【薔薇色の椿】
「鶯 を今日初めて聴きましたよ」 と本多は近所から買って移した疎らな檜林の、 まだ葉にも枝にもいじけた弱さの残る梢を、 見霽かして言った。 「3月半ば から鶯が来るのね。 5月になれば 時鳥 を御覧になるのよ。 時鳥が鳴きながら飛んでいる姿を 見られるのは、ここぐらいのものじゃなくて?」 と慶子は言った。 三島由紀夫作 「暁の寺」(豊饒の海:第3巻) |
朝から雨となりました。又々、週末のそぼ降る雨。
この所、本当に週末になれば雨になります。
そう言えば、先週もそっくり同じ事を記した気が・・。
暖かい雨も一緒です。
ところで今日の雨は、いつも借景とさせて頂いている、
お隣の枝垂(しだ)れ梅の、その花びらを散らしているようです。
黒く濡れた地面に舞い落ちる白い花吹雪。
なかなか風情があっていいですね。
この白梅は、そろそろ終わりでしょう。
でも枝垂れ梅ではない、こちらの梅はまだ大丈夫。
(写真は昨日撮らせて頂いたものです)
梅で思い出したのですが、
昨日は上記の引用文の如く、鶯の鳴き声を聴きました。
姿は確認できませんでしたが、
「梅に鶯」 って本当なのですね。しっくり来ます。
花の美しさも然る事ながら、
仄かに香る梅の香気も鶯は好きなのでしょう。きっと。
元来、梅は冬の厳しい寒さの中にあり、
その寒さに怯(ひる)まない凛々しい姿と、その香気にほっと心和む花。
やがて訪れる春の確かな手応えを感じる花であったような気がします。
今年は寒さのせいで、今頃楽しむ事が出来るのですね。しかもこんなに長く。
後1週間もすれば桜・・~なんて、何だか信じられない気がします。
でも、お陰様で今年程、梅に心を寄せた事はありません。
桜のような華やかさはないけれど、控え目で楚々とした花・・。
そして芳香。こんな処が平安人の心を捉えたのでしょうね。
最近は私も、お香をくゆらせ、今も梅の香りの中にいます。
ほんの万分の1でも・・平安人に近付けたでしょうか・・。
最後に。北側の南天の隅に小さな薔薇色の椿を発見。(冒頭の写真)
椿は植えた事はありません。見廻しましたが、お隣にもありません。
花言葉は、「誇り」 「控え目な美徳」。
それは、今日の梅にも似て。因みに梅の花言葉は 「高潔な心」。
鳥か風か・・はたまた神様の贈物。いずれにしても嬉しい贈物です。
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