上はマカオ・アンドリューのエッグタルト店のタンター(蛋撻)。下はそのお店の本店。
【クロツラヘラサギも】
マカオの海に浮かぶ2つの小島。この一郭に、かつてポルトガル人が作り上げた旧い街があるのですが、いまやその二つの島の間の海を埋め立てて、一大賭博場を拡大し、最終的には一つの島にしよう、という大工事の真っ最中。やがては中国本土にまで小島をつなげる計画なのだそうです。
その埋め立て地帯には、世界有数のどでかさ感のあるホテル群を建造中で、私の泊まったホテルもここ。(日本からはホテル・オークラが参戦し、今年末に開業予定だとか。やたらに金ぴかの外観でした。)そこからちょっと外れたところにある、「さぎ山」は、すぐそばに昔からある美しいポルトガル館が建っているところから、もとからある湿地らしい。つまりそこは偶然にも埋め立て地との微妙な境界だったのです。
調べてみると、世界でおよそ2000羽しかいない貴重な渡り鳥・クロツラヘラサギの越冬地としても知られているそうで、本格的な保護の必要をマカオ政庁も感じてささやかに金網を張り巡らせたようです。(日本にもある環境保護団体「バードライフ・アジア」が2007年にこの問題で助言をしたそうです。)
【本場のタンターを食べる!】
地元のマカオの人はポルトガルの遺風もあるのでしょう、じつに親切で、紳士的。ちょっと道を尋ねると、本当に親切に案内してくれます。夕暮れは旧市街でコーヒーを飲んでまったり、というのがはまりそうな街でもあります。ただ、この開発ぶりですから、外部からきた人々がもたらす雰囲気などで、街が大きく変貌しているのも事実。
そんな中、雲南で大好物だった、カスタードをパイ生地のお皿にのせたタンター(エッグタルトのこと。)をいただいました。マカオが発祥で、マカオに行ったお目当てもこれ。
タンターはカスタードのとろけるようなフルフル感と外皮のパイ生地のさっくり感との対比が、味のハーモニーとなっているのですが、雲南で最も通い詰めた「嘉華餅屋」のタンターより卵とバターが多く、風味が高い仕上がりでした。雲南のものはミルク多めのプリン風であっさりとしています。値段は雲南の2倍。おいしさは1・5倍、といった感じを受けました!
現在、マカオで人気のタンター店・アンドリューのエッグタルト店は、日本にも進出していて大阪・道頓堀を中心に神戸などに5店舗を構えています。1998年からマカオ・香港・台湾で突如巻き起こった、人呼んで「タンター大戦」につばぜり合いの末、勝ち残った、というわけです。
ちなみに昆明一のタンターの店「嘉華餅屋」の成立は1988年。現在、80店舗を構え、小麦粉を使ったパン類からピッツア、ケーキ、月餅など幅広く品揃え。バット一杯に焼き上がったタンターが、ホカホカのまま店に出されると、ものの数分で焼きたての品が売り切れてしまうので、私ものんびりとした雲南では珍しく、真剣勝負の連続でした。(地元の人に負けじと、静かにお金を持って手を伸ばし、眼光を煌めかせて店の人に気づいてもらい、タンターをゲットする。あまり、お客さんも声を出さないので、この方法がなじむのです)
またマカオでは地元の人で賑わうメンの店(メンは米線の乾めんや、ハルサメ、サトイモのハルサメ・小麦粉メンなど各種あり。高菜の漬け物のすっぱさが絶妙さアクセントとなったスープで、何杯でもいただけます)や、できたてのバケット店など、旧市街の裏通りではしっかりと、おいしいお味が息づいていました。おいしいものは交通不便な裏通りに集中しているようです。こちらもさぎたちのように、とぼけたたくましさで生き抜いてほしいものです。
(この章・おわり。次回は震災で中断していた「碗豆粉」のつづきです。)
マカオで食べたフライドチキンのせ米線。