写真は昆明の市場の牛肉売り場にて。(2005年2月撮影)。この撮影した市場をはじめ、昆明市内の市場の④多くがつぶされて個人用マンションやオフィスに転用されてしまったが、市外にはまだ、ある。
ちなみに売り場の下にペンキで描かれている文字は「無注水牛肉供応店」。市場では目方を目の前で量って値段を出すため、少しでも肉の比重を稼ごうと、水をあらかじめ吸収させて目方を増す店があることが問題となっている。そのような肉は当然、質が悪い。この店は優良店だ、と言っているのである。
さらに店で売る肉が人目でわかるように、売る肉の骨や頭、しっぽなどをわかるように置いておく。以前にも書いたが「羊頭狗肉」という故事成語が、実感としてわかる。市場には、犬も売られている。ペットにするのは自由だが、もちろん、目的は違う。
【歯が抜けるかたさ】
中国の牛の肉は硬いです。
最近では中国でも神戸牛志向が高まり、やわらかい牛肉も出ていますが、10年前の雲南の肉は凄まじいものでした。
一度、ステーキを食べたいと思い、牛の固まりを買って、厚さ1.5センチぐらいに切って、焼いてみました。なんとも肉の焼ける香ばしい香りがします。
さて、皿に盛り、ナイフで一切れにして口に運ぶと・・。
日本で味わえる、穏やかなあまみのあるうまみとは違って、野趣の味。ただ、そこから先が問題で、いつまでも噛んでものどを通ってはくれません。かみ切れないのです。
私のあごは疲労困憊。当時5歳の娘の乳歯は、きれいにポロポロ抜けました。
つまり、筋が硬くて、サシなど入り込む余地のない、つまり牛としてはメタボではなく、よく労働したお肉なのです。
このような肉はステーキには向きません。当然、料理法も変わり、紀元前から神に最高の供物として捧げられていた頃は、煮込み、近年では細切りにしてピーマンと合わせた青椒肉絲(チンジャオロース)が食べやすい、ということになります。
そして、もう一つ、ビーフジャーキーです。
ビーフジャーキーの場合、脂身は徹底的にこそぎ落とすので、日本の牛肉のようにサシがいっぱい入ったメタボくんは、ステーキには向きますが、この食材としては今ひとつ、ということになるでしょう。
これを特産品として売り出しているのが、雲南でもタイ族の地域に住む人々。ミャンマー国境に隣接する徳宏州瑞麗市とシーサンパンナ州です。昆明のスーパーには牛が踊る赤と銀のど派手な大袋の中におつまみ用に一口サイズで個包装された「牛干巴」(牛の干したもの)がよく売られていていました。タイ族風味専門店の個人商店でも多種類の「牛干巴」が見られました。味は、日本で食べ慣れたアメリカ風の黒こしょうや塩味だけの風味とは明らかに一線を画する、八角やウイキョウ、花山椒などの中華風風味がたっぷり。なかには、唐辛子の粉ですっかり真っ赤にコーティングされてしまったものまであります。
すっかり干し上がっているので、噛めばすぐに牛肉の繊維がほぐれて、あごが痛むこともありません。
(つづく)
ちなみに売り場の下にペンキで描かれている文字は「無注水牛肉供応店」。市場では目方を目の前で量って値段を出すため、少しでも肉の比重を稼ごうと、水をあらかじめ吸収させて目方を増す店があることが問題となっている。そのような肉は当然、質が悪い。この店は優良店だ、と言っているのである。
さらに店で売る肉が人目でわかるように、売る肉の骨や頭、しっぽなどをわかるように置いておく。以前にも書いたが「羊頭狗肉」という故事成語が、実感としてわかる。市場には、犬も売られている。ペットにするのは自由だが、もちろん、目的は違う。
【歯が抜けるかたさ】
中国の牛の肉は硬いです。
最近では中国でも神戸牛志向が高まり、やわらかい牛肉も出ていますが、10年前の雲南の肉は凄まじいものでした。
一度、ステーキを食べたいと思い、牛の固まりを買って、厚さ1.5センチぐらいに切って、焼いてみました。なんとも肉の焼ける香ばしい香りがします。
さて、皿に盛り、ナイフで一切れにして口に運ぶと・・。
日本で味わえる、穏やかなあまみのあるうまみとは違って、野趣の味。ただ、そこから先が問題で、いつまでも噛んでものどを通ってはくれません。かみ切れないのです。
私のあごは疲労困憊。当時5歳の娘の乳歯は、きれいにポロポロ抜けました。
つまり、筋が硬くて、サシなど入り込む余地のない、つまり牛としてはメタボではなく、よく労働したお肉なのです。
このような肉はステーキには向きません。当然、料理法も変わり、紀元前から神に最高の供物として捧げられていた頃は、煮込み、近年では細切りにしてピーマンと合わせた青椒肉絲(チンジャオロース)が食べやすい、ということになります。
そして、もう一つ、ビーフジャーキーです。
ビーフジャーキーの場合、脂身は徹底的にこそぎ落とすので、日本の牛肉のようにサシがいっぱい入ったメタボくんは、ステーキには向きますが、この食材としては今ひとつ、ということになるでしょう。
これを特産品として売り出しているのが、雲南でもタイ族の地域に住む人々。ミャンマー国境に隣接する徳宏州瑞麗市とシーサンパンナ州です。昆明のスーパーには牛が踊る赤と銀のど派手な大袋の中におつまみ用に一口サイズで個包装された「牛干巴」(牛の干したもの)がよく売られていていました。タイ族風味専門店の個人商店でも多種類の「牛干巴」が見られました。味は、日本で食べ慣れたアメリカ風の黒こしょうや塩味だけの風味とは明らかに一線を画する、八角やウイキョウ、花山椒などの中華風風味がたっぷり。なかには、唐辛子の粉ですっかり真っ赤にコーティングされてしまったものまであります。
すっかり干し上がっているので、噛めばすぐに牛肉の繊維がほぐれて、あごが痛むこともありません。
(つづく)