写真は大理の洱海にうかぶ小島・天鏡閣(観音閣)。大理に伝わる伝承「望天夫」に描かれる石騾子がこの島を指し、南詔国の時代に唐と戦った天宝の戦いに大敗し、この島に建物を立てたのがはじまり、と言われている。大きな湖に浮かぶ、島にはどの地域にも落人伝説が流れているようだ。
【宮廷の美女の・・・】
前回の詞の題のすぐ横に付く注の後に続く本編には次のように書かれています。
「裊春燈、赤瑛盤內,絲絲縷縷難理。平生說餅題糕興,慣與羣兒爭嗜。銅駞市。曾趁徧賣餳、小擔簫聲底。何曾見此。總輸與筵前,輕鬆纖軟,弱雪不勝齒。
摩挱罷,髣髴夢華小記。依稀南內遺製。當初赭帕低籠處,分賜龍孫鳳子。今何似。似宋嫂魚羹、又似楊妃荔。天家往事。也不信宮娥,曉寒呵手,搓得恁般細。」
大意は、春の賑わいのある市場。そこにいつも「餅」とか「糕」などのお菓子があり、子ども達が競って食べている。銅駞の市にいくと、ムシロを敷いて座って売っている老婆がいる。かつては美女だったろうに年には勝てない(中略)。
南内の名残もまれに残るのみ。かつては紅い帳のなか、籠のなかにいるようなところで「龍孫鳳子」、つまり皇帝の子を宿すこともあったろうに。いま、漁りするばあさん方もまた、楊貴妃のようなこともあったろうに。何事も月日は過ぎ去る。いまでは、彼女らがかつて宮廷に使える女性達だったなど信じられるはずもなく、明け方から寒さでかじかむ手をさすっている。
つまり、題名のわりには、食べ物の具体的な記述はなく、食べた感想も特にありません。
ただ、この詞の書かれた明末清初という時代背景から、明の宮廷にいた人々が満州族の清に追われて、南へ南下して行くときに太湖に浮かぶ西山に隠れ住んだようです。日本の平家の落人伝説と同様の事態です。
つまり「窩絲糖」は明の華やかな文化の名残の象徴として描かれているようです。ということは、宮廷のお菓子ということになります。「窩絲糖」は具体的にどんなお菓子を指しているのでしょう。それを指し示すよい詞を見つけたので、次回、ご紹介しましょう。
(つづく)
【宮廷の美女の・・・】
前回の詞の題のすぐ横に付く注の後に続く本編には次のように書かれています。
「裊春燈、赤瑛盤內,絲絲縷縷難理。平生說餅題糕興,慣與羣兒爭嗜。銅駞市。曾趁徧賣餳、小擔簫聲底。何曾見此。總輸與筵前,輕鬆纖軟,弱雪不勝齒。
摩挱罷,髣髴夢華小記。依稀南內遺製。當初赭帕低籠處,分賜龍孫鳳子。今何似。似宋嫂魚羹、又似楊妃荔。天家往事。也不信宮娥,曉寒呵手,搓得恁般細。」
大意は、春の賑わいのある市場。そこにいつも「餅」とか「糕」などのお菓子があり、子ども達が競って食べている。銅駞の市にいくと、ムシロを敷いて座って売っている老婆がいる。かつては美女だったろうに年には勝てない(中略)。
南内の名残もまれに残るのみ。かつては紅い帳のなか、籠のなかにいるようなところで「龍孫鳳子」、つまり皇帝の子を宿すこともあったろうに。いま、漁りするばあさん方もまた、楊貴妃のようなこともあったろうに。何事も月日は過ぎ去る。いまでは、彼女らがかつて宮廷に使える女性達だったなど信じられるはずもなく、明け方から寒さでかじかむ手をさすっている。
つまり、題名のわりには、食べ物の具体的な記述はなく、食べた感想も特にありません。
ただ、この詞の書かれた明末清初という時代背景から、明の宮廷にいた人々が満州族の清に追われて、南へ南下して行くときに太湖に浮かぶ西山に隠れ住んだようです。日本の平家の落人伝説と同様の事態です。
つまり「窩絲糖」は明の華やかな文化の名残の象徴として描かれているようです。ということは、宮廷のお菓子ということになります。「窩絲糖」は具体的にどんなお菓子を指しているのでしょう。それを指し示すよい詞を見つけたので、次回、ご紹介しましょう。
(つづく)