写真上はタリファの船の待合所。この周囲はぐるりと700年代からのモーロ人らの要塞に囲まれている。昔の重要拠点だったことがうかがえる。こうした立派な歴史的建造物があちこちにあるのに、それを気に掛ける人はほとんどいないように見えた。
【まずタリファだった!】
唯一、呼び込みのなかったブースで購入したチケットを握りしめ、朝7時20分にフェリー乗り場へ。私たちのツアーデスクに、私たち以外に人影はなし。あれ、大丈夫かな、と思っていたら、15分後に金髪の浅黒いおじさんがきて
「こっちこっち!」
と合図してくれました。着いていくと、そこには大型バスが。あれ、海を越えるのにバス? と思って聞くと、
「タリファ⤴」
と、腹から持ち上げるような発声で一言。
アルヘシラスから20キロ南西にある、ジブラルタル海峡に面したタリファは、たしかにイベリア半島最南端の町ですが、そこまでバスで移動するなんて知りませんでした。
赤土の大地を出発。何度か山と谷を繰り返すたびに風景が変わり、風力発電の峰を通過すると一面の霧に。やがて雲海に朝焼けが彩り、朝日を目指して鳥が一斉に飛び立つと、小さな港、タリファに到着です。
ここからアフリカ大陸へは、距離にして15キロ。陸路の移動より近いはずなのですが、霧で大陸は全く見えません。
ようやく同じツアーの人たちと合流し、とにかく後を必死についていきました。
まず皆がするように元締めのようなアラビア風の太ったおじさんにパスポートとボーディングパスを渡し、代わりにフェリーのチケットと胸に張るツアーシールを受け取りました。シールはすぐに胸に貼ります。早くもはがれそうです。
いつになったら船に乗れるのか不安なまま、流れ作業に身を任せていると、船には行かずに、すぐ出国手続きのカウンターに。その後、ようやくフェリーに乗船できました。
我がツアーが手配してくれたフェリー。
ふう。少しゆったりしようと座る席を探していると、すぐに入国手続きの列に並ぶ時間に。
船内の出入国審査カウンター。
とまあ、わからぬままにあれこれしているうちに、霧が晴れ大陸が見えてきました。私にとっては初アフリカ大陸です。もっと感動するのかと思ったのですが、目に映る景色に意外性はなし。普通のビルと山とごく普通の定規で引いたような直線の町。海の色がタリファでは青みがかった緑色だったのが、緑に白色を含んだような色になっていたことぐらいしか違いがありません。
初アフリカ大陸の光景。モロッコはタンジェの街並み。改めてこの写真を見ると、スペインとはだいぶ違っていてわくわくする光景なのだが、いろいろ想定外の動きで船に乗ったために、当時、心の余裕が失われてしまい、違いがないとおもってしまったようだ。
ところが人に会ったら、突然、アフリカのイメージがわいてきました。まず出迎えてくれたのが自称ジョン・トラボルタ、こと本名ラシードさん、という陽気な添乗員さん。流ちょうなスペイン語と英語を操り、なんだかスターウオーズにでてくる師匠・オビ・ワン・ケノービのような服を着た白ひげを蓄えたおじいさんです。顔から口がはみ出しそうなほど、ニコニコしています。急にわくわくしてきました。
(つづく)
※明けましておめでとうございます! どうぞ、皆さまにとって、よい年になりますように。
※次週の更新はお休みします。