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(要約)
BPが毎年公表するエネルギー統計の最新版「BP Statistical Review of World Energy June 2006」(以下「BP統計」)によれば2005年末現在の世界の天然ガス埋蔵量は約180兆立方米(以下tcm: trillion cubic meters)であった。同じ年の天然ガス生産量は2.8tcm、R/P(可採年数)は65年である。これは石油のR/Pの1.6倍であり比較的余裕がある。石油と同じく全世界の埋蔵量の4分の3が中東地域と欧州・中央アジア地域に集中しているが、石油が特に中東地域に集中しているのに比べ、天然ガスの場合はこの両地域がほぼ同じ埋蔵量を有している。国別に見るとロシアの埋蔵量が世界全体の3割弱を占め、これに次ぐのがイランとカタールである。これら3カ国で世界の埋蔵量の半分強を占めている。
生産量ではロシアと米国が突出しており、消費量では米国が世界全体の4分の1を占めている。全生産量(2.8tcm)のうち26%(0.7tcm)がパイプライン或いはLNG(液化天然ガス)として輸出されている。
世界的なエネルギー需要の増加に加え、中でもクリーンエネルギーと位置づけられた天然ガスに対する需要は今後ますます大きくなるものと思われる。最近では需要増に埋蔵量の増加が追いつかないためR/Pは2001年の70年をピークに年々低くなっている。
天然ガスの需要拡大に対応してパイプライン、LNG搬出・受入施設及びLNG専用運搬船の建設計画が進められている。これまで天然ガスは生産者と需要家が直結しており両者は比較的穏やかな関係であった。しかし、中国、インドなどが需要家として世界の天然ガス市場に台頭してきており、今後は石油と同様の熾烈な資源獲得競争が展開される気配である。
目次
1. 2005年の全世界、地域別および国別埋蔵量
2. 2005年の地域別及び国別の生産量と消費量
3. 2005年のパイプライン及びLNGによる輸出入状況
4. 1980~2005年の埋蔵量、生産量及び可採年数(R/P)の推移