅」で、そういうときに限って「仕事」という雑念に横槍を入れられっ放し
だったけど、それでもいろいろ考えた。そもそもワタシの性格タイプは、ニッポン人に自己主
張が強すぎると嫌われるアメリカ人でさえせいぜい全体の5パーセントもいるかどうかと言
われるINTP。そよそよと考える葦どころじゃなくて、脳みその隅々をごちゃごちゃと思考で
埋めまくる、まさにアナログきつね。ワタシの人生のポリシーは「Play it by ear」。だからこそ、
思わぬつむじ風に巻き込まれて彷徨うことがあっても、こうして帰って来て、荷物を降ろして
ほっとできるワタシだけの「サンクチュアリ」がある。「Dream」(末尾)はデール先生との黙
想に導かれて行き着いた心の奥の奥の秘境のようなところで、アイデンティティを根底から
揺さぶられて、見失っていた「自分」と再会した「夢」。

あれから13年。今読み返してみると何とも稚拙なんだけど、先生は涙を浮かべて何度も
I’m happy for youと言ってくれた。7人のクラスメートたちも。みんな何かしら心の深いとこ
ろに掴みようのない苦しさを感じていて、ショートストーリーを書くことでそのdemonに真正
面から立ち向かおうとした。カレッジの8週間の講座が終わった後も、唯一の男性メンバー
の勤め先の厚意で終業時間後の会議室に週一度集まって書き続けた3ヵ月。その後さらに
先生が主宰するライティング教室で8週間。民族も年代も職業もジェンダーも違う8人が共
感し合ってトラウマと闘い、肩を抱き合って泣いて、喜び合って、それぞれの人生に戻って
行った。今思えば、あれはワタシにとってかけがえのない幸せな時だった。うん、初心に立
ち帰ろう、だよね。うん・・・。

さて、日常。いつものことだけど、また10分の差でFedExの二度目の配達を逃しちゃった。
The Great Coursesのビデオ講座7つ。シェークスピアとラテン語と言語学と海洋学と、い
ろいろ・・・。学ぶのは楽しい。明日の午後に空港近くのオフィスまで取りに行かなきゃね。
それじゃあ、気持を入れ替えて、真剣に仕事をしよっかなあ。




[おまけ]

Dream

 Day turned to dusk, and the landscape lost its edge. The horizon was softer, and
trees melted into forest. The sky turned from blue to indigo as night fell, and all things
that made the world in day vanished.
 A female figure sat still as darkness cloaked her. She shivered from deep within.
The coldness sheared her body like a fragment of ice. She was cold. She could not
remember how long she had been feeling cold, or how long she had been sitting
there. She did not know how she had reached there. She had no shoes, and her feet
were bleeding. The darkness was comforting to her somehow but she could not know
why. She lifted her head, and looked up.

 “There has to be the sky over my head, and the earth underneath my body,” she
said to herself, as if she was trying to assure herself of a firm place to be---
somewhere between the sky and the earth. Yet, she felt the skies on her sides, and
beneath her---darkened, and without edge. Darkness was the universe in which she
now floated all alone.

 “Eons ago,” a deep voice resonated in the endlessness, “a burst of energy
shattered the kernel of our being, and scattered all things into the universe which had
no beginning or end. Now all things are searching for one another for they were once
one in the kernel of the crystal that was their whole being.“
 She tried to turn to the voice, but it reverberated around the space.
 “Who are you?” she cried out in fear.
 “Be not afraid, my child, and let yourself be,” answered the voice.
 Gentleness of the voice rocked her like a soft cradle. A low murmur swirled around
her like waves of the ocean, ebbing and flowing, as if to count the pulse of time from
which she was born. Night was clear in the universe. Thousands of stars shimmered.
 She closed her eyes and let herself float through the shower of lights she could still see.
 Then light waned. She opened her eyes and saw a star surrounded by a cluster of
pale rocks. They did not see her, but went around the star without words, as their
master marched on.
 “How pale they looked,” she muttered, with her eyes following the silent procession
as it faded away.
 “They shine by light of others,” said the deep voice, “because they have no fire in
them to shine.”
 “How sad,” she said, and shuddered at her own feeling of sadness. “Do I shine?”
 “You should know yourself.”
 “I can’t see myself.”
 “Then you are not shining.”
 “Oh, don’t I have the fire in me?”
 “I lit your fire in the kernel of the crystal that was life---but it was eons ago,” said the
voice, with a touch of sadness.
 “Oh, I’m so cold---I must have lost my fire,” she cried out.
 “Then, find it.”

