大理の街角や昆明で見かけたのが、この写真の食べ物です。
手のひらサイズの小袋を買って口に含むと、なんとも懐かしい味に包まれます。鼻をくすぐるきなこの香りに、この糸を束ねたような形状からくるシャリシャリとした食感と優しい甘さ。嚼むと、歯の裏にくっつく感じが水飴っぽいような。
店の人に聞くと「スーウオータン」と表題の食べ物の名前を告げられたのでした。
家 に帰って調べると、予想通り原料は麦芽糖。これに上手に熱を加えてよく練ることで、白濁させ、糸状に引き出したものをクルクルと束ねてできあがり。黄金色に光る絲窩糖もあり、その場合は上にきなこなどをまぶしてあります。
雲南では一般的ですが、中国のウィキペディアにははっきりと四川銘菓の「窩絲糖」と書かれていて、別名を「繭糖」というお菓子と書かれていました。元の名を「素窩絲」と言ったとも。雲南では四川に近い宣威ハムで有名な宣威付近がつとに有名で、2015年には昭通市の「十大風味小喫」に選ばれています。
作り方は以下の通り。
1. 大麦を発芽させた麦芽とトウモロコシを臼で細かくしたものを合わせて適度な温度で発酵させる。つまり麦芽の持つアミラーゼがトウモロコシのデンプンを甘い糖に分解させます。
2. これを絞り出し、この糖水をとろ火にかけ煮詰めます。
3. あら熱をとってからきなこを播いた上において、何度も引っ張って、最終的に頭髪ほどに細くする。
日本にも似たお菓子は昔からあり、アミラーゼに分解させるデンプンとなるものがもち米だったりします。宣威でも、トウモロコシの他に緑豆や落花生を使うこともあります。
また、白砂糖が容易に手に入る時代のためか、麦芽糖2:白砂糖1の割合で白砂糖を加えるようにもなってきました。この後、麦芽糖と同量のきなこや挽いた落花生を入れてとろ火で煮るのです。
髪のように細くするまでには3人がかりで引っ張っては折りたたむの動作を15回繰り返すとのこと。糖が固まる前に粘度の高い物体を素早く引っ張り合うわけです。単純な作業ですが、重労働です。
(つづく)