写真上はケンジントンガーデンズ内にて。英国の芸術家ジョージフレデリックワッツが作成した「物理的エネルギー」という名の銅像。歩いて楽しい不思議な公園だ。
【ピーターパンから電話が】
雑木林の一角のような、雑然としたケンジントンガーデンズ内のロングウオーター池の西側に角笛をふいて自由に戯れるピーターパンの銅像がありました。
スマホをかざすと、なんと、ピーターパンが電話で折り返してくれます。こんなにすごいのに、付近に解説すらは見当たりません。帰ってから調べると、原作でピーターパンはケンジントン公園で乳母車から転落し、乳母に見つけられないまま、そこで育って永遠の少年となったのだとか。いま、私たちがよく知っている原作の「ピーターパンとウェンディ」の話の以前に「ケンジントン公園のピーターパン」という物語が出版されていたのです。作者のバリーは毎日、ここに犬の散歩にきていたとか。昔から犬の散歩のメッカだったのですね。
【南方熊楠も散歩していた】
バリーが散歩していた同じ時期にはロンドン遊学中の日本の知の巨人「南方熊楠」もここのベンチに腰掛けて、よく本を読んでいたとか(本人の手紙より)。目の前には羊が放牧されていたそうです。
ケンジントンガーデンズの西洋菩提樹(シルバーライム)。
【ベルリン市民による西洋菩提樹】
他にも公園の端のほうを歩いていると「1988年にベルリン市民からロンドンに贈られたという西洋菩提樹(SILVER LIME)の木立がありました。第2次世界大戦でドイツから空爆を受けていたことを想うと、意義深い木立です。
このように歴史も懐も深い公園の散策は、歩くたびに発見があって楽しいものでした。
(つづく)