 She swung herself around in a wild orbit, searching through thousands of stars.
Solitary stars looked away. Clusters of stars huddled tighter. Wheels of galaxies
thundered away in eternal silence. Suddenly a bright swirl of lights caught her eyes.
Jubilant chatters and roars of laughter radiated from the mass of lights dancing, in a
bacchanalian frenzy, around a great darkness. Sparks churned around the
mysterious void in the centre. She felt herself irresistibly drawn closer to the ring of
festivity.
 “Stay away,” said the deep voice.
 Kicking her legs hard, she wrenched herself free from the invisible, yet seductive
tentacles of the orgiastic merriment.
 “What are they celebrating?”
 “Delusions,” answered the voice. “Envy them not, as they are doomed. Their
offering of light---gift of their life---will never shine on the great darkness. Nor the
darkness will shine light back unto them, because it knows not giving but only being
given. They will dance faster and closer until they are swallowed and trapped forever
in the deepest bowel of the indifference. Never again their light will shine in the
universe.”
 She watched in horror as the enthralled swarm of lights went blissfully about with
the chilling courtship of their unenviable fate. She turned her eyes away from the
eerie darkness so worshipped by the unsuspecting lights, and drifted as far away
from the doomed revelry as the universe would carry her.

 Her weary body loosened, and unwound like a melting snowflake. She fell into a
deep, tranquil sleep, contented that the gentle voice would not leave her. She
dreamed in a cradle of the ocean called time. A shadow of the house stood high on
the hill. The house beckoned her. She could hear waves. Fog crept up from the night,
and swathed the house, and her dream. Foghorn groaned with joy, rocked her with
laughter of the deep voice ever gently, and then trailed long into the fog as she
reached for its invisible hand.
 A joyful laughter awoke her. It came from a pair of stars---yellow and blue, their
eyes locked in eternal embrace. They twirled around in a graceful waltz, with their
light shining bright on each other.
 “So beautiful---,” she sighed.
 “Albireo---the most beautiful of all binary stars,” said the deep voice. “The fire burns
bright in each of them, and shines on each other. Together they shine gloriously like
a beacon in the darkness.”
 “Oh, how I envy their love. How I yearn for their beauty. Is my fire still burning
somewhere? I’m so cold. Please---please help me find it.”
 “Your fire burns still. Want it, and then you shall find.”
 “I want to find it,” she pleaded. “Yes, I want to shine!”
 “Search for your fire, then,” commanded the deep voice, “Go.”
 “Oh, where?”
 Without the answer, the deep voice faded away, like the foghorn, into the night in
the universe.

