石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

三大国際石油企業2012年度業績速報シリーズ(9)

2013-03-29 | 海外・国内石油企業の業績

(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0259SuperMajors2012.pdf

 

IV.三大国際石油企業の業績比較(下)

3.2008~2012年の石油・天然ガス生産量の比較
(1)石油生産量の推移
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-93l.pdf 参照)
 2008年の石油生産量はExxonMobilが最も多く2,405千B/Dであり、BPがほぼ同じ2,401千B/Dであった。Shellはこれら2社より3割近く少ない1,771千B/Dであった。その後、ExxonMobilは2010年の2,422千B/Dをピークに減少傾向をたどり2012年には2,185千B/Dと、5年前に比べ10%近く落ち込んでいる。このような長期的な石油の生産減少は他の2社にも見られることであり、BP及びShellの2012年の生産量を2008年と比べるとそれぞれマイナス16%、マイナス8%となっている。

(2)天然ガス生産量の推移
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-93m.pdf 参照)
 天然ガスの生産量の推移を見ると2008年及び2009年の2年間は3社の天然ガスの生産量に大きな変化はなかった。即ち2年間の各社の生産量は、ExxonMobilが9,095mcfd(08年)→9,273mcfd(09年)、Shellは8,569mcfd→8,483mcfd、BPは8,334mcfd→8,485mcfdであった。ExxonMobilは他の2社より5~8億cfd多く、ShellとBPは殆ど差がなかった。

 しかし2010年にExxonMobilのガス生産量は対前年比で31%の大幅な伸びを示して100億cfdを突破(12,148mcfd)、2011年も8%増加して132億cfdに達した。これに対してShellは2010年は対前年比で10%増加した(9,305mcfd)が2011年は90億cfdに減少し、BPは2010年、2011年と2年連続して減少、2011年の生産量は75億cfdとなり、ExxonMobilとShellおよびBPの差は拡大している。2012年はExxonMobilの生産量が減少する一方、Shellの生産量が増加したため両者の差は縮小している。このような推移の結果、5年前の2008年には大きな差が無かった3社の天然ガス生産量の差が拡大し、ExxonMobil、Shell、BPの順位が固定化しつつある。ExxonMobilが積極的なM&Aで生産増を図る一方、BPは2010年のメキシコ湾事故の対応に追われ天然ガス鉱区の売却を余儀なくされたためであり、3社の明暗がくっきりと分かれたのである。

(3)石油・天然ガス合計生産量の推移
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-93n.pdf 参照)
 天然ガスを石油に換算し合計した生産量を見ると2008年はExxonMobilが3,921千B/D、BP 3,838千B/D、Shell 3,248千B/Dであり、ExxonMobilが3社のトップであるが、その差は大きくなかった。しかしExxonMobilは2010年以降に天然ガスの生産量を大幅にアップした結果、石油換算の合計生産量では4百万B/D台を維持しているのに対し、Shellは08年325万B/D→09年315万B/D→10年331万B/D→11年322万B/D→12年326万B/Dと5年間横這い状況である。またBPの場合は08年384万B/D→09年400万B/D→10年382万B/D→11年345万B/D→333万B/Dと過去4年間は生産量の下落が止まらない状況である。この結果、2008年、09年にExxonMobilと肩を並べていたBPは2012年にはShellと同じ生産水準に落ちている。

(完)

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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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