石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

インドが石油の戦略備蓄を導入

2006-01-08 | 海外・国内石油企業の業績

 インド政府が石油の戦略備蓄を正式に決定した。2015年までに総額25億ドルをかけて500万トン(約3,700万バレル)を国内3ヶ所に備蓄する計画である。備蓄量は15日分の消費量に相当する。

  2004年のインドの石油消費量は約260万B/Dであるが、過去10年の対前年増加率は6.1%の高い伸びを示している(BP統計、以下同じ)。一方、生産量は80万B/D前後で推移しているため、輸入依存率は年々上昇し70%近くに達している。インド経済は今後も成長を続けると見込まれるため、石油の輸入量はますます増大することは確実であり、インド政府は20年後の輸入依存率が85%になるとの見通しを示している。

 今回の決定は石油輸入の途絶等によるリスクを少しでも軽減するためのものである。同国はこの他にもエネルギーを安定的・持続的に確保するため、中東の石油・天然ガス産出国に対しさまざまな形でアプローチを行っている。例えばイランの天然ガスを輸入するため、パキスタンを経由する全長2,800KMのパイプライン建設を計画していることなどはその一例である(詳細は1/5付け本ブログ「イランとインドの天然ガスパイプライン」参照)。

 石油備蓄は1978年の第二次オイル・ショックの後、IEAの提唱で始まったものであるが、備蓄方式は(1)国家による備蓄、(2)法律により備蓄機関を設置する備蓄協会方式、及び(3)法律により民間企業に備蓄を義務づける方式、の3種類がある。方式は国によって異なり、米国は国家備蓄(SPR, Strategic Petroleum Reserve)、ヨーロッパは協会備蓄と民間備蓄の併用であり、日本の場合は国家備蓄と民間備蓄を併用している。日本の備蓄量は昨年10月末では国家備蓄90日、民間備蓄84日、合計174日分である(JOGMEC、石油天然ガス・金属鉱物資源機構のホームページによる)。因みに米国のSPRは世界最大の備蓄量7.3億バレルである。

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