 She wiped tears off her eyes, and peered into the shapeless world. Lights gleamed
all around her. She strained her eyes to see the faintest of the lights---perhaps a
lonely fragment of her kernel, flung so far away, eons ago. She turned herself around,
searching for the fragment in which her fire still burned. Suddenly, a tiny light
flickered, and grew a little brighter. Her heart jumped. As the light came near her, its
halo spread out as if to swallow her whole. She raised her arms in front of her chest.
Her body sensed her fear, and tightened in anticipation of the slicing pain it had come
to know within. The light grew nearer, and stopped.
 A girlish voice came, “I knew I would find you.”
 Alarmed by the tenderness of the voice, she tightened her arms around her chest.
She tried to say something, but her voice did not sound as if it had been sucked out
and dissipated into the darkness.
 “I had to believe I would, and I did---I found you,” said the voice in the light.
 She felt desperate longing to reach out and embrace the light, but a vague remorse
pulled her back. She clutched her chest tighter, and stared at the halo in awe.
 “Who are you?” she finally uttered.
 “You know me,” replied the light, “because I found you at last.”
 “I don’t know---,” she hesitated.
 She felt that she had known the voice. It was a long time ago---eons ago, perhaps--
when she heard this childlike voice resonating in her ears.
 “What’s your name?” She ventured.
 “You,” answered the light.
 “No, it’s not your name,” she protested.
 The light brightened and then waned a little. “It is the name, because I didn’t have
one until I found you---and I know how much you are afraid to hear your name
because someone---”
 “Stop,” she interrupted, with her cold hands covering her ears. “I have no name---
I’ve lost it, and I’ve lost my fire too. Look, I am mere ashes of myself now.”
 She stretched her hands out toward the hovering halo.
 “Look, my hands are cold. My feet are cold, and look, they’re bleeding. And I have
no shoes.”
 The light quivered. “I know you have torn off those shoes at last. The shoes did not
fit you, but you walked in them.”
 “I was told to---”
 “---And the moment you stepped into those shoes, they walked you away, leaving
me behind and lost.”
 “Why didn’t you hold onto me?”
 The light flickered, but its voice was calm.
 “I tried to hold onto you, but the shoes pulled you away from me. They walked you
away faster than I could reach your hand.”
She unfolded her arms, and held her hands out toward the light.
 “I tried to take them off and find my own shoes, but, believe me, they wouldn’t come
off.”
 “I believe you,” said the light, “and I know, when they could not be taken off your
feet, you tried to walk in them, and dance in them, even if they did not fit---fraying
your arms and twisting your body, because you were afraid to walk barefoot through
a strange landscape. So you danced as best as you could in those shoes, because
you wanted to please the audience you imagined were watching you with eyes of
forever unsatisfied critics.”
 Chill ran through her and shook her weary bones. She wrapped her arms around
her shoulders.
 The light went on. “Like the fairy-tale ballerina in her red dancing shoes, you twirled
and jumped---faster and faster, and down the path you did not know whither. When
you were tired and wanted to stop dancing, the shoes would not let you stop. So you
went like the poor little ballerina, crying out for someone to stop her.”
 “I wanted to stop, but every time I tried to stop, I fell, and I heard people laughing.
They laughed as I picked myself up, and taunted me as I fell. They laughed and
danced along with the shoes.”
 “The louder you cried, the faster the shoes danced you in a furious tarantella,
almost spinning you out of existence, until you wrenched them off your feet.”
 “The shoes were stuck on my feet, so I had to tear them off. It hurt--- oh, it hurt so
much, but I stopped dancing at last. I fell in the world I didn’t know where it was. It
was so quiet and frightful. I was so cold and, oh, I was so alone.”
 She looked down at her miserable feet, bleeding from the wounds where she tore
the shoes off with the last remnant of her strength. A haze rolled out of the light and
swathed her tortured feet like gentle hands of a mother. Sobs erupted into her throat
as if they had at last broken out of a long confinement.
 “Cry all you want,” said the light. “I am here---I found you. We are here now.”
 She sobbed like an inconsolable child. Tears kept streaming down her face, and
glistened with the gentle light hovering in front of her.
 “I want my fire back. I don’t know where it is now. It’s my fault I’ve lost it.”
 “You have the fire---right here, between us, growing strong. We are sharing it,” said
the light. “That is how I knew I would find you. I looked for you for a long time---eons
since the catastrophe shattered your crystal. I looked for a fragment left in you. It
flickered like a candle so faint and so far away---like the last light on a ship being
swallowed by a stormy sea. It almost flickered out when you tried to tear your heart
out in despair. I feared I would lose you forever---if I did, I would have been
condemned to dart to and fro around the universe, like a hurricane searching for the
other eye to be whole.”
 She wrung her chest with her hands. The blurred landscapes and the taunting
voices raced through her heart. Guilt stormed in with a hail of dead leaves. Then a
torrent of tears washed them away. When the raging flood subsided at last, she
found herself in the new, fertile landscape. She stopped crying, took a deep breath,
and turned to the light.
 “I understand now. I am sorry---I didn’t listen to you when I stepped into those
shoes. I am very sorry I made you wander alone through the darkness, and I almost
robbed you of home to come back to. Will you forgive me---?”
 The light brightened and its halo spread out to embrace her.
 “Of course. Forgive yourself. We are one.”
 “I’ll never lose you again---I promise.”
 The pain of loneliness dissipated, and peace filled her heart so warm it began to
glow. She smiled to the light. “I feel warm. I haven’t felt this warm for a long time. I
feel I can walk now.”
 “Come with me,” said the light, offering her hand.
 She reached out and held it tight.

