石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

活発化するインドの資源外交(サウジアラビア国王、インドを訪問)

2006-01-28 | その他

 サウジアラビアのアブダッラー国王が1/24-27までの4日間、インドを訪問した。国王は昨年8月の即位後初の外国訪問先として中国、インド、パキスタン及びマレーシアを歴訪中である。サウジ国王がインドを訪問するのは50年ぶりのことであり、インドはシン首相自らが空港に出迎え、また26日のRepublic Dayには国王を外国主賓として遇するなど最大級の歓迎の意を示した。両国は共同声明で戦略的エネルギーパートナーシップを宣言したが、サウジ国王は直前の訪問国中国でもエネルギー協力協定を結んでおり(本ブログ「深まるサウジアラビアと中国の関係」)、サウジアラビアを巡る中国とインドの積極的な資源外交が注目される。

 インドは近年目覚しい経済成長を遂げており、それに伴って石油消費量は年率5%以上の増加率を示している。全消費量の70%を輸入に頼っているが、国内生産が頭打ちのため輸入依存率は今後更に上昇すると見られている(本ブログ「インド、石油戦略備蓄を導入」参照)。サウジアラビアからの原油輸入は全体の30%を占めている。

 インドは今後激しくなることが確実な国際的な石油争奪戦の中でサウジアラビアとの関係強化をもくろんでいる。例えばインド国営石油IOCは昨年3月、サウジアラムコとR&D協力などに関するMOUを締結しているが、これはサウジ原油の長期的な確保を睨んだものであることは間違いない。またHindustan石油は、サウジアラビアARAMCOと合弁で30万B/Dの製油所建設を計画している。現在サウジアラビアには150万人の出稼ぎインド人がおりサウジアラビア経済を下支えする重要な役割を果たしているが、情報産業の振興を重点目標に置くサウジアラビアは、今後インドにその支援を期待している。技術レベルが高く、英語に堪能でなおかつ労務コストの安いインド人IT技術者は、日本が対抗できないインドの有力な貿易品目の一つであると言えよう。サウジアラビアのマスコミには欧米からインドに目を向ける「Look East」なる言葉も見受けられるほどである。

 またインドはサウジアラビアの他にもカタール或いはイランの天然ガスにも触手を伸ばしている。カタールとは既に2004年から年間5百万トンのLNG輸入が始まっており、昨年4月にはカタールのハマド国王が訪印、今回のサウジアラビアと同様の戦略的パートナーシップ協定を締結している(2005/4/17 Gulf Times)。またイランとはパキスタンを経由したガスパイプライン建設計画を協議中である。ただしパイプライン建設については、永年にわたり犬猿の仲であったパキスタンとの関係改善が前提であり、さらに米国がイランの核疑惑問題をとらえてインドを強く牽制しており、外交的な課題が多いのも事実である(本ブログ「イランの石油・ガスを巡るインドと日本のプロジェクトの行方(2)」参照)。

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