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(要約)
石油と天然ガスはエネルギーの中枢をなしている炭化水素資源である。BPが毎年公表するエネルギー統計の2006年版「BP Statistical Review of World Energy June 2006」(以下「BP統計」)に示された石油と天然ガスのデータについて、天然ガスを石油に換算して両者を合計した埋蔵量、生産量及び消費量について分析する。
石油と天然ガスを合計した全世界の埋蔵量は、2兆3,320億バレル(石油換算、以下同じ)である。埋蔵量のうち51%は中東に、23%は欧州・中央アジア(主としてロシア)にあり、両地域で世界の埋蔵量の4分の3を占めている。国別で埋蔵量が最も多いのはロシアの3,750億バレルで、世界全体の16%を占め、これに続くのがサウジアラビア、イラン、カタール、UAE等のOPEC諸国である。このような中でエネルギーの大消費国である米国が世界第10位の埋蔵量を有していることは注目に価する。
生産量ではロシアが世界最大の石油・天然ガス生産国であり、その合計は1,986万B/Dに達している。これに次ぐのが米国の1,589万B/Dであり、また中国は世界第6位の生産国である。米国及び中国はエネルギーの輸入大国であるが、生産量も多いことに留意すべきであろう。
消費量は米国が3,157万B/Dであるが、これは世界全体の4分の1を占めており、他の国を圧倒している。このほか石油・天然ガスの消費大国としては日本、ドイツ、イタリアなどの非産油・ガス国があり、また近年目覚しい経済成長を遂げている中国、インドもエネルギー消費大国の一角を占めている。
世界全体に占める地域別の埋蔵量と消費量を比較すると、中東は埋蔵量では世界の51%であるが、消費量は8%にとどまっており、これに対して北米或いはアジア・大洋州の埋蔵量は世界の5%程度に過ぎないにもかかわらず、消費量では24~29%を占めている。北米の可採年数(R/P)はわずか11年であり、米国、中国、インドなどの消費大国は今後石油或いは天然ガスの中東への依存度が一層増大するものと予想される。
ある国の生産量が消費量を上回る場合、その国は輸出余力があることを示し、逆の場合は自給率が低いことを表す。輸出余力の高い国は、ロシア、サウジアラビア、ノルウェーなどである。特にロシアとサウジアラビアはそれぞれ1千万B/D前後という飛びぬけて高い輸出余力を持っている。一方、自給率が低い先進国としては、ほぼ全量を輸入に頼っている日本やドイツ(自給率7%)がある。米国はロシアに次ぐ世界第2位の石油・天然ガスの生産国であるが、消費量が生産量の2倍であり自給率は50%にとどまっている。中国、インドの自給率はそれぞれ58%、42%である。但し両国は近年目覚しい経済発展を遂げており、それに伴って石油・天然ガスの需要が急増している。従って自給率が今後さらに低くなることは間違いない。
目次
1. まえがき
2. 2005年末の石油と天然ガスの合計埋蔵量(地域別、国別)
3. 2005年の石油と天然ガスの合計生産量(国別)
4. 2005年の石油と天然ガスの合計消費量(国別)
5. 埋蔵量、生産量、消費量及び可採年数の地域別比較
6. 輸出余力の高い国と自給率の低い国