 Together they drifted through the universe with no beginning or end---only the
comfort of being in the kernel of the crystal that was life.
 “Sing to me,” whispered the light.
 She took a deep breath, and let it out slowly.
 “I can’t find my voice.”
 “You will.”
 She took another breath, and her voice came out in heavy silence.
 “I can’t find the first note.”
 “You will.”
 She looked around the sea of flickering lights. They were watching her like the eyes
of forever unsatisfied critics. A twinge of fear tightened her throat.
 “Listen to your voice,” whispered the light.
 She closed her eyes. Drop by drop music trickled out like a gentle rain. She strained
her ears to catch it. Then, night gave way to day, and the sun rose to open the
curtain and shine on the stage. Trickles of notes became a stream and flowed down
the mountainside, melting snow and touching buds of daffodils. The golden daffodils
opened their trumpets and nodded to her. She lifted her head high, and with the
deepest breath since her first, let her voice join the stream.

 She sang. Her voice soared to feel the blue sky, and hovered down to touch
ambers in the stream. The forest thawed out, tree by tree, and let the sun sparkle on
the crystal drops rolling off their branches. The trees unfolded, leaf by leaf, to catch
the rays shining on them. With her arms open and stretched out, her upturned face
shone by the fire burning bright within. She sang her song. Her last note spread its
wings and took her to the sky. As she soared with exuberance, she heard within
laughter of the delighted child.
 “I love you! I do!” she cried.
 She was one with herself, at last.

忘れないように

2014年11月11日 | 日々の風の吹くまま
11月11日。晴れ。カナダではRemembrance Day。今年は第一次世界大戦が始まってか
らちょうど100年。技術の進歩が戦争の様相をがらりと変えた。休戦協定が結ばれたのは
1918年11月11日午前11時。英連邦各国では戦没者追悼の行事がある。

     
ロンドン塔の周囲を埋め尽くした赤いケシの花。まるで戦争で流された血の海を象徴するか
のような赤。2人の芸術家によるインスタレーションが大反響を呼び、何百万人もが訪れて、
それぞれに戦争に対する思いを新たにしたという。ケシの花はRemembrance Dayのシン
ボルで、今日最後の1本が立てられた。その数888,246本。英連邦の戦死者の数。ベル
ギーの激戦地イプルで親友を失ったカナダ人の軍医ジョン・マクレーが咲き乱れるケシの花
を見て書いた詩『In Flanders Fields』(フランダースの野に)に由来する。

     In Flanders Fields the poppies blow
     Between the crosses, row on row,
     That mark our place; and in the sky
     The larks, still bravely singing, fly
     Scarce heard amidst the guns below.

     We are the Dead. Short days ago
     We lived, felt dawn, saw sunset glow,
     Loved and were loved; and now we lie
     In Flanders Fields

     Take up our quarrel with the foe:
     To you from failing hands we throw
     The torch; be yours to hold it high.
     If ye break faith with us who die
     We shall not sleep, though poppies grow
     In Flanders Fields.

この詩は戦場で倒れた前途ある若者たちの無念を詠った、ある意味で反戦詩。カナダの子
供たちは学校でこの詩を覚える。今年、ワタシはこの詩をしっかり暗誦できるようになった。
暗記べたのワタシがすんなりと覚えられたのは、放浪しがちなワタシの心の中にカナダに
対するpatriotismが芽生えたからだと思う。他人の人格を否定することで自己肯定感を得
ることはできないように、Patriotismは他国を排除することで実現できるものではない。自
分の人格は自分で守らなければならないとすれば、自分の「居場所」である国が脅かされ
たときは自分で守らなければならないということ。戦争は嫌いだけど、不条理な脅威や抑圧、
憎しみや嫌悪にさらされて苦しんでいる人たちに、汝戦うなかれと、ワタシは言えない。

Lest we forget.

風に乗ってふわり、ふわり

2014年11月07日 | 日々の風の吹くまま
目覚ましのいらない金曜日。雨続き、ひと休み。大雨注意報が出たと思ったら、次の日は強
風注意報。来週あたりは日本に行き損ねた台風の残骸が襲来するらしい。ま、そうでなくて
も11月は雨量が一番多い月だし、本気で箱舟を作らないと・・・まさかね。

   
ソーセージラウンドとポーチドエッグとシャンテレルきのこの朝ごはん。カレシが温室にまだ
ぶら下がっていたミニトマトを採ってきて、ちょこん。チェリーを載せたアイスクリームみたい。

