石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

BP統計に見るエネルギー資源の埋蔵量・生産量・消費量とその問題点(その1:石油篇)

2006-07-10 | その他

(本文は石油文化ホームページをご覧ください)

(要約)

 BPが毎年公表するエネルギー統計の2006年版「BP Statistical Review of World Energy June 2006」(以下「BP統計」)によれば2005年末現在の世界の石油埋蔵量は約1兆2千億バレルであった。同じ年の石油生産量は日量8,100万バレル(以下B/D)であり、R/P(可採年数)は40.6年である。言い換えれば、2005年の生産レベルを続ければ40年強で採掘可能な石油が枯渇することになる。国別ではサウジアラビアが世界の石油埋蔵量の22%を占め飛びぬけて大きい。上位5カ国は中東産油国であり、中東地域の埋蔵量は世界全体の6割強である。

  生産量ではサウジアラビアが1,100万B/Dで最も多く、次いでロシアが960万B/Dである。米国、中国は世界第一位及び第二位の石油消費国であるが、同時に世界有数の産油国でもあり、それぞれ680万B/D、360万B/Dの石油を生産している。世界一の石油消費国は米国(2,070万B/D)であり、実に世界の4分の1の石油を消費している。日本は米国、中国に次ぐ世界3位(540万B/D)の石油消費国である。

  石油の生産と消費の地域バランスを見ると、アジア大洋州は消費量が生産量を大幅に上回っており1,600万B/D強が不足している。北米及びヨーロッパ・中央アジア地域も同様に域内の需給バランスはマイナス(供給不足)である。これに対し需給バランスがプラスなのは中東、アフリカ及び中南米であり、特に中東は大幅な供給能力を有している。地球規模で見ると、石油は中東、アフリカ、中南米の各地域からアジア、北米などの地域に流れていることを示している。

 第二次オイルショック(1978年)から2005年までの石油の価格と消費量、生産量及び埋蔵量の推移を比較すると、原油価格は第二次オイルショック時代および現在(2000年以降)の二度にわたり急騰しており、その間の20年は低迷している。これに対し生産量及び消費量は、第二次オイルショック後一時低落したが1980年代後半以降は一貫して増加している。

 石油埋蔵量は2002年までは毎年300億バレル近く増加していたが、2003年以降は急落し、2004年、2005年には60億バレル程度に落ち込んでいる。その理由は90年代に探鉱開発投資が抑制され新油田の発見がなかったためとする見方と、他方、地球上で新油田を発見できる余地が少なくなったためとする見方がある。後者の場合、今後この傾向が続くと石油の生産は近い将来頭打ちとなり、これに伴って石油価格が上昇する恐れがある。これが最近話題になっている「ピークオイル論」である。

 最近の石油価格の高騰により探鉱開発投資が再び活発になっている。これにより石油埋蔵量が追加され、増加し続ける需要をカバーする生産量を確保できるのか、それとも「ピークオイル論」のように石油生産量が限界に達するのか、その見極めはここ数年が勝負であろう。

以上

(本文は石油文化ホームページをご覧ください)

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