写真はアルヘシラスから乗り込んだグラナダ行きのバス。本来の列車の代行輸送として用意されたバスなので、表示に「RENFE」(レンフェ)の文字が見える。レンフェはスペインの国鉄のこと。外装は攻めた感じだが、内装は落ち着いていて豪華だった。
【あんまりなホテル】
アルヘシラスの滞在はさすがに疲れました。なんといっても、たった2日間でジブラルタルとモロッコにまで行ったのですから。
そして拠点としたアルヘシラスのホテルが難物で。バスターミナルからほど近いのは利点なのですが、何よりまいったのがサービスの朝食でした。
ビュッフェ会場にいくとパンとジュースとヨーグルトときゅうり、トマト、チーズの薄切りがシンプルに並んでいるのですが、宿泊客はいるはずなのに会場はガラガラ。そして取り皿にきゅうりを載せると、なぜか粘りが。
ンン? これはもしや腐っているのでは、と匂いを嗅ぐと、案の定の香りです。当然ながら口をつけず、その場を離れました。従業員がウーバーを頼んでフロントで食べている様子から何かを察しなければならなかったのかもしれません。
(かわりに近くのケバブ屋に。激しい混み具合から、周辺においしいお店がないことを感じる。サンドがおいしい)
別の時間に朝食会場に行った家人は食べていて、結果、何度もトイレにいくっていました。
日頃から賞味期限のラベルではなく、実際に見て食べられるかどうかを訓練しておくことは大切なのかも。
【アルヘシラスからグラナダへ】
タンジェから帰った翌朝、グラナダへ行こうと鉄道の券売機へ行きました。画面では席指定までできたのに、なぜか購入ボタンが押せません。
駅の人にたずねると
「その列車、今日は走っていないよ」
というので、案内にしたがってバスに乗ることになりました。駅に横付けされていて、あらかじめ用意されていたのです。
そもそもがアルヘシラス駅には一日数本しか列車がなく、しかもヨーロッパでは改札口もないので、ホームは行き放題。なんと雑草も生えていて、本当の駅なのか不安になるほど、とてつもなく寂しい駅でした。
駅の人も鉄道関係者なのか、お掃除の方なのかわからないくらいの雰囲気でした。今日でなくとも、私が乗る予定だった列車のほかにも、この終着駅まで、日頃から列車がくるのか疑わしいほどの静寂でした。
一方、駅に横付けされたバスは、トイレ付の、清潔で窓の大きい大型のもので快適そのもの。それを6人ぐらいでゆったり乗れる幸せ。
【グラナダへ向けて出発】
11時45分に出発すると車窓は黒松から白っちゃけた林に乾いた大地と目まぐるしく変わっていきます。ここでもコウノトリが駅の電信柱ごとに巣をつくり、大空をつかんで、自由に羽ばたいています。
なかでも印象的だったのがマラガ。白い土に赤い峰、黄色い花、青い海とくっきりとした色が油絵そのものの景色なのです。マラガはピカソの故郷ですが、普通に描くと近代画の油絵になってしまう風土だったのでした。
13時34分、マラガから地中海を背にして少しずつ標高をあげていくと、小山の連なりに風景は変化。
車窓を楽しんでいると出発から2時間半が過ぎたころに着いたアンテケラ駅で全員、バスを降ろされてしまいました。この駅はアンダルシアの交通の要衝のはずですが、店などはなく、山と草原ばかり。
(つづく)