   
次の仕事の前に少しはオフィス/スタジオの整理整頓。(整理整頓が苦手なのはADDの
特徴だって・・・まっさかあ、だよね。)ごちゃごちゃのスタジオもIXYのアートフィルタで撮っ
たら、ほら、こんな傑作になる。

   
久しぶりの夕焼け。あっちは空港。ねえねえ、どっか、行きたいねえ。サンフランシスコ?ラ
スベガス?それともニューヨーク?でも、ISISだのエボラだので、飛行機の旅はもうめんど
くさい。一番安全なのは、心の風に身を任せて、ふわり、ふわり。それにしても、電線、じゃ
まっけだなあ・・・。

ちょっと埃を払いに・・・

2014年11月06日 | 日々の風の吹くまま
精神世界をふらふらと放浪しながら、「がんばって4日」の仕事もがんばった。元原稿は日
本語で、原稿用紙7、80枚分くらいあったけど、英訳だから英語で考えていればいい。日本
語は目で「読んで」いるけど、頭の中はあまり日本語で考えていないらしくて、ラジオを聞き
ながらでも、話しかけて来るカレシに返事をしながらでも翻訳文は書けてしまうのが不思議。
日本語訳のときはそうは行かないからもっと不思議。これでも昔は同時通訳をやってたん
だけど。

ちょっと留守にした「おうち」は1週間ぶり?かな。まだ蜘蛛の巣は張っていないようなので、
ちょっと埃を払って・・・。

10月29日。ジョージ・バーナード・ショーの大作『Saint Joan』のオープニングナイト。Joan
of Arc、つまりジャンヌ・ダルクの話。ほぼ黒一色の舞台がシビアにミニマリスト。上演時間
は3時間10分。でも気合が入っていて、ちっとも長くなかった。ショーって意外とフェミニスト
だったのかなあと思ったり・・・。

30日。雨の中、Arts Clubが企画した遺言状セミナーへ。遺言の構成の仕方や執行人の
選定、はては税務対策まで。いや、人間て死ぬにもずいぶんお金がかかるもんだ。

31日。ハロウィーン。子供たちの行事がいつの間にかお子ちゃま大人のバカ騒ぎイベント。
花火や爆竹が家のすぐ外で炸裂すると飛び上がってしまうから迷惑。特に被害はないけど、
隣のネズミ捕り名人ハリスは一晩中どこかに雲隠れ。夜が明けてから腹ペコで帰って来た
そうだけど、木枯らしニャン次郎にも迷惑な一夜。

11月1日。仕事、仕事、仕事。半引退のはずなのに。

2日。雨の中、Arts Clubが制作中のミュージカル『Onegin』のリーディング。プーシキンの
『エフゲニー・オネーギン』をオペラ風にすべて歌で通す趣向にはちょっと面食らったけど、
元々が韻文で書かれたもの。初演は来年の12月の予定。オリジナル作品は劇作家がさら
さらと書いて、キャストを組んで、セットと衣装をデザインして・・・みたいにとんとん拍子には
行かなくて、特にミュージカルは上演できる形まで完成させるのにものすごい時間(とコスト)
がかかる。でも楽しみ。

3日、4日。雨、雨、大雨。仕事、仕事、仕事。

5日。午後4時の期限の15分前に滑り込みで納品。ふうぅ、疲れたぁ。じゃあ、またちょっと
ふらりと・・・。

☆感謝祭は秋の味覚に感謝する日

2014年11月01日 | 日々の風の吹くまま
10月31日。今日は感謝祭。Thanksgiving Dayというのは文字通り神に感謝の祈りを捧げる日のことで、アメリカは11月の第4木曜日だけど、カナダは10月第2月曜日。収穫の時期に合わせたのかもしれない。カナダの感謝祭の起源についてはいろいろ説があって、実際のところは起源不詳。アメリカの感謝祭はメイフラワー号で新大陸に渡った清教徒がイギリスから持って来た教会行事にルーツがあって、日本の神道の行事「新嘗祭」と似ているかな。プリマスに入植したピルグリムたちが収穫を感謝し、1年を無事に過ごせたことを感謝して、何かと助けてくれた先住民も招いて晩餐会を開いたのが始まりと言われる。

