写真は1983年、ベレンの塔とともに世界遺産に登録されたジェロニモス修道院の回廊。
【石づくりなのに植物の香り】
次に同じ建物の続きにあるジェロニモス修道院に滑り込みました。ほとんど閉館時間。海洋博物館に長くいすぎたのです。
すべてが石でできているのになぜか植物の気配を濃厚に感じる堂内。高い天井を支える柱はヤシの木を模したといたり、回廊の窓や天井も森の木々が枝を伸ばすようなに作られていたりと、彫りが有機的かつ繊細です。
1502年から16年にかけて主な部分が建立された建物はインドの胡椒貿易が生み出した傑作。ポルトガルの大航海時代の栄華が顕著に表れたイスラムやゴシック様式が混ざり合って昇華したポルトガル独自のマヌエル様式と呼ばれる建物の代表格です。
そして1584年、日本の戦国時代に九州のキリシタン大名・大友宗麟らの名代として派遣された天正遣欧少年使節団が訪れた場所でもあります。
近代に入ってからは、ポルトガルが主催する国際会合の舞台として数々、使われていた国随一の建物なのですが、ここで結婚式をあげた日本人もいました。
その方は今回の研究者グループ4名のなかの一人・E子さんのご友人。夫となられた方がリズボン出身の人で、E子さんも参列して、建物の豪華さと荘厳さに圧倒されたそう。日本でいうと明治神宮の結婚式、みたいな感じでしょうか? いや、政治的な格でいうと赤坂の迎賓館での結婚式、といったところ。国有化された建物で結婚式とは、リスボン、太っ腹!