現代の感謝祭は家族が集まってご馳走を食べる日で、アメリカでは帰省する人たちで空も陸も大混雑になるけど、カナダではそういうことはない。でも、定番は七面鳥の丸焼きとパンプキンパイ。10月に入るとスーパーのフリーザーに大きな七面鳥がごろごろ。小さいものでも4キロぐらい、大きいものはゆうに10キロを超えるけど、一番ジューシーでおいしいのは5、6キロあたり。(私達は鶏や鴨の方が断然おいしいと思っているけど、伝統料理なので・・・。)小さいもので夫婦2人には大き過ぎるので、3、4日は毎日七面鳥の残り物料理。いい加減にうんざりした頃に、まだ残っている肉があれば冷凍し、骨や皮の残骸でスープのだしを作っておしまい。ちなみにワタシが焼いた最大の七面鳥は7キロもあって、焼き上げるのに5時間近くかかったけど、あれはさすがに持て余したな。

我が家で最後に七面鳥を焼いたのはもう数年前のこと。その後しばらくは鴨一羽を解体してコース料理を作ったりしていたけど、今年はがらりと趣向を変えて、秋の味覚「松茸」。最上級品は日本へ空輸されてしまうので、地元に出回るのはわりと下のグレード。それでも松茸は松茸。パックには大小5本入っていたので、そのうち3本を使って松茸づくしの4コース。ググッて調べた日本のレシピは定番料理ばかりだったので、ここは極楽とんぼ亭のシェフの「思いつき力」の見せどころ。どのコースもトースターオーブンでできる量なので、出来上がりのタイミングを算段して調理開始・・・。

本日のメニュー: アミューズブーシュ(ポテト、にんじんのミルポワと松茸のホイル焼き)
           松茸スープenココット
           七面鳥、松茸、ほうれん草のギリシャ風フィロ包み焼き、蒸し野菜添え
           松茸詰めうずらのロースト、松茸ソース、松茸入りサフランリゾット、枝豆
           (黒オリーブ、プチトマト、レタスのサラダ)
           デザート(抹茶のパンナコッタ)

[写真] みじん切りのジャガイモとにんじんとスライスした松茸をレイヤーにして、バターを載せて、ホイルに包んでオーブン焼き。もう少し量が多ければガレット型に詰めて焼いて、ケーキのようにきれいに切り分けられると思う。

[写真] ココットに松茸のスライス、鶏もも肉を少々、えび1本、ほうれん草の若葉を入れて、チキンストックと白ワイン少々であっさりとオーブン焼き。薄めのストックにしたので松茸の香りがけっこう生きていた。

[写真] フィロを3枚重ねて広げ、端の方から塩ヨーグルトでマリネートして薄くスライスした七面鳥の胸肉を並べて折り返し、その上にスライスした松茸を並べてまた折り返し、その上ほうれん草の若葉を並べてフェタチーズを散らしてさらに折り返して、段々になるように巻いて、こんがりオーブン焼き。何ちゃらギリシャ風だけど、松茸の香りはぴったり。蒸したカリフラワーとブロッコリーニを添えて。

[写真] うずらは骨抜きをして、刻んだ松茸とパン粉だけで作ったスタフィングを入れて、丸焼きのように形を整え、さっとオリーブ油を塗ってロースト。(ドールハウスの「七面鳥の丸焼き」にぴったりのサイズになるのがおもしろい。)リゾットはイタリアのカルナロリ米を使って、途中で刻んだ松茸とサフランを入れ、仕上がり近くに、薄く、薄くスライスした松茸を載せておいてちょっと加熱。ソースは細かく切った松茸をうずらの焼き汁で煮て、アエロラッテでとろみが出るまで撹拌。リゾットは型をつけて気取って、松茸を飾ってみた。

[写真] 今日は何を思ったかデザートまで作ってしまった。抹茶のパンナコッタ。パンナコッタは大好きだけど、作るのは初めて。レシピの分量を半分にしたので、ゼラチンの分量を計算するのに苦労したけど、クリーム、牛乳、砂糖、抹茶を温めて、ゼラチンを加えて、指先でサラダ油を薄く塗ったプリン型に流し込んで、冷蔵庫で2時間ほど。ゼラチンの量が合っていたようで、ちょうどいい固さに出来上がった。けっこう簡単。型から外して、軽くトーストした黒ごま(ちょっと多かったかな)を散らして、大人の味・・・。

健康でいて、おいしいものをおいしく、楽しく食べられることほど幸せなことはないかもしれない。神様、私達にこんなすばらしい幸せを授けてくださったことに感謝します。